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第1部 第2章 第2節 (4)高齢者の消費者トラブル防止に向けた行政の対応

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組

第2節 高齢者の消費行動と消費者トラブル

(4)高齢者の消費者トラブル防止に向けた行政の対応

■法制度の運用

消費者契約法の改正(2018年、2022年)

 2018年6月に、「平成30年改正消費者契約法(注49)」が成立しました。同改正法では、高齢者等に発生している被害事例等を念頭に、加齢等による判断力の低下を知りながら行う不当な勧誘行為に対する取消権の創設等がなされ、2019年6月に施行されました。

 さらに、2022年5月に、「令和4年改正消費者契約法(注50)」が成立しました。この改正法では、契約の取消権の拡充が図られるとともに、事業者の努力義務も拡充されました。事業者は、契約の締結について勧誘する際に、消費者の知識や経験に加えて、年齢・心身の状態も総合的に考慮した情報提供に努めなければならないことが定められました。

特定商取引法の改正(2021年)

 2021年6月に、「令和3年改正特定商取引法・預託法(注51)」が成立しました。通信販売において消費者を誤認させる表示や契約解除の妨害を禁止するなどの「詐欺的な定期購入商法対策」、売買契約に基づかないで送付された商品を直ちに処分できる「送り付け商法対策」が導入されました。また、高齢者等で被害事例が発生した販売預託商法への対応として、販売を伴う預託等取引(販売預託)は原則禁止となり、これらの規定は2022年6月1日までに施行されました。

 2022年には、悪質な住宅リフォームに関する消費者被害が高齢者に多くみられることへの対応として、「訪問販売又は電話勧誘販売における住宅リフォーム工事の役務提供に係る過量販売規制に関する考え方」を新たに策定しました。

 これらの取組の詳細については、第2部第1章第2節「消費者被害の防止」で紹介します。

事例
EU加盟国における高齢者への地域密着型消費者アドバイスの取組

事例
米国での高齢消費者保護の取組


  • (注49)「消費者契約法の一部を改正する法律」(平成30年法律第54号)
  • (注50)「消費者契約法及び消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の一部を改正する法律」(令和4年法律第59号)
  • (注51)「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」(令和3年法律第72号)

担当:参事官(調査研究・国際担当)