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Vol.657 クーハンの事故 ー落下によるこどものけがに注意!ー

父親が、自分の肩にかけたクーハンの紐が外れ、こどもが中から転がり落ちそうになっているのを見て、焦っている様子

クーハンをご存じですか?クーハンは、クーファンやベビーバスケット等とも呼ばれ、持ち手の付いた簡易型のベビーベッドのことをいいます。カゴ型やバッグ型などさまざまな形があり、使用時期は、生後4か月未満、首がすわる前または寝返りを打つ前までなどが目安とされています。コンパクトなため、狭い場所でもこどもの寝場所を確保できる、製品によっては寝かせたまま移動することができるなどの便利な面がありますが、消費者庁には、こどもがクーハンから落ちてけがをした等の事故情報が医療機関から寄せられています(1)。

事故事例

  • 「こどもを入れたクーハンを持ったまま部屋のドアを開けようとした際、クーハンがひっくり返り、こどもがフローリングの床に落ちた。頭頂骨骨折、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫により入院となった。」(0歳1か月)
  • 「こどもをクーハンに入れて自宅階段を降りていた。手を持ち替えようとしたところ誤って持ち手を離してしまい、クーハンが70cmほどの高さから落下した。こどもは、階段を転落し、頭頂骨骨折、硬膜外血腫のため、集中治療室に入院となった。」(0歳0か月)
  • 「夜中、こどもを寝かせたクーハンをオットマン(高さ40cm)の上に置き、保護者はすぐそばのソファで寝ていた。泣き声で目を覚ますと、こどもがクーハンごとフローリングの床に落ちていた。横向きになって顔だけがクーハンから出ており、頭部打撲で通院となった。」(0歳0か月)

事故を防ぐために

クーハンはこどもの月齢が低い時期に使われる育児用品であり、落とすなどすると、中に寝かせたこどもが深刻なけがを負う可能性があります。落下事故を防ぐため、購入・使用の際は次のような点に注意しましょう。

  • 製品の用途や対象月齢等を取扱説明書などで確認
  • こどもを寝かせたときにバランスを保てるかなど、購入時にはなるべく実際の使用感を確認
  • 移動に用いる場合は持ち手をしっかり持ち、肩や腕にかけない
  • 二人で持ち手を片方ずつ持って運ぶなど、バランスを損ねるような持ち方をしない
  • 高い場所や不安定な場所に置かない
  • 布団やベッドの代わりとして長時間使用しない

クーハンとして販売されている製品の中には、こどもを入れたままでの持ち運びを禁止しているものや、持ち手は本来クーハンを運ぶためのものであり、こどもを入れたままでの移動はやむを得ない場合に限るとしたものもあります。こどもを入れた状態での移動が必要な場合は、製品がそのような移動に適したものか必ず確認してください。

なお、クーハンにはSG基準(2)が定められています。これは、乳児を乗せて持ち運ぶことを目的とした手提げ式のクーハンを対象に、製品の構造、強度、安定性、本体表示や取扱説明書の記載事項等の観点から、その安全性に関する基準を示したものです。2025年2月現在、SGマークの表示許可を得たクーハンは販売されていませんが、基準の内容は、製品の安全性を判断する一つの指標となります。

  • ※1:消費者庁は(独)国民生活センターと共同で、平成22年12月より、医療機関から事故情報の提供を受けています(「医療機関ネットワーク事業」、令和7年2月現在で32機関が参画)。
  • ※2:(一財)製品安全協会が定める、消費生活製品の安全性品質・使用上の注意事項等に関する基準。製品が同基準に適合していると同協会が認証した場合、当該製品についてSGマークの表示が許可される。

担当:消費者安全課