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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年8月3日(水) 14:00~14:13 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)

発言要旨

皆さん、こんにちは。暑い中お集まりいただきありがとうございます。
冒頭、私から1点ございます。8月1日(月)に、徳島県に参りまして、徳島県に設置されております消費者庁新未来創造戦略本部を視察するとともに、飯泉徳島県知事とも面会をいたしました。ようやく着任から1か月経ったということでございますけれども、伺わせていただきました。
就任後最初の記者会見のときに、徳島の本部について、これから「未来本部」という形で略称を掲げるとともに、未来に向けて何をやっていくかということで議論をしたいということを申し上げました。
私の方から知事に三つの重点ということで、ちょうど今年で2年が経つということでございますけれども、未来本部の方向性をお示しし、これからも徳島県と連携をしていくというお話をさせていただきました。
一つは、既に徳島県は国際的な研究の拠点ということになっておりまして、グローバルな視点を充実させようということでございます。これはやはり、国境を越えた取引が盛んになってくるということとともに、個人情報でありますとか、デジタルの取引について国際的にいろいろな動きがございます。そういった中では、我が国の制度というのもいろいろアップデートしていかなければなりません。そのため、そういう動向を踏まえるという意味でも、各国の消費者担当部署との定期的な意見交換をこれからしっかりやっていこうと思っておりまして、徳島をその中核としてグローバルな展開を未来に向けてやっていきたいというのが1点目でございます。
もう一つは、徳島発のいろいろな試みを全国に展開していくということが必要ですので、徳島で一定の成果を収めた先進的な実証を、ほかの県でもできるような体制を敷いていこうということです。具体的には、今まで実証してまいりましたSNSを活用した消費生活相談のやり方とか、そういうものを各県、各市に広めていくということで、これも徳島発でやっていきたいということをお話ししました。
それから、もう一つは、官民連携のデータ集積でありますとか、意見交換を徳島発で充実させたいということでございます。これは、未来を担う消費者、未来の消費生活がどうなっていくのかということを、今までいろいろなシンクタンクの方が作っている情報を連携することによって、未来へ向けて活動しようということでございます。徳島で行っておりますいろいろな消費者研究や、いろいろな消費行動を調査している大学とか民間のシンクタンクと連携し、いろいろな方が調査しているものをデータベース化していく、それから情報共有していく、ということが将来像として非常に必要だと思いますので、これを徳島の拠点で進めていきたいということです。「グローバル」、「日本全国へ」、「官民連携」ということで、未来本部の方向性をお話しし、徳島県知事と連携を深めていきたいということをお話ししたところでございます。
徳島県知事からは、今までも消費者行政に関していろいろ協力してきましたので、これからもやりたいという言葉を頂きました。また、県知事とお話しする前に、徳島県から、徳島県の消費者行政のいろいろなお話を聞いたのですけれども、やはり消費者行政をやっていくことは、健全な市民社会の形成に結びつき、また、地方創生や市民のボランティア活動などの面でも非常に創発効果があるというお話がございました。徳島県で作成されているいろいろな教材でありますとか、そういう消費者行政の活動というものを見習いながら、私どもとしてはこれも全国に発信していく必要があるのではないかということを、知事とお話合いをさせていただいたところでございます。

質疑応答

ニッポン消費者新聞の丸田です。
今の件なのですが、去年、徳島の1周年のときに一応イベントをされましたが、今年の場合は何かイベントというのはあるのでしょうか。

イベントというよりは、徳島県が昨年に引き続きましてフォーラムを行うということを本部から聞いております。消費者庁も、これは年末になる予定でございますけれども、グローバルな形でのシンポジウムをやるということで、何周年記念ということではなくて、徳島発でそういう発信をし交流を深めていくということを、これからも継続してやっていきたいと思います。

分かりました。徳島でされている実証実験であるとか、新たな研究については、とても関心が高い、あるいは非常に注目を浴びたものが結構あって、継続的にやっていらっしゃると思いますけれども、一つ特徴的なのは、若い方々の活躍といいますか、これから消費者行政を背負うみたいな、そういう意気込みがあるということを感じてきたことがあります。そういったことを考えると、徳島での取組について、オープンオフィスであったりとか、とても特徴的なものが多いのですが、長官も行かれてみて、徳島の取組の何か感想みたいなものがあればお聞きしたいのですが。

徳島の取組は、私もかつて県にいた経験から申し上げますと、やはり消費者行政の分野に相当の予算と人材を割いていらっしゃると。私も全部の県を承知しているわけではありませんが、ほかに比べるとやはり相当の資源を注いでいらっしゃるということはよく分かったということと、今、丸田記者からもお話がありましたとおり、消費者教育の分野で相当な教材を作っていらっしゃいます。小中高、それから特別支援学校、あと高齢者も含めてですけれども、私も就任したときに、ユニバーサルないろいろな消費者に向けて情報を発信していくことが必要だということを申し上げましたが、そういう各種の教材が、冊子もありますけれども、いわゆるデジタルな教材もしっかり整備をされています。その辺が正に次世代を担っていく消費者を作っていく、という点で非常に重要でありますし、これはやはり日本全国で展開していかなければいけないと思っています。
それから、エシカル甲子園というのを県が主催してやっていらっしゃっていまして、そういう中で高校生がいろいろな形で自分の提案をしていくということ。これは募集自体は全国から来ているようでございますけれども、そういう活動も徳島県が主催をしてやっているということで、これは本来消費者庁がやるべきことなのではないかなと私は思っていますが、そういう点では、若い世代を育てていくという、この重点が非常に特徴的であり、感銘を受けたところです。消費者教育の教材について、県によりますと、いろいろな方が使えるような形になっているという話でもありますので、その汎用性を高めていく、また、いろいろな人の知恵を借りて更にバージョンアップしていくということが、これからの消費者教育の中で重要です。今年は、消費者教育推進法における基本方針を変えるタイミングでありますので、その中でもそういう考え方を生かしていきたいと思います。

フリーの木村です。
消費者庁の方で、4月下旬に便乗値上げ情報の受付を開始してもう3か月ほど経って、恐らく食品とかを中心にこの秋ぐらいにピークを迎えるのかなという感じなのですけれども、今のところどのような情報が集まっているのかということについてお聞きしたいのですが。

今お話がありました「便乗値上げ情報 消費者受付ウェブ窓口」、これは4月28日に設置をしてから7月31日でちょうど3か月になりました。
実際、この3か月を見ますと、私どもに寄せられたものというのは具体的には133件でございます。中身を見ますと、食品、通信、その他いろいろなものに対するいろいろな御意見というのがありますけれども、特に特定の品目について、これは便乗値上げが非常に疑わしいというような案件は今のところないということでございます。

全てのジャンルで1件も便乗値上げが疑わしい件が今のところないという、そういうことですね。

今のところはないというふうに私ども考えております。お話がありましたとおり、今月の月例経済報告の会合におきましても、今後、特に食品を中心に値上げが想定されるということでございます。従いまして、そういう状況を踏まえて私たちもこの便乗値上げの窓口というのを常にウォッチをしておりますし、そういう点で何か疑わしいところがありましたら、是非情報をお寄せいただきたいと思います。

NHKの島田と申します。
長官が最初にお話しされた、三つの重点項目の中で、一番最後に官民連携のデータを充実させていきたいというお話がありました。消費行動の調査とか、シンクタンクをデータベース化していくのが将来として必要というお話だったのですが、これはもう始まっているのでしょうか。それとも、いつからスタートをするのか何か具体的な目途とか、どういった組織が関係していくのかというところ、もし具体的なイメージがありましたら教えてください。

これは具体的に、私、1日に未来本部に行って指示をしたので、これから未来本部が取り組むということではあります。繰り返しにはなりますけれども、やはり未来本部ということですので、短期・中期の視野というよりは、皆さんの生活をどう良くしていくのかということに主軸を置いていかなければいけない。それが消費者庁の大きな役割だと思っていますので、そういう点でいろいろな方々が調査をしているもの、あるいは未来を創造しているもの、そういった未来を良くするためのデータを集めていくというのも消費者庁の役割だと思っています。もう既に幾つかの大学にはお話をしておりますけれども、大学や民間のいろいろな調査機関と連携をしながら、情報を共有しながら、より良い消費生活をどうやって作っていくのかという、前向きな議論の場、意見交換の場を作っていこうと思っています。

そこで得られたそのデータベースの情報というのは、例えばこういった会見の場とかで、その都度、何か公表という形で提示されたりされる予定でしょうか。

そうですね。まずはそれぞれの方が持っているデータベースを共有し、発表し合うということから始まると思いますけれども、できればそういう形にしていきたいと思っていますし、消費者庁もこれから幾つかの継続的なテーマを決めて調査もしようと思っていますので、そういう中で皆さんの御知見を反映するような形にしていきたいと思っています。