困っている高齢者と助けたい高齢者をつなぐ:街のお助け隊コンセルジュ
NPO法人「街のお助け隊コンセルジュ」(以下「街のお助け隊コンセルジュ」という。)は、困っている高齢者と、困っている人を助けたいという高齢者をつなぎ、困り事を解決するための「有償ボランティア」の仕組みを提供しています。
見過ごしがちな、日々のちょっとした困り事を解決したい
高齢になり身体機能が低下すると、電球の交換や花壇への水やり等の簡単な作業も実施が難しくなってきます。そうした作業を自分でやらなくてはいけない場合、ついついそのままにしてしまうことも多く、そういったことが少しずつ積み重なり、日常生活に支障を来していることもあるそうです。一方で、様々な経験や知識を持った元気な高齢者の方々もいます。そこで、困っている高齢者と元気な高齢者をつなぐことで、困り事を解決することはできないかという考えから、街のお助け隊コンセルジュの活動が始まりました。
依頼する人、依頼される人、地域にとって三方よしの「有償ボランティア」
街のお助け隊コンセルジュは有償ボランティアにこだわり活動しています。無償ボランティアの場合、依頼する側が「厚かましいと思われたくない」という気持ちから継続して依頼することをためらってしまうそうです。また、無償のため自分の希望を伝えにくいということもあるといいます。そのため、あえて有償にすることで、依頼する人が遠慮することなく依頼できるようにしています。また、依頼される人も依頼された仕事を行い感謝されることが楽しみや生きがいにつながり、報酬があることが活動を続けていく後押しになるため、有償ボランティアは依頼する人、依頼される人、両者にメリットがあるそうです。
街のお助け隊コンセルジュの仕組みは、まず作業を依頼する人が、街のお助け隊コンセルジュが発行する1枚1,000円10枚つづりのクーポン券を事前に購入し、作業完了後に所定の枚数のクーポンを依頼された人に渡します。このクーポンを街のお助け隊コンセルジュに渡すと、半額分を現金、残りの半額分を品川区の商店街で使用できる商品券と交換できます。商店街で使える商品券で還元することで、地域の活性化にもつながっています。
地域の皆さんから信頼を得ることが重要
代表を務める青木弘道氏は「設立当初は街の皆さんの信用をなかなか得ることができず、依頼も少なかった。地域で活用してもらうためには、信頼を得ながらゆっくりと広げていくことが大切」と話します。青木氏は、高齢者の名前を覚え、積極的に名前を呼んで挨拶や声掛けをしていくなどの地道な取組を積み重ね、今では商店街を歩いていると気さくに声を掛けてもらえるほど地域の皆さんの信頼を得られているそうです。
担当:参事官(調査研究・国際担当)