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行政機関向けQ&A(内部の職員等からの通報)

質問

回答

Q1 公務員が公益通報を行うことは、国家公務員法や地方公務員法に定める守秘義務に反しませんか。
A

国家公務員法(昭和22年法律第120号)第100条第1項や地方公務員法(昭和25年法律第261号)第34条1項等に規定する秘密とは、非公知の事実であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものと解されています。
公益通報等の対象となる法令違反行為は、犯罪行為などの反社会性が明白な行為であり、秘密として保護するに値しないほか、公務員には刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項により犯罪の告発義務が課されている趣旨にも鑑みれば、公益通報をしても守秘義務に反しないと考えられ、むしろ公務員として積極的に法令違反の是正に協力すべきものと考えられます。

Q2 国の行政機関や地方公共団体において、公益通報の主体となる役員に該当する者は想定されますか。
A

本法では、役員は、民間事業者の役員を想定しており、国の行政機関や地方公共団体の公務員が役員に該当することは想定されていません。(令和2年改正において、民間事業者の役員と事業者との関係性(委任関係であり原則としていつでも解任が可能、労働者と比べて重い善管注意義務や忠実義務を負う等)を踏まえ、役員の定義、保護要件及び保護内容が規定されました。)
他方で、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者」(労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条)に該当する場合には、労働者として公益通報が可能であるところ、公務員については、(個別の事例ごとに上記の該当性が判断されることになりますが、)原則として労働者に該当すると考えられますが、例えば、国の行政機関や地方公共団体における特別職等の幹部公務員等の中には、労働者に該当しない者が存在することも想定されます。
国の行政機関や地方公共団体においては、本法の趣旨を踏まえ、これらの幹部公務員等からの通報について、労働者等からの公益通報と同様に、通報対応等を行うことが望ましいものと考えられます。

Q3 行政委員会など異なる部局が職員の任命権を有している場合等については、どのように内部公益通報受付窓口を設置すればよいですか。
A

部局横断的に総合的な内部公益通報受付窓口を設置することや任命権者ごとに内部公益通報受付窓口を設置することも考えられます。

Q4 行政機関向けガイドライン(内部の職員等からの通報)において、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとるとされていますが、事案に関係する者とは具体的にどのような者を指しますか。
A

事案に関係する者とは、公正な公益通報対応業務の実施を阻害する者をいいます。
典型的には、法令違反行為の発覚や調査の結果により実質的に不利益を受ける者、公益通報者や被通報者(法令違反行為を行った、行っている又は行おうとしているとして公益通報された者)と一定の親族関係がある者等が考えられます。
なお、公益通報対応業務に関与する者が、自らが事案に関係する者に該当するか否かの判断ができるように、想定すべき事案に関係する者の範囲については、内部規程において具体的に例示をしておくことが望ましいと考えられます。

Q5 行政機関の代理人その他の者について通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしているときも通報ができることになっていますが、その他の者とは、具体的にどのような者を想定していますか。
A

本法第2条第1項に規定するその他の者としては、例えば、行政事務が民間委託されている場合に、委託を受けてその事務を行う民間事業者が含まれ得ると考えられます。

Q6 行政機関向けガイドライン(内部の職員等からの通報)において通報対象の範囲とされている、適正な業務の推進のために各行政機関において定める事実とはどのような事実を想定していますか。
A

適正な業務の推進のために各行政機関において定める事実とは、各行政機関の実情に応じて定めることが可能ですが、例えば、公務員倫理規程違反の事実、懲戒処分の対象となる非違行為の事実等が考えられます。これらの事実を放置する場合には、行政に対する信頼失墜につながるのみならず、場合によってはこのような不作為が違法性を帯びることもあり、適切に対処することが望まれます。

Q7 内部公益通報受付窓口において、内部の職員等と、国民等や地方公共団体の住民等からの通報は同じ基準で受け付ける必要がありますか。
A

内部公益通報受付窓口で受け付ける通報の基準については、内部規程を策定する各行政機関の判断において、通報者の属性等に応じて、一定の差異を設けることはあり得ます。

Q8 本法第2条第1項第3号に規定する、「請負契約その他の契約に基づいて事業を行」う場合には、行政機関が民間委託を行っている場合は含まれますか。
A

民間委託も契約に基づいて行われていると考えられることから、この場合も含まれます。

Q9 本法第2条第1項第3号に規定する、「請負契約その他の契約に基づいて事業を行」う場合には、指定管理者制度に基づいて管理者を指定した場合は含まれますか。
A

管理者の指定は契約とは異なると考えられることから、本法上は含まれません。ただし、法令遵守を図る観点から、各行政機関で定める内部規程等により、指定管理者内部の労働者からの通報を受付の範囲に含めることも考えられます。

担当:参事官(公益通報・協働担当)