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行政機関向けQ&A(全般)

質問

回答

Q1 国の行政機関向けガイドラインの位置付け・趣旨について教えてください。
A

国の行政機関向けガイドライン(内部の職員等からの通報)及び国の行政機関向けガイドライン(外部の労働者等からの通報)は、本法の制定に際する国会の附帯決議において、「公益通報を受けた行政機関がとるべき対応について、ガイドラインの作成等により(中略)適切な対応を確保すること。」(平成16年5月衆議院内閣委員会)などと指摘されたこと等を踏まえ作成されたもので、国の行政機関において内部の職員等及び外部の労働者等からの通報を適切に取り扱うため、関係省庁間の申合せにより策定されています。

Q2 地方公共団体向けガイドラインの位置付け・趣旨について教えてください
A

地方公共団体向けガイドライン(内部の職員等からの通報)及び地方公共団体向けガイドライン(外部の労働者等からの通報)は、本法の制定に際する国会の附帯決議において、「公益通報を受けた行政機関がとるべき対応について、ガイドラインの作成等により(中略)適切な対応を確保すること。」(平成16年5月衆議院内閣委員会)などと指摘されたこと等を踏まえ作成されたもので、地方公共団体において内部の職員等及び外部の労働者等からの通報を適切に取り扱うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的な助言として策定されています。

Q3 本法と行政機関向けガイドラインはどのような関係にありますか。
A

本法では、行政機関に対して、内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置及び2号通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置をとることを義務付けています。
内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置については、指針において具体的な内容が規定されており、行政機関は指針を遵守する必要があります。
他方、2号通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置については、通報対象事実に係る法律の規定による権限の行使に関わるものであり、一義的には処分又は勧告等をする権限を有する各行政機関で判断されるべき事項であることから、内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置とは異なり、指針を策定することとされておらず、各行政機関はそれぞれの実情等も勘案し、本法が求める措置を講ずる必要があります。
これに対し、行政機関向けガイドラインは、内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置及び2号通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置等について定めており、いずれも法的拘束力があるものではありません(国の行政機関向けガイドラインは関係省庁間における申合せ、地方公共団体向けガイドラインは技術的な助言)が、行政機関は、同ガイドラインの規定も踏まえながら、本法に定める上記の義務を遵守するための措置を検討することが考えられます。

Q4 公益法人や独立行政法人は、行政機関向けガイドラインの対象となりますか。
A

行政機関向けガイドラインは、国の行政機関及び地方公共団体を対象としたものです。
このため、行政機関ではない公益法人や独立行政法人は、行政機関向けガイドラインの対象とはなりません。
ただし、職員に国家公務員の身分が与えられている法人(行政執行法人)は、公益性も高く、職員の身分については一般職の国家公務員とされており、行政機関と同様、本法第9条の規定の対象となっているところ、このような法人において内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置をとる際は、人事院の救済制度の周知等の項目が含まれている国の行政機関向けガイドラインも参考にするとよいでしょう。

Q5 地方支分部局等においては、どのような体制整備を行うべきですか。
A

国の行政機関向けガイドラインでは、地方支分部局等を置いている行政機関にあっては、その通報対応の仕組みの下で、各地方支分部局等においても適切に内部公益通報及び2号通報への対応を行うための周知、体制整備その他必要な措置を講ずることを定めています。
この場合の体制整備に当たって、必ずしも各地方支分部局等ごとに通報窓口を設置することのみを意図したものではなく、例えば、本省における一元化された窓口等を前提とした通報対応の仕組みの下で、各地方支分部局等における通報対応の手順についての内部規程を整備したり、担当者を指定して必要な知識・技能を修得させたりすることなど、様々な方法が含まれます。
ただし、例えば、各地方支分部局等に公益通報があった場合に、単に本府省庁の窓口を紹介するということだけにとどまるのではなく、地方支分部局等の実態を踏まえた実効的な公益通報対応が実質的にとれるよう、各行政機関の実情に応じて、各地方支分部局等においても本省と同等に対応できるような体制整備を検討することが必要です。

Q6 内部公益通報受付窓口及び2号通報の受付窓口が、他の窓口(行政相談窓口やハラスメント通報・相談窓口等)を兼ねることは可能ですか。
A

組織の実態に応じて、内部公益通報受付窓口及び2号通報の受付窓口が、他の通報窓口(行政相談窓口やハラスメント通報・相談窓口等)を兼ねることや、内部公益通報受付窓口及び2号通報の受付窓口を設置した上で、これとは別に不正競争防止法(平成5年法律第47号)違反等の特定の通報対象事実に係る公益通報のみを受け付ける窓口や本法で定める通報対象事実以外の法令に関する通報・相談を受け付ける窓口(ハラスメント通報・相談窓口等)を設置することは可能です。
また、国の行政機関においては、各府省等倫理監督官宛て国家公務員倫理審査会会長通知(平成17年3月31日付け倫参第22号)に記述されているとおり、職員の職務に係る倫理の保持のための通報制度と一体化することも差し支えありません。

Q7 行政機関向けガイドラインにおいて、通報対応の責任者は幹部とするものとされていますが、具体的にどのような者を想定していますか。
A

幹部としては、部署間横断的な仕組みの整備・運用を統括するという観点から、一般的には行政機関内における総合調整機能を担う部局の指定職クラスなどが想定されます。なお、制度の円滑かつ適切な運営に支障が生じないのであれば、内部の職員等からの通報に対応する仕組みと外部の労働者等からの通報に対応する仕組みのそれぞれに別の責任者を定めることを妨げるものではありません。

Q8 内部規程には、行政機関向けガイドラインに記載されている事項を全て盛り込む必要がありますか。
A

国の行政機関向けガイドラインは関係省庁間の申合せにより策定されたものであり、同ガイドラインに記載されている事項については、基本的に、各省庁が定める内部規程に盛り込む必要があります。他方、地方公共団体向けガイドラインは技術的な助言であり、同ガイドラインに記載されている事項については、基本的に、各地方公共団体が定める内部規程に盛り込むことが望ましいものと考えられます。
また、行政機関向けガイドラインにおいて、具体例として示している部分や一定の留保事項を付している部分等については、同ガイドラインの趣旨を十分踏まえた上で、各行政機関の実情に応じて内部規程に盛り込む内容を定めることになりますが、内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置をとるに当たっては指針を遵守する必要があり、指針の解説も踏まえて対応することが求められます。

Q9 内部規程に、行政機関向けガイドラインに記載されている事項よりも充実した取組について盛り込んでもよいですか。
A

行政機関向けガイドラインの趣旨を踏まえ、各行政機関の実情に応じて、更に充実した取組を内部規程に盛り込むことは適切であり、望ましいと考えられます。

Q10 内部規程については、どのような形式で定める必要がありますか。地方公共団体においては条例で定めなければなりませんか。
A

内部規程について形式に定めはなく、議会の議決を要する条例により定める必要はありませんが、訓令・規則・要綱など組織として意思決定がなされた形式で定めることが必要です。

Q11 行政機関向けガイドラインでは、本法よりも通報対象の範囲や通報者の範囲が拡大されているのはなぜですか。
A

業務運営におけるリスクに係る情報の早期把握の機会の拡充、行政機関における一層の法令遵守を図る観点などから、行政機関向けガイドライン(内部の職員等からの通報)では、本法よりも通報対象の範囲や通報者の範囲を拡大しています。

Q12 行政機関向けガイドラインでは、通報者の範囲について、職員等のほか、必要と認められるその他の者からの通報を受け付けるとしていますが、必要と認められるその他の者とは、具体的にはどのような者を指しますか。
A

必要と認められるその他の者とは、行政機関や事業者において、法令違反行為等の存在を知り得る立場にあり、法令遵守を確保する上で有益な情報提供を行う可能性の高い者を指し、例えば、退職後1年以上経過した者や取引先事業者等が該当します。

Q13 行政機関向けガイドラインに従い、本法の定める公益通報以外の通報についても各行政機関において受理等を行った場合、公益通報者以外の通報者についても本法の規定による保護の対象となるとの誤解を招くのではないですか。
A

行政機関が本ガイドラインに基づき通報の受理等を行ったとしても、本法の定める公益通報者以外の通報者については、本法の規定による保護の対象とはなりません。なお、公益通報以外の通報についても他の法理による保護の対象となる場合がありますが、いずれの通報についても、本法や一般法理による保護の対象となるかどうかについては、最終的には裁判所の判断に委ねられています。
よって、通報者に誤解を与えることを避けるため、各行政機関において通報が受理等されることは、必ずしも当該通報者が本法の規定による保護の対象となることを意味しない旨などについて、通報・相談窓口の案内に注記したり、通報受付時に説明したりすることが適当と考えられます。

Q14 公益通報対応業務に関与する者が利益相反関係を有していないかどうかの確認はどのように行えばよいですか。
A

利益相反関係を有していないかどうかの確認については、通報事案との関係を自己申告させるとともに、過去の勤務経歴等によって確認することが一般的と考えられますが、具体的には個別のケースごとに各行政機関において検討することになります。なお、利益相反関係の確認を行う際は、通報者が特定されないよう留意する必要があります。

Q15 行政機関向けガイドラインにおいては、通報を受け付けた際の説明事項の1つとして、通報受付後の手続の流れが挙げられていますが、具体的にはどのようなことを説明すべきですか。
A

一般的には、行政機関向けガイドラインに掲げられている一連の手続の流れや個別の所管法令に定められた手続等を説明することが考えられます。これらのうち定型的なものについては、例えば各行政機関のウェブサイト等に掲載し、これを案内し確認してもらうことなども考えられます。

Q16 調査結果の通知と是正措置等の通知は一括で行うこともできますか。
A

調査結果を踏まえて、是正措置等を速やかにとることが可能であれば、通報者への通知を一括で行っても差し支えありません。

Q17 通報の受理から通報対応の終了までに要する標準的な期間は必ず定める必要がありますか。また、それを定める場合、どの程度の期間が適当ですか。
A

通報の受理から通報対応の終了までに要する標準的な期間については、これを定めることが難しい場合もあるため、行政機関向けガイドラインでは、通報者に対し、必要と見込まれる期間を通知することでもよいとしています。
なお、事務の性質上、見込み期間を通知することも困難な場合があり得ることから、行政機関向けガイドラインでは、当該標準的な期間の定め及び見込み期間の通知については努力義務規定としています。
標準的な期間を定める場合、具体的にどのような期間が妥当なのかについては、問題となる法令ごとに異なります。各所管法令に基づく事務の特性に応じて、各行政機関において適正と判断する期間を定めることになります。

Q18 各行政機関が職員等に対する周知を行う場合、消費者庁はどのような協力を行いますか。
A

消費者庁ではこれまでも累次にわたり行政機関の職員向けの研修を行っているほか、各行政機関の求めに応じて個別に説明会を開催することや必要な教材等を提供するなどの協力を行っているところであり、今後もその充実に努めることとしています。
もっとも、制度の実効性を向上させるためには、各々の行政機関において、各々の所管業務の実情や通報対応の仕組み等に応じた教育・研修や資料作成等を行うことが何よりも重要です。

Q19 行政機関向けガイドラインに定める、他の行政機関その他公の機関に対する協力が必要となるのはどのような場合ですか。
A

例えば、複数の行政機関で共管する法律があり、複数の行政機関の所管部分にまたがって法令違反行為が行われているとの通報がなされた場合や、通報された事実が複数の行政機関で所管する複数の法律に抵触する場合、特定の地域に関する法令違反について地方支分部局ではなく本省に通報がなされた場合などには、関係する行政機関は情報共有をすることや立入検査等の日程を調整するなどの協力をすることが必要と考えられます。

Q20 行政機関向けガイドラインにおいては、通報対応体制の運用状況について、職員等及び中立的な第三者の意見等を踏まえて定期的に評価及び点検を行うとされていますが、具体的にはどのような方法により行えばよいですか。また、中立的な第三者についてはどのような者を想定していますか。
A

定期的な評価及び点検の方法として、例えば、以下のようなもの等が考えられます。

    • 職員等に対する内部公益通報対応体制の周知度等についてのアンケート調査(匿名アンケートも考えられる。)
    • 担当の従事者間における公益通報対応業務の改善点についての意見交換
    • 内部監査及び中立・公正な外部の専門家等による公益通報対応業務の改善点等(整備・運用の状況・実績、周知・研修の効果、職員等の制度への信頼度、指針に準拠していない事項がある場合にはその理由、今後の課題等)の確認

また、中立的な第三者としては、例えば、本法・労働関係法令・組織ガバナンス・コンプライアンス等に知見を有する法律事務所・学識経験者・有識者等を活用することが考えられます。

Q21 国の行政機関向けガイドラインにおいては、消費者庁が国の行政機関に対して、資料の提供、説明その他必要な協力を求めることができる旨が規定されていますが、具体的にどのような場合にそのような要請を行いますか。
A

本規定は、通報制度の実効性向上のために消費者庁が果たすべき役割を明確化するため、消費者庁及び消費者委員会設置法(平成21年法律第48号)において消費者庁の権限として定められている事項を確認的に記載したものです。
本規定に基づき、制度の適切な整備・運用については、例えば、各行政機関において本法、指針及び行政機関向けガイドライン(国の行政機関・地方公共団体)の趣旨を踏まえた適切な取組を行っていることを確認することが必要な場合に、資料の提出や説明等を求めることなどが考えられます。
また、個別の通報事案への対応については、仮に各行政機関に対して行われた通報に関して、通報者からの苦情や相談等から本法、指針及び行政機関向けガイドラインの趣旨に反した不適切な対応がなされている可能性がある場合等に、その主張に十分な根拠がある場合には、通報対応状況等について説明を求めるとともに、本法、指針及び行政機関向けガイドライン(国の行政機関・地方公共団体)の趣旨を踏まえた適切な通報対応を行うことを要請することなどが考えられます。

Q22 通報内容等に関して、被通報者から情報開示請求があった場合、どのような対応となりますか。
A

どの程度まで開示すべきかについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)の規定を踏まえて判断されることとなります。

担当:参事官(公益通報・協働担当)