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従事者に関するQ&A

質問

回答

Q1 従事者として定めなければならないのはどのような者ですか。
A

従事者とは、本法第11条第1項に定める公益通報対応業務従事者をいい、事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定める必要があります。
具体的には、事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行うことを主たる職務とする部門の担当者を、従事者として定める必要があります。また、それ以外の部門の担当者であっても、事案により、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者に該当する場合には、必要が生じた都度、当該担当者を従事者として定める必要があります。
他方、内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置について、主体的に行っておらず、かつ、重要部分について関与していない者は、公益通報対応業務を行っているとはいえないことから、従事者として定める対象には該当しません。
例えば、社内調査等におけるヒアリングの対象者、職場環境を改善する措置に職場内において参加する労働者等、製造物の品質不正事案に関する社内調査において品質の再検査を行う者等であって、内部公益通報の内容を伝えられたにとどまる者等は、内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置について、主体的に行っておらず、かつ、重要部分について関与していないことから、たとえ調査上の必要性に応じて公益通報者を特定させる事項を伝達されたとしても、従事者として定めるべき対象には該当しません。
ただし、従事者以外の者についても、内部規程において範囲外共有等は禁止され、違反した場合には懲戒処分その他の措置を受けることには注意が必要です。

Q2 公益通報対応業務にはどのような業務が該当しますか。
A

公益通報対応業務とは、本法第11条第1項に定める公益通報対応業務をいい、内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置の全て又はいずれかを、主体的に行う業務及び当該業務の重要部分について関与する業務を行う場合に、これに該当します。

Q3 従事者を指定する際には、内部規程や社内の名称においても「従事者」又は「公益通報対応業務従事者」という名称を用いなければなりませんか。
A

事業者内部における従事者の名称・呼称については必ずしも「従事者」又は「公益通報対応業務従事者」である必要はありませんが、従事者を指定する場合には、守秘義務に違反した場合には刑事罰が科され得る立場にあることを明確に認識できるように、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により指定する必要があります。

Q4 従事者を定める際の、従事者となる者自身に明らかとなる方法とはどのような方法ですか。
A

例えば、従事者となる者自身に対し、個人名を明示した書面を交付する方法が考えられます。また、個人名は明示せず、当該者は内部公益通報受付窓口の担当者になること及び内部公益通報受付窓口の担当者は従事者であることが記載された書面を交付する方法なども考えられます。

Q5 従事者を特定の部署や外部の法人等の単位で指定することはできますか。
A

従事者を定める方法として、従事者に対して個別に通知する方法のほか、内部規程等において部署・部署内のチーム・役職等の特定の属性で指定することも考えられます。
ただし、後者の場合においても、公益通報者を特定させる事項に関して慎重に取り扱い、予期に反して刑事罰が科される事態を防ぐため、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により指定する必要があります。

Q6 内部公益通報受付窓口を外部の弁護士等に委託した場合、当該弁護士等を従事者として定める必要がありますか。
A

当該弁護士等が公益通報対応業務に関して、公益通報者を特定させる事項を伝達される場合には、当該弁護士等を従事者として定める必要があります。

Q7 取締役会や監査役会に対し、公益通報者を特定させる事項を含む形で内部公益通報に関する情報が報告される体制を構築していますが、取締役会や監査役会は報告を受けるのみで、個別の通報案件には関与しません。この場合、取締役や監査役を従事者に指定する必要は無いですか。
A

「公益通報の受付、調査、是正に必要な措置について、主体的に行っておらず、かつ、重要部分について関与していない者は、『公益通報対応業務』を行っているとはいえないことから、従事者として定める対象には該当しない」(指針の解説 6頁)としているところ、事業者の業務執行全般(内部公益通報対応体制の在り方を含む。)について責任を負う取締役や、事業者の業務の適法性等(内部公益通報対応業務が公益通報者保護法を遵守しているかを含む。)の監査を業務とする監査役が、内部公益通報について報告を受ける場合に、内部公益通報対応業務に主体的に関与せず、かつ重要部分に関与しないと評価されることは基本的には想定しがたいと考えられます。
そのため、取締役や監査役について、公益通報者を特定させる事項を含む形で内部公益通報に関する報告を受けるのであれば、原則として従事者に指定する必要があると考えられます。

Q8 職制上のレポーティングラインにいる者(上長等)に対し、内部公益通報が行われた場合、当該者を従事者として定める必要がありますか。
A

内部公益通報受付窓口の担当者でない上長等に対し内部公益通報がされた場合、当該内部公益通報は「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報」ではないため、当該上長等を従事者として定める必要はありません。

Q9 調査を担当する従事者が留意すべき事項の具体例として、どのような事項が考えられますか。
A

例えば、以下の事項などが考えられます。

  • 公益通報者を特定させる事項、内部公益通報に関する秘密や個人情報についての情報管理を徹底する
  • 公益通報者が特定されないような方法で調査を行う
  • 公益通報者と接触するに当たって時間や場所を適切に定める
  • 自らが刑事罰が科され得る守秘義務を負う立場にあること、従事者であった期間に知り得た事項に係る守秘義務については期限の定めなく課されることを常に意識する

また、公益通報者を特定されないための工夫として、例えば、以下の事項が考えられます。

  • 公益通報者を特定させる事項を伝達する相手にはあらかじめ秘密保持を誓約させる
  • 公益通報者を特定させる事項の漏えいは懲戒処分等の対象となる旨の注意喚起をする
  • 必要に応じて従事者以外の者に調査等の依頼を行う際には、当該調査等が内部公益通報を契機としていることを伝えない
  • 調査の端緒が内部公益通報であることを関係者に認識させない措置をとる(例えば、抜き打ちの監査を装う、該当部署以外の部署にもダミーの調査を行う、(タイミングが合う場合には、)定期監査と合わせて調査を行う、核心部分ではなく周辺部分から調査を開始する、組織内のコンプライアンスの状況に関する匿名のアンケートを、全ての労働者及び役員を対象に定期的に行う)
Q10 従事者の守秘義務が解除される「正当な理由」(本法第12条)がある場合とは、具体的にどのような場合が該当しますか。
A

従事者の守秘義務が解除される正当な理由がある場合については、例えば、以下のような場合が該当します。

  • 公益通報者本人の同意がある場合
  • 法令に基づく場合
  • 調査等で必要な範囲において従事者間で情報共有する場合
  • 調査又は是正措置の実施に際し、従事者の指定を受けていない者(例えば、通報対象事実に係る業務執行部門の関係者等)に対し公益通報があったことも含めて公益通報者を特定させる事項を伝えなければ、調査又は是正措置を実施することができない場合(例えば、ハラスメント事案において刑法犯等に該当する行為が行われたため、当該ハラスメント事案の通報が公益通報に該当する場合等において、公益通報者が通報対象事実に関する被害者と同一人物である等のために、調査等を進める上で、公益通報者の排他的な特定を避けることが著しく困難であり、当該調査等が法令違反の是正等に当たってやむを得ないものである場合)
Q11 従事者が公益通報者を特定させるものを漏らす(本法第12条)とは、具体的にどのような行為を指しますか。
A

公益通報者を特定させるものとは、公益通報をした人物が誰であるか「認識」することができる事項をいい、「認識」とは刑罰法規の明確性の観点から、公益通報者を排他的に認識できることを指します。公益通報者の氏名、社員番号等のように当該人物に固有の事項が典型例ですが、性別等の一般的な属性であっても、当該属性と他の事項とを照合させることにより、排他的に特定の人物が公益通報者であると判断できる場合には該当します。例えば、大阪支店における女性社員が1名のみの会社において、「大阪支店の女性が内部通報を行った」という情報は、公益通報者を特定させる事項に該当します。
また、「漏らす」とは、一般に知られていない事実を一般に知らしめること、又は知らしめるおそれのある行為をすることを指します。漏らす方法については、文書であると口頭であるとを問わず、また、作為であると不作為であるとを問わず該当します。公益通報者を特定させる事項を漏らす対象は、不特定多数の人々である場合はもちろん、特定の人を対象とした場合であっても、その者を通じて広く流布されるおそれがある以上、漏えいに該当することになるため、上司、同僚等の他の労働者や社外の知人・家族等に知らせること等も、「漏らす」に該当することとなります。

Q12 会社法上の監査役の調査権や報告徴求権に基づき、従事者が監査役に対して公益通報者を特定させる事項を共有する場合には、「正当な理由」(本法第12条)が認められ、守秘義務違反とはなりませんか。
A

監査役への情報提供が、会社法(平成17年法律第86号)などの法令に基づく情報提供として行われる場合であれば、正当な理由が認められることになります。ただし、公益通報者保護の観点から、監査業務遂行上の支障がない限り、公益通報者を特定させる事項は情報提供の範囲から外す等、公益通報者を特定させる事項が共有される範囲を限定することが望ましいと考えられます。
なお、法令に基づく情報提供として正当な理由が認められる場合であっても、当該情報提供により、監査役を従事者に指定すべき条件を満たした場合には、当該監査役を従事者に指定する必要があります。

Q13 従事者であった者は、いつまで守秘義務が課されますか。
A

従事者であった者が、従事者であった期間に知り得た事項に係る守秘義務については、期限の定めなく課されることとなります。

担当:参事官(公益通報・協働担当)