第1部 第2章 第3節 (3)高齢者の社会貢献活動の支援
第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動
第2章 【特集】高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組
第3節 高齢者の社会貢献活動への参画の促進
(3)高齢者の社会貢献活動の支援
ここでは、消費者市民社会の実現に向けて、高齢者を支援する消費者庁の取組と、民間や海外の取組事例を紹介します。
社会貢献活動の支援にも様々な形がある
高齢者の社会貢献活動を支援している人たちへの取材では、高齢者が自分自身の状態や希望に合った社会貢献活動や仕事とマッチングできるアプリケーションの研究開発事例や、ボランティアは無償で行うものというイメージもある中、あえて有償ボランティアという仕組みの提供に取り組んでいる事例の話がありました。
また、海外の行政による取組事例では、高齢者のボランティア活動を直接支援する仕組みのほかに、高齢者の視点や意見を都市計画にいかすことによって社会貢献につなげていく取組もみられました。
このように、高齢者の多様性に合わせて、高齢者の社会貢献の支援の仕方にも様々な形がみられました。
消費者庁の取組
消費者庁では、消費者市民社会の実現に向けて、持続可能な社会の形成のために、消費者に対して食品ロス削減やサステナブルファッション等のエシカル消費や、消費者、事業者、行政等の関係者が共に連携・協働できるよう、「消費者志向経営」の推進に取り組んでいます。
食品ロス削減の推進については、消費者が食品ロス削減の問題を「他人事」ではなく「我が事」として捉え、「理解」するだけにとどまらず「行動」に移すために様々な取組を行っています。例えば、「食品ロス削減月間」(毎年10月)や「食品ロス削減の日」(10月30日)を定め、集中的な情報発信を行っています。また、食品ロス削減に向けた啓発活動の一環として、「食品ロス削減推進大賞」や「『めざせ!食品ロス・ゼロ』川柳コンテスト」を実施しています。さらに、地域において食品ロス削減を推進する人材を育成するために「食品ロス削減推進サポーター」制度を創設し、サポーター育成のためのオンライン講座を実施しています。
サステナブルファッションの推進については、消費者庁、経済産業省、環境省の3省庁による「サステナブルファッションの推進に向けた関係省庁連携会議」を開催し、連携して取組を進めています。また、消費者庁の特設サイト内の特設ページにおける情報提供のほか、Instagramの公式アカウントによるサステナブルファッションに関する情報の定期的な発信等により、消費者のサステナブルファッションへの関心を高め、実践している人の輪を広げる取組を進めています。
エシカル消費の推進についても、消費者庁の特設サイトやInstagramの公式アカウントにおいて定期的な情報発信等を行うことにより、一人一人の消費行動が持つ「世界の未来を変える大きな可能性」の発信に取り組んでいます。
消費者志向経営の推進については、消費者志向経営の取組に関する優良事例の表彰を行い、広く社会への発信を行っています。高齢社会の課題に対応した様々な取組を行っていること等が評価され、「令和3年度消費者志向経営優良事例表彰」において、消費者庁長官表彰(特別枠)に選定されたパルシステム生活協同組合連合会の事例を、第1部第2章第2節の「高齢者の消費行動」で紹介しています。
これらの消費者庁の取組の詳細については、第2部第1章第3節「消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進」で紹介します。
担当:参事官(調査研究・国際担当)