自分の住む地域をもっと知ってもらいたい:土佐観光ガイドボランティア協会
NPO法人「土佐観光ガイドボランティア協会」の会長を務める葛目岩夫氏は、退職後、地域に貢献したいという気持ちから、観光ガイドボランティアをスタート。地元高知の魅力を知ってもらうため、ガイド活動だけでなく、ボランティアガイドの育成にも力を入れています。
「地域に貢献したい」という気持ちから、観光ガイドをスタート
葛目氏は、現役時代は四国中を次々と転勤する仕事をされていたそうです。しかし、退職後、地元である高知県高知市に、これまで貢献できていなかったと気付き、地域に貢献できることは何かと考え、観光ガイドのボランティアを始めました。高知市のガイド養成講座で一から勉強を始めてみると、知らなかったことや、自分の知識で誤っていたものも多く、高知の歴史にどんどん興味が出てきたそうです。
人材育成と、デジタル技術の活用にも積極的に取り組む
土佐観光ガイドボランティア協会では、高知市内を中心にガイド活動を行っています。主な活動場所は、高知城や高知県出身の坂本龍馬にゆかりのある、龍馬の生まれたまち記念館・桂浜・日曜市・とさてらす・幕末志士社中等であり、ボランティアガイドが毎日常駐しています。ボランティアガイドは約120名(注1)おり、高齢者が多く、平均年齢は70歳を超えているそうです。県外出身者等、高知の歴史や街について詳しくない人も多いそうですが、ガイド利用者とのコミュニケーション等では培ってきた経験や能力をガイドにいかしています。
観光ガイドは基本的に無料ですが、予約された方や旅行業者は有料としており、ボランティアガイドには交通費等の最低限の費用を協会から支払っています。葛目氏は「ボランティアガイド自身が全ての費用を負担する形式だと、ボランティアをする側が『上から目線』になってしまうときがある。ボランティアを受ける側との対等な関係を築くためには、経済的な支援も必要」と話します。
また、土佐観光ガイドボランティア協会はボランティアガイドの育成にも力を入れています。定期的にガイド研修を行っており、最近ではスマートフォンの使い方の勉強会を開催したり、ホームページ開設やタブレットを使ったガイドを進めるなど、時代に合ったガイド手法も取り入れています。
お客様からの感謝の言葉が生きがいに
葛目氏は「お客様の『今日のガイドは楽しかった。良かった!』という言葉が一番うれしい。認知症予防にもなっているのでは」と話します。高齢になり家庭内での会話が少なくなりがちな中、様々な人と会話をすることが楽しく、生きがいになっているようです。
また、「今後は、地域の人にも自分の住む街に誇りを持ってもらうために、ガイドで得た知識をいかし、高知市民の集まりや出張講座等に積極的に出向いて、地元の歴史について伝えていきたい」と話します。
- 注1:2022年10月時点
担当:参事官(調査研究・国際担当)