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公益通報者に関するQ&A

質問

回答

Q1 匿名で公益通報をすることはできますか。
A

本法は対象となる通報を顕名(実名)の通報に限定しておらず、匿名であっても、本法に定める要件を満たしていれば公益通報をすることができます。
ただし、例えば、通報先が匿名の公益通報者との連絡手段を有していないような場合には、通報先から調査結果や是正結果の通知を受けられないため、匿名で公益通報を行う際には、通報先からの連絡を受けられるようにするなど留意が必要です。
なお、実際に不利益を受けた場合に本法の規定による保護を受けるためには、裁判所等で自らがその公益通報をした者であることを明らかにすることが必要です。

Q2 公益通報できる退職者は退職から1年以内の者に限られるようですが、具体的にどのような者が該当しますか。
A

本法における「退職者」については、退職日が「当該通報の日前一年以内」(本法第2条第1項第1号、同項第2号及び同項第3号)である者が該当します。 例えば、改正法施行日(令和4年6月1日)になされた通報については、令和3年6月1日以降に退職した者が「退職者」に該当します。

Q3 退職後1年以内に公益通報をした場合であっても、退職後1年を経過したタイミングから保護の対象ではなくなりますか。
A

退職者は、退職後1年以内に公益通報すれば、その後は期間の定めなく本法の規定により保護されます。

Q4 退任から1年以内の役員は公益通報の主体となる「退職者」に含まれますか。
A

退任した役員は、公益通報の主体となる「退職者」には含まれません。

Q5 執行役員は公益通報の主体となる「役員」に含まれますか。
A

本法では、「役員」は、法令の規定に基づき法人の経営に従事している者と定義されており、執行役員が当該定義に該当しない場合には、「役員」には当たりません。他方、例えば、執行役員が事業者と労働契約を締結している場合には、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者に該当するため、役員ではなく労働者として公益通報が可能です。

Q6 いわゆる使用人兼務取締役が公益通報した場合、本法の規定によりどのように保護されますか(役員と労働者のいずれの立場として保護されますか)。
A

公益通報者が使用人兼務取締役の場合には、使用人(従業員)としての地位に対する不利益な取扱い等に対しては労働者として保護され、取締役(役員)としての地位に対する不利益な取扱い等に対しては役員として保護されることになります。例えば、使用人兼務取締役が、公益通報をしたことを理由として事業者から取締役を解任され、かつ、使用人としても解雇された場合には、本法第6条の規定に基づき取締役の解任を理由とする損害賠償を求めることができるとともに、本法第3条の規定に基づき使用人としての地位についての解雇は無効となります。

Q7 いわゆる使用人兼務取締役ではなく、役員のみに該当する者は、労働者としては保護されないのですか。
A

形式的に役員としての地位のみを有している場合(例えば、事業者と雇用契約を締結しておらず、法人の使用人としての職制上の地位も有していない者等)、原則として労働者として保護されませんが、例外的にその実態が労働者(「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者」(労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条))に該当する場合であれば、労働者として保護されます。

Q8 労働者の連名による通報は、本法の規定による保護の対象となりますか。
A

通報が連名によりなされたものであっても、個々の労働者が本法の定める要件を満たす場合、通報者全員はそれぞれ、本法の規定による保護の対象となります。他方、通報が連名によりなされたものであり、本法の定める要件を満たさない者がいる場合、当該者は保護の対象にはなりません。

Q9 労働者の家族などの第三者が通報をした場合、その労働者は本法の規定による保護の対象となりますか。
A

本法では、労働者等(労働者、退職者、役員)が公益通報をした場合の保護を定めており、労働者等以外の者が通報をした場合には保護の対象となりません。
ただし、労働者の家族などの第三者が、当該労働者本人の承諾の下で本人の意思に基づいて通報を代行している場合、当該労働者は本法の規定による保護の対象となり得ます。

Q10 大工等の一人親方や車持ちトラック運転手のように、従業員を持たず、一人で事業を行っている者が、役務提供先である元方事業者(いわゆる元請)における法令違反行為を通報した場合、その通報者は本法の規定による保護の対象となりますか。
A

本法では、労働者等(労働者、退職者、役員)が公益通報をした場合の保護を定めており、個人事業主も含め事業者が通報をした場合には原則として保護の対象となりません。
ただし、個人事業主が元方事業者と形式的に請負契約や業務委託と称する契約を結んだとしても、当該個人事業主が実態として労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する労働者に該当する場合には、当該個人事業主のした通報は本法の規定による保護の対象となり得ます。

Q11 「事業者が他の事業者との請負契約その他の契約に基づいて事業を行」う場合(本法第2条第1項第3号)のその他の契約には、具体的にどのような契約関係が該当しますか。
A

例えば、卸売業者との継続的な物品納入契約、清掃業者との継続的な役務提供契約、コンサルティング会社との継続的な顧問契約などが該当します。
他方、販売を業としない者による一度限りの販売契約などについては、その他の契約に該当しない場合があります。

担当:参事官(公益通報・協働担当)