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新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年7月20日(水) 14:01~14:20 於:中央合同庁舎第4号館12階全省庁共用1208特別会議室)

発言要旨

今日は冒頭に二つ発言をさせていただこうと思います。
一つは、今日付けのプレスリリースということでお手元に資料を配布させていただいております。大規模イベント会場における食品ロスの実証事業ということで、「食品ロス削減の推進に関する基本的な方針」を踏まえまして、モデル事業の一つということで実施をさせていただくものでございます。
具体的には、8月3日と19日に楽天生命パーク宮城で開催されますプロ野球の公式戦において、ナッジを応用した来場者向けの啓発や地元仙台市と連携した食品寄附活動「フードドライブ」を実施するということでございます。実証事業の詳細につきましては、担当に聞いていただければと思います。
これは、食品ロスを2030年には世界的にも半減しようということが目標になっておりまして、東京オリンピック・パラリンピック大会での食品ロスの発生状況を踏まえまして実施するものでございます。今後日本で開催をされます2025年の関西・大阪万博、あるいは各地域で行われる大規模なイベントにおきましても、その成果を活用すべく実証事業を行いたいと考えているところでございます。
続いて、子供の事故に関する調査と注意喚起ということでお話をさせていただきたいと思います。 子供の事故に関しまして、これから夏休み期間ということもございますので、2点注意喚起をしたいと考えております。
1点目は、子供の転落防止でございます。来週7月25日から「子どもの事故防止週間」というのが始まります。これは、内閣府や警察、あるいは文部科学省といった子供の事故防止に関する関係府省庁の連絡会議が行っているものでございます。
これに先立ちまして、消費者庁において、子供の事故についてアンケートを実施いたしましたが、それによりますと、育児経験者の約4割が乳幼児の転落事故を経験しているということでございました。これにつきましては、対策の実施率も低いということでありますので、更に注意喚起をしたいと思います。窓には子供の手の届かない位置に補助錠を付け、大きく開かないようにする、さらには、乳幼児を自転車に乗せる際にはヘルメットを着用させるなど、様々な対策を講じていただきたいと考えているところでございます。
2点目は、子供の溺水の防止であります。海あるいは川での溺れということでございますが、夏場は御存じのとおり、水に関する事故が非常に多いということでございまして、来週25日は国連決議によりまして「世界溺水防止デー」とされております。これは令和3年にバングラデシュとアイルランドが提案したものということでございます。いずれにいたしましても、子供を不慮の事故から守るということは非常に重要でございますので、これにつきましても注意喚起をしていきたいと思います。
注意喚起の詳細、それから、アンケート調査の結果については、後ほど担当課から御説明をさせていただきたいと思います。

質疑応答

フジテレビの藤村と申します。
あきんどスシローに関してなのですが、ウニなどのおとり広告ですとか、生ビール半額キャンペーンのフライング掲載など、スシローの広告をめぐっては短期間にトラブルが相次いでいるという状況がございます。13日からの生ビール半額キャンペーンというのを実施しているところなのですけれども、タッチパネルの画面に「品切れ中」というような文字が表示されて、実際には頼めないというような事態が店舗によって起きています。こうしたスシローのトラブルについて、消費者庁ではどのような見解を持っていらっしゃるのかということをお伺いしたいと思います。また、消費者はどのような点に気を付けたらいいのかということも併せてお願いいたします。

あきんどスシローにつきましては、前回の記者会見でもお話をいたしましたが、今年の6月9日に措置命令を行ったばかりということでございます。今回の半額キャンペーンというものについて、私どもとしては、状況を注視しているところでございます。しかしながら、個別の案件についてお答えは差し控えたいというふうに思います。
いずれにいたしましても、消費者に対してやはり誠実であるということが企業としての務めだというふうに思っております。私どもとしては状況を注視をした上で、必要なことがあれば厳正に対処していきたいと考えております。
それから、一般的に消費者の方々にご注意いただきたい点としては、私自身を含めての注意事項かと思いますが、やはりお店に行く場合には広告に踊らされないようにしていただくということかと思います。

通販新聞の佐藤と申します。
農水省出身の長官ということで幾つかお聞きしたいのですが、昨今アサリとかマグロとかの産地偽装の問題が起こっているのですけれども、景品表示法の課徴金も、メニューの産地偽装というのがもともときっかけで導入されたと記憶しているのですが、景品表示法でこれ対処されるのかどうかというのを伺いたいのですが。

それぞれ法律の適用の条件、事実関係がございます。それぞれの法律に基づいて適正に対処していくということしかお答えできないということでございます。

食品表示法の是正指示と、景品表示法の課徴金とか措置命令というと、制裁効果とか抑止効果みたいなのも大分違うと思うのですが、その辺を考えて、今回こういう問題に景品表示法で対処できないということについては、どういうふうに問題意識を持たれているかというのを伺いたいのですが。

それぞれの法律の目的、それから適用の条件というのが異なっております。
それは、食品表示法、いわゆるかつてのJAS法で対応していたときも、JAS法でなかなか到達できない場合に不正競争防止法で対応するというようなこともございました。
従いまして、それぞれの法律に基づいて厳正に対処をしていくということで、法目的に従って執行していくということだと思います。

法目的からすると、景品表示法で対処というのが適切ではないかなというふうにも思うのですけれども。

それぞれの事案によって、両方が適用されるという場合も当然ありますし、片方のみという場合も出てくると思います。

ニッポン消費者新聞の丸田です。
最初の御発言の中の先進的モデル事業の楽天の件です。このモデル事業のこの結果については、いつ頃まとめられる予定で、公表されるのかということをお願いします。

これにつきましては、まだいつ公表するかというのは決めてございませんが、当然、今回のナッジの実証をやる前に、何もやらない状況の対照群というものを設定をしておりますので、それと今回の8月の2回で、いわゆる消費者にいろいろな形で訴えた場合の違いというのを比較いたしまして、できるだけ早急に結果を発表したいと思いますが、現時点ではいつということをお話しできる状況にはございません。

2点目の子供の事故の注意喚起ですけれども、子どもの事故防止週間は、各関係省庁との連携でやられるということですか。

はい。

今後はこども家庭庁というのが設立されますけれども、そういうところも呼び掛けられるのでしょうか。

この呼び掛けについては、今まで10の府省庁で連絡会議を作って対応してきたところでございます。今お話がありましたように、こども家庭庁が設立する際には、これらの取組については、こども家庭庁が主軸になるということで調整をさせていただいているところでございます。

別件なのですが、先週、国民生活センターが、高齢者が特に被害に遭っている電話勧誘と送り付け商法について発表されました。去年の特商法改正第1弾施行ということで、7月だったわけですけれども、1年後の状況というのがちょっと気にはなっていたのですけれども、2倍ほど苦情相談が増えたということと、あと、ちょうど法律の対象になるべき送り付け商法についても、相対的には増えていると。
これは改正特定商取引法が施行されて1年後ということもあって、国民生活センターの方では、消費者庁に対して情報提供をされたということなのですが、これについては消費者庁としてどういった対応をとられる予定か、何かお考えがあればお願いしたいです。

今のお尋ねは、国民生活センターが7月14日に公表いたしました、海産物の電話勧誘販売、送り付けトラブルという案件についてということだと思います。国民生活センターの報道発表資料の中に相談件数のグラフがございますけれども、この件数は、海産物の「電話勧誘販売」と「送り付け」に関する相談の両方を合算した数字がこのグラフの中に入っているということでございます。それを見ますと、2020年から2021年には2倍以上に増加と記されております。このうち、注文していない商品の一方的な送り付けにつきましては、お話があったとおり、令和3年の特定商取引法の改正によりまして、消費者は送り付けられた商品を直ちに処分できるということで、これは同年7月に速やかに施行したところでございます。令和2年度には、このような一方的な送り付けに関する相談は6,000件を超えていたということでございますが、送り付けにつきましては、法改正後の令和3年には約半分程度に減少しているということで、少なくとも増加傾向は解消されたというふうに承知をしているところでございます。
他方、国民生活センターの報道発表資料によると、代引きによる送り付けの事例もあるということでございますので、これについては更に注意喚起が必要だと考えております。消費者の皆様におかれましては、注文した覚えのない商品が届いた場合には、受け取ったりお金を支払わないように、注意喚起をしっかりしていきたいと思っているところでございます。
また、国民生活センターから公表された件数のうち、およそ9割を電話勧誘が占めていると聞いています。電話勧誘販売の該当事案につきましては、国民生活センターとも連携しつつ、引き続きしっかりと注意喚起をしていき、特定商取引法の違反に関する事案には厳正に対処していきたいと考えております。

あと、新型コロナウイルスの感染者が増加しており、第7波とも言われていますが、これに対して消費者庁はずっと新しい生活様式ということを推奨されてきたと。
今回の第7波に対して、消費者庁として、消費者に対して言えることは何かあるかということと、もう一つは、前回の記者会見で御説明された、こども霞が関見学デーというのが、今年の場合は、会場での参加とオンラインでの参加、二つあるということでしたけれども、この会場参加については、変更はなく、このままいかれる予定ですか。

正に新しい生活様式ということで、テレワークの推進でありますとか、いろいろな形のものを政府一体となって推奨してきたところでございます。
今回、第7波というふうに言われておりますけれども、やはり、相当、世界的にも、またそれぞれの消費者としても、情報が大分収集され、知見も蓄積されてきたというふうに思いますので、仮に第7波ということになっても、慌てずに、皆さんの生活方式の中で何をやっていくのが感染防止にふさわしいのか、それから、自分のワークライフバランスをどうとっていくのが適切なのかということについて、冷静に判断し、考えていただきたいと思います。それは、会社の勤務形態についても同じだというふうに考えております。
それから、こども霞が関見学デーにつきましては、前回、会場とオンラインでというふうにお話をいたしましたが、十分な感染対策をして実施をしたいと思っておりますので、今のところ実施する方向で考えております。感染状況を注視しつつ、急に変更があれば、応募してくださった方々含め、御連絡を差し上げたいと思います。

フリーの木村です。
さっきの丸田記者の関連で改正特商法についてなのですが、6月1日から詐欺的な定期購入契約の対応が厳しくなったわけですけれども、まだ1月半ぐらいしか経ってませんが、何か状況変化とか、情報がありましたらお願いします。

今のところ目立った状況はないように思いますが、まだやはり相当水準は高いと思っておりますので、消費者庁として引き続き注意喚起をするとともに、事業者においては自制をしていただきたいと思います。

通販新聞の佐藤です。
さっき法の要件とかに応じてという話であったと思うのですけれども、今多分、今回のアサリの産地偽装みたいな問題というのは、景品表示法の規制対象の関係からすると、スーパーとかが表示の主体者みたいになっちゃって、生産とか、卸とか、そちらの方の問題を問えないということもあると思うのですが、今、消費者庁さんの方で景表法の検討会をやっていて、課徴金の割増しなんかも検討されていると思うのですけれども、その辺り、産地偽装の問題に長く対応できていないという部分に何か対処していくというようなお考えというのがあるのかお伺いしたいです。

私の経験も含めまして、産地偽装、確かにいろいろな案件がございます。先ほど申し上げましたように、食品表示法だけではなく、不正競争防止法で対応すべきもの、それから、景品表示法は基本的に優良誤認ということですので、表示でありましても優良誤認に当たる場合は当然そちらの構成要件を満たしてくるということでございます。今回の件を契機に、事業者側のコンプライアンスの強化も含めてどのようなものが必要なのかということについて全般的に対応すべきものがあるかとは思いますが、今回の案件を踏まえて直ちに何らかの制度を見直すということは、今のところ考えていないところでございます。

読売新聞の伊丹と申します。
食品ロスのイベント会場の実証実験の件で、ほかにもこういう大規模イベント会場でこういった実証実験をした例があるのかというのと、あと、対象人数はどれぐらいの規模になっているのか教えてもらえますか。

今回の実証事業は、消費者庁の予算を活用してやるものでございますので、予算の範囲内で今回はここだけということになります。このような実証事業は今回が初めてです。
それから、この楽天生命パーク宮城の最大収容人数は3万人と聞いておりますので、その範囲内での実証ということになります。

あと、10月は食品ロス削減月間だと思いますが、そこに向けて、何かほかにもこういう実証実験というか、何か取組される御予定とかあったら教えてください。

今回は、大規模イベント会場においてナッジを応用することでどのような効果を生み出すのか、という実証事業やらせていただきますが、食品ロスについては、環境省や農水省がいろいろな形で今まで取り組んできております。地道なところで申しますと、社員食堂などにおいて、食品ロス削減のポールを立てるとどのくらい食品ロスが減少するかとか、いろいろな取組があります。
そういった様々な取組を併せて行っていくということが必要だと思いますので、また関係省庁と連携しながら、いろいろな場所でやっていきたいと思います。