新井消費者庁長官記者会見要旨
(2022年7月13日(水) 14:00~14:23 於:中央合同庁舎第4号館4階共用第4特別会議室)
発言要旨
皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。
7月1日付けで異動いたしましたけれども、先週、いろいろ挨拶回りとかありましたので、1回延期をさせていただきました。皆さんとは初めてということでございます。よろしくお願いいたします。
マスクを取ってやった方がいいか、取らないでやった方がいいか悩ましいところでございますけれども、今、感染拡大ということもありますので、あえて皆様と距離を置いておりますが、マスクをして会見をさせていただければと思っております。
これから、いろいろ広い分野の方々と、この記者会見でお話をさせていただきたいと思っておりますし、消費者問題、何より消費者の方々が被害に遭わないように、やはり周知をしていくということが必要でございますので、皆さんの御協力を得ながらしっかりと周知をしていきたいと思いますし、この会見の場でも、私からお答えできることはできるだけ詳しくお答えし、その後の個別の取材にもしっかり対応していこうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
まずは冒頭発言ということで、皆様のお手元にチラシを配布させていただいておりますが、政府全体でやっております「こども霞が関見学デー」というのがございます。子供たちを対象に業務説明や職場見学を行い、様々な国の分野についていろいろ身をもって体験をしたり調査をしていただくということを、霞が関全体としてやっております。今年は8月3日から4日に行うということになっております。
今のところ、感染対策を徹底しながら会場とオンラインで実施することを予定しておりまして、消費者庁におきましては、そちらのチラシに書いてございますが、皆様の身近な問題ということで、食品ロスの削減、エシカル消費、身の回りの危険、栄養成分表示といったことをテーマにいたしまして、親子の方々がクイズやゲームで楽しめるプログラムを予定しておりますので、是非、多くの親子の方に参加していただいて、夏休みを有意義に過ごしていただければというふうに思うところでございます。
質疑応答
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問
テレビ朝日の本田です。
先日、消費者庁として、スシローに、おとり広告に関する措置命令を出されたかと思います。今日、また新たにスシローがリリースを出しておりまして、ビールの半額キャンペーンということでお店に掲示をしていたものの、対象日を書いていなかったということで、キャンペーンの前からそのような掲示をしていたので、そのキャンペーンがまだ始まっていないにもかかわらず、その対象日が書かれていない広告がお店に貼ってあったということで、実際、全額を取られたということでクレームなどが入って、今回、半額をお返しするというふうな措置を取られたようですが、先日、措置命令が出たという中で、今回、このような広告が出たことに関する受け止めと、今後の方針などが決まっていたらお聞かせください。
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答
株式会社あきんどスシローに対しましては、今年の6月9日にウニなどについての措置命令を行ったところでございます。
今回の事案につきまして、まだ事案を調査したというわけではございませんので、個別事案の御質問のお答えは差し控えさせていただこうというふうに思います。 - 問 リリースなどが出ていることに関しては御存じですか。
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答
はい。あきんどスシローが7月13日付けで速報という形でリリースをされていることは、先ほど担当から聞いたところでございます。
したがって、これにつきましては、担当からいろいろお話をさせていただこうというふうに思いますので、今の時点におきましては、私からはお答えを差し控えさせていただこうと思います。 -
問
朝日新聞の寺田です。
昨日なのですが、安倍元首相の殺害事件を受けて、全国霊感商法対策弁護士連絡会が会見を開かれまして、旧統一教会による霊感商法がいまだに続いているとして、消費者問題の危機感をあらわにされました。
消費者庁も特定商取引法や消費者契約法を所管しておりますので、まず、教会による霊感商法、あるいは霊感商法自体の被害の実情をどのように受け止めていられるかと、あと、これをきっかけにまた相談が増える可能性もあると思うのですが、消費者庁としてどのような対策や検討課題があるのか教えていただけたらと思います。
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答
このお話、三つのステージに分けて御回答させていただきたいと思います。
まず、お尋ねがありました旧統一教会、世界平和統一家庭連合の問題について、昨日、全国霊感商法対策弁護士連絡会の方々が記者会見をされたというのは承知しております。
その中におきまして、弁護士連絡会の方が、その被害金額等についてお話をされたということも承知しているところでございますが、それにつきましては、同連絡会のホームページを見ますと、弁護士のところに相談に来た被害額等、いろいろなものが集計されておりまして、この数字について私どもはなかなかコメントする立場にはないというのがまず第1点でございます。
それから、一般的に、こういう形で運気がよく上がりますよとかいう形でやっている霊感商法につきましては、過去から国民生活センターにおきまして注意喚起を行っております。内容を幾つか申し上げますと、金を多く払うことで運が開けたり幸せになったりするわけではないということを理解して、不安をあおるようなことを言われてもきっぱり断りましょうということですとか、電話で勧誘されて契約した祈祷サービスや商品などについてはクーリング・オフができることとか、やっぱり困ったときは早めに消費者ホットラインに御相談くださいということを従来から周知をしているところでございます。この注意喚起につきましては、現時点でも国民生活センターのホームページで御覧いただくことができるということでございますので、まずこのような商法に遭わないようにということで、未然防止をしていただきたいということでございます。
それから、私どもが所管をしております消費者契約法におきましても、平成30年の改正におきまして、消費者契約法は民事ルールでございますので、個別の事案については、最終的には裁判所が判断をするということになりますが、その第4条第3項第6号におきまして、このようないわゆる霊感商法について取消しの対象になるということを、法律上措置をしているところでございます。
具体的に読ませていただきますと、事業者が霊感などによって消費者に重大な不利益が生じる旨を示して消費者の不安をあおり、契約を締結することによって、確実にその重大な不利益を回避することを告げ、消費者がこれにより困惑して契約を締結したときは、消費者は契約を取り消すことができるということでございます。
この平成30年の法律改正後、不当な契約は取消しができます、あるいは無効ですという改正内容の中で、このようないわゆる霊感商法につきましても周知をしているところではありまして、基本的にこのような契約をできるだけ結ばないということで、これからも周知活動を徹底していきたいと考えております。 -
問
西日本新聞の石田と申します。
長官が在籍しておられた農林水産省と消費者庁ともに関わる件なのですが、今年、熊本県産のアサリの産地偽装問題に関して、熊本県から消費者庁に対して、書類保存の義務化と、書類保存期間を3年程度にすることを求める要望が出されていますけれども、改めて、この要望に対して消費者庁としてどのように取り組まれるか、長官の考えをお聞かせください。
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答
アサリ事件の詳細について、まだ、なかなか把握していないのですけれども、熊本県とは今も連絡を取っておりますので、それぞれの要望についてどう対応するかについては、また県とよく相談をさせていただこうと思います。
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問
ニッポン消費者新聞の丸田です。
冒頭発言の「こども霞が関見学デー」のことですが、参加要領等はもう発表されていらっしゃるのでしょうか。
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答
はい。7月6日からウェブサイトで参加者を既に募集しておりますので、具体的にはそちらを見ていただければと思います。
- 問 分かりました。あと、長官の会見が今日初めてということで、我々もそうなのですけれども、前任の伊藤さんからの引継ぎに当たって、何か言われたことはあるかとか、それとも、何か御自分で対応のあれはあるのかということと、あと、先ほどもお話に出ましたけれども、農水省の中で、ずっとJASであるとか、表示のことであるとか、消費者行政のことについてずっとされてきていたりとか、つまり、今後、消費者庁で長官としてやっていかれる中にあって、表示・安全・取引という消費者庁が管轄する分野の中で、長官御自身がこれはと思うもの、やってみたいという分野というのがあれば教えてください。
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答
前任の伊藤さんは3年にわたり消費者庁長官を務められまして、特にこのコロナの中にありまして、人々の不安が非常に高まっている。そういう中において、いろいろな事案に適切に対応されてきたというふうに思います。特に取引関係においては、書面というよりは、今はデジタル空間での契約が非常に増えているということで、それにつきましても適切に対応されてきたというふうに思います。伊藤前長官からは、消費者庁の課題全般について広く引継ぎを受けたところでございます。
私として何をやっていくかということでございますが、農水省の中におきまして、いわゆる川下と呼ばれる消費者分野、それなりに農水省の中においては恐らく長かったなというふうに思いますが、それが私の得意分野というわけではまずないということでございます。
それから、前回の挨拶式で申し上げた、基本に立ち返って仕事をしていくということがどこにおいても重要だと思っておりますので、この消費者庁ができるきっかけとなりました消費者基本法の中で、消費者の保護と、それから、消費者の自立の支援ということで、この2本が、この社会情勢の中でどのように進んでいるのか、あるいは、我々として短期的、それから中長期的にどういう課題を見出してやっていくのかということで、アンテナを高くしてですね、やはり課題に取り組んでいきたいというふうに思っております。
その中におきまして、そのアンテナとして非常に重要な位置を占めておりますのは、消費生活相談、PIO-NETに上がってくる情報というのが、私たちの社会を知る非常に大きな端緒になっております。その動向を分析することによって、こういうような事案が起こっている、それに対してどう対応していこう、あるいは既に対応しているものをもう一回再PRしようとかですね、そういう形でPIO-NETというのがアンテナの非常に重要な位置付けになっております。この「こども霞が関見学デー」のチラシで使われているキャラクターも188のマークがついておりますが、やはり泣き寝入りせずに、近くの消費生活センターに相談いただくということが、私たちが問題解決する端緒になるということでございますので、まずはそれを皆様に心掛けていただきたいと思います。
私たちはそれを分析することによって、やはり現代的な課題をどう解決していくのかということが必要だと思っていますので、その中において、まず国民へメッセージを発信していく。それから、事案をできるだけ早期救済の形で処理をしていく。それから、再発防止ということで、何よりも、転ばぬ先の杖をどうやって行っていくかということが、消費者庁として、消費者保護に一番大切ですので、そういう意味では、法律の改正もあるでしょうし、ガイドラインもあるでしょうし、再発防止ということも含めてやっていきたいと思っております。
これから国際的な取引も広がってまいりますし、今までのいろいろな消費者保護から少し発展してやっていかなければいけないということかと思いますが、挨拶式でも申し上げましたとおり、国民全員が消費者でありますので、国民が安心して生活ができる土壌という中で、消費者庁としてもいろいろな施策を考えていきます。
それから、やはり消費者庁は消費者行政の舵取りということでありますので、各省で持っている分野についても、しっかりと連携しながら課題を解決していきたいと思っているところでございます。 - 問 歴代の長官の方々がいつもおっしゃっていたのは、就任に当たって注意するべき点として、要するに消費者庁の理念である縦割り行政の打破と。これが各省庁から集められた職員の方々が縦割り行政にどうしてもなっていくということは、消費者団体も言われています。これについては、何か長官として、対応策とか何か思いがあればお聞きしたいと思います。
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答
消費者庁は、縦割り行政というよりは、やはりダイバーシティをどうやって生かしていくのかということで、今いろいろな引継ぎを受ける中においても、職員の方々と話しているところでございます。
それぞれの経験、いろいろな知見があるということは、問題解決に向けてやはりいい方向に向かっていくと思っていますので、そこはしっかりしてやっていきたい。
それから、今御指摘がありましたとおり、縦割りを打破するために舵取り役として消費者庁ができたということですので、消費者庁のアンテナの中で各省にしっかり物を言っていけるような我々も知見を持たなければいけませんので、言っていけるような環境というのをしっかり作っていきたいと考えています。 -
問
徳島新聞の北野と申します。
今のに関連して、徳島の新未来創造戦略本部において、今後どういった事業に力を入れていきたいかというような抱負をお願いします。
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答
徳島の新未来創造戦略本部は、2020年7月に恒常的な拠点ということで活動を開始しているところでございます。
徳島におきましては、徳島県及び市町村の方々の御協力をいただきました実証フィールドということで、幾つかのモデルプロジェクトを実施する。それから、国際的な消費者研究をやるということで、国際シンポジウムなどを開催していただいているところでございます。
徳島の新未来創造戦略本部、これ実は消費者庁の中で今まで「戦略本部」というふうに略称されていたのですが、少し皆さんと相談して、「未来本部」という略称にしたいというふうに考えておりまして、今までの活動もそうなのですけれども、徳島において新しい取組をまず実証していただいて、それらを全国に広げていくという、この役割が非常に重要だと思っています。
そういう点においては、既にSNSを活用した新しい消費生活相談というのを徳島で実証していただきましたので、これは他県に広げていく。それは消費者にとっても、相談員の方にもメリットになることでございますので、こうした全国展開するものを徳島から発信をしていくという形での実証研究を中心にやっていきたいというふうに思っています。
もう一つは国際的な業務ということで、今まで国際シンポジウムを6回実施しました。先進的な取組、それから、世界との交流というのをやっていただきましたので、これもやはり非常に重要だと思っています。
そういう中におきまして、実は各国に、この消費者庁と同じようなものがあるというわけではないので、なかなか国際的な活動をするときにカウンターパートを見つけるのが結構難しいということを自覚いたしました。
そういう状況ではありますけれども、やはり消費者問題という世界各国の方の共通の悩みを解決していく。その中で、日本が先進的なものがあれば、やはり交流するような形を作っていくということで、そういう形の将来を担う施策というのを徳島発で作っていきたいと思っておりまして、今月中には知事ともその点についてお話をさせていただきたいと思っております。 - 問 ありがとうございます。徳島県の方では、未来本部の更なる機能強化とか人員増などを国に求めていますけれども、この辺りへの所感をお願いいたします。
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答
そのような話は聞いておりますが、まずはこの未来本部の取組を進めて、しっかりと成果を出していくということが必要でありますので、その点につきましても、また知事とお話をさせていただきたいというふうに思います。
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問
時事通信の甲斐田です。
ちょっとまた霊感商法の話に戻って恐縮なのですが、昨日、霊感商法に取り組んでこられた弁護士さんが会見をされたということで、今後こういう相談が増えてくることも予想されると思うのですけれども、消費者庁として、今後この相談が増加することを見越して何か対策を講じていくといったお考えはございますでしょうか。
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答
恐らく増えてくる可能性があるということは否定できないと思います。消費者庁におきましては、正に各地域の消費生活相談を展開しておりますので、その中でしっかり皆様の相談を引き受けていくということだと思っております。
- 問 いわゆる従来型の消費生活センターで、そういう霊感商法であったりとか、霊感商法に限らず、そういう悪質な訪問販売があれば相談を受け付けていくということだと思うのですが、例えば、余りにも悪質なしつこい訪問業者とかがあれば、特定商取引法に基づいた行政処分であったりとか、消費者安全法による業者名の公表とか、いろいろな対策も考えられると思うのですけれども、今後そういう悪質な商法の業者が見つかった場合には、そういった対策というのをまた講じていかれるのでしょうか。
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答
それは当然であります。冒頭に、PIO-NET、いわゆる消費生活相談のデータが、私たちのいろいろな施策を取るときの非常に大きなツールになっているというお話をさせていただきました。今までも特定の業者について、いろいろな情報が各地から上がってきたときには、それに対する対応ということで、おっしゃったように、我々の法的な措置の中で適切なものを行っていくということでございますので、それはいろいろな商法、全て同じでございます。
- 問 分かりました。先ほどですね、弁護士の会見については、これは飽くまで弁護士さんのところにそういう統一教会に関する相談が集まっているものであって、消費生活センターだけに集められたものではないので、これについては回答はされないということだったのですけれども、消費生活センターに来る相談件数というのは、当然、消費者庁さんの方から確認することもできると思うのですが、霊感商法の件数であったりとか、そういったものを確認された上で、最近の傾向についてどのように見られているかということをコメントすることは可能でしょうか。
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答
それについては今日お答えすることはなかなかできないと思います。分類の中で、どういう形で受けた相談をどのように分類するのかということがまずございます。公表されている集計を見ますと、被害弁護で東京に来たもの、それから全国弁護団で東京以外のもの、それから、消費生活センターということで、その集計をまとめて公表されていらっしゃる。それがホームページに載っているデータでございます。
その中の消費生活センターということで件数も書いてございますけれども、これを歴年で、私どもの分類と同じか違うかということは、なかなか今日、即座にお答えできるような状況ではないということでございます。