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罰則その他事項に関するQ&A

質問

回答

Q1 本法の規定に違反した場合、刑罰や行政処分の対象となりますか。
A

内部公益通報対応体制の整備義務等に違反した場合等には、助言、指導又は勧告の対象となり、勧告に従わない場合には公表の対象となります。また、報告徴収について、報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、20万円以下の過料対象となります。
また、公益通報対応業務従事者又は公益通報対応業務従事者であった者が、正当な理由がなく、公益通報対応業務に関して知り得た公益通報者を特定させる事項を漏らした場合には、30万円以下の罰金の対象となります。
なお、本法の規定に違反し、公益通報者に対して解雇その他不利益な取扱いを行った場合、このこと自体が直接行政指導、行政処分等の対象となるわけではありませんが、当該不利益な取扱いが行われたことが内部公益通報対応体制の整備義務等に違反していると評価される場合等には、助言、指導、勧告又は公表の対象になり得ます。また、通報対象事実となる法令違反行為については、関係法令に基づき刑罰が科されたり、行政処分が課されたりすることがあります。

Q2 従事者が過失により公益通報者を特定させるものを漏らした場合、刑事罰の対象となりますか。
A

本法には過失犯処罰の規定がなく、その場合は刑事罰の対象とはなりません。 ただし、行為態様によっては範囲外共有として各事業者の内部規程に基づく懲戒処分その他適切な措置の対象となる場合も想定されます。

Q3 従事者の指定を受けていない者が公益通報者を特定させる事項を漏らした場合、刑事罰の対象となりますか。
A

従事者の指定を受けていない者が公益通報者を特定させる事項を漏らした場合、本法第21条の規定による刑事罰の対象とはなりません。
ただし、当該行為は公益通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有する行為として、指針に定める範囲外共有に該当する可能性があり、当該範囲外共有を行った者は事業者の内部規程等に従い懲戒処分等の対象となる場合も想定されます。

Q4 本法に定める要件を満たさない通報は保護されませんか。
A

本法に定める要件を満たさない通報については、解雇について客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当であると認められない場合に無効とする労働契約法(平成19年法律第128号)第16条など、他の法理により通報者の保護が判断されます。
こうした趣旨を明確に示すために、本法(第8条第2項、第3項、第4項)では、通報を理由とした解雇、出向、懲戒について、労働契約法の規定(第16条、第14条、第15条)の適用を妨げず、また、通報を理由とした役員の解任について、このような解任により生じた損害の賠償を認めた他の法令の規定の適用を妨げるものではない旨が定められています。

Q5 零細企業など企業規模等によって、本法の規定の対象外となる場合はありますか。
A

本法は、内部公益通報対応体制の整備義務等を除き、事業者の範囲について規模による限定を設けていませんので、企業規模等によって対象外となることはありません。
なお、内部公益通報対応体制の整備義務等については、常時使用する労働者の数が300人以下の事業者に対し、努力義務が課されています。

Q6 本法の地理的な適用範囲はどのようになりますか。
A

本法には、民事法、刑事法及び行政法に関連する規定が設けられており、本法の適用範囲は各規定の性質により異なります。
民事法関連の規定についての国際的な事案における適否については、法の適用に関する通則法(平成18年法律第78号)の規定によることとなり、例えば、公益通報をしたことを理由とする解雇の有効性についての準拠法は、労働契約の効力についての準拠法を定める法の適用に関する通則法第12条の規定によって判断されることになります。
刑事法関連の規定については、刑法(明治40年法律第45号)の規定によることとなり(刑法第8条)、日本国内において罪を犯した全ての者に適用されます(刑法第1条)。
行政法関連の規定については、本法が、公益通報者の保護を図るとともに、国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる法令の規定の遵守を図ることを目的としていることから、本法による保護等の対象となることとなる「公益通報者」からの「通報対象事実」に係る本法第3条第1項に規定する公益通報の通報先となり得る事業者に適用されます。したがって、原則として国内の事業者に対して適用されます。

Q7 行政機関以外のその他の外部通報先向けの通報対応ガイドラインはありますか。
A

その他の外部通報先は多種多様であるとともに、行政機関がガイドラインを定めることが適当でない場合もあると考えられることから、ガイドラインは設けられていません。

Q8 行政機関以外のその他の外部通報先が公益通報を受けた場合、どのような点に留意して対応するとよいですか。
A

本法には、その他の外部通報先が公益通報を受けた場合の対応についての規定はありませんが、通報内容が事実であれば、問題を是正するために適切な対応をすることが求められます。
また一般的に、公益通報は、事業者の社会的信用や営業秘密、公益通報者の個人情報等に関係することから、それらに十分配慮して対応することが求められます。

Q9 本法と、法令違反を通報した労働者を保護する個別の法律との適用関係はどうなりますか。
A

通報者の保護を規定した個別の法律としては、例えば、
労働基準法(昭和22年法律第49号)
鉱山保安法(昭和24年法律第70号)
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号)
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
などがあります。
これらの法律に違反する事実を通報した労働者の保護については、それぞれの法律における通報者保護の規定が適用されるとともに、当該通報が公益通報に該当し、保護要件を満たす場合には、本法における保護の規定も適用されます。

担当:参事官(公益通報・協働担当)