一人一人の思いがつながり、地域の生き生きとした暮らしへ:千葉県九十九里町
千葉県九十九里町では、九十九里町地域包括支援センター(注1)(以下「包括支援センター」という。)を起点として、高齢者が主体となり市民のボランティアによる地域の集いの場が広がっています。
強い思いを持った知人からの熱心な誘いが取り組むきっかけに
地域の高齢者の集いの場となる「おてもり喫茶室」の運営に携わる大塚眞一郎氏は、「令和元年台風第19号」の際に災害ボランティア活動へ従事した経験から、ボランティア活動に興味を持ったそうです。その後、包括支援センターの職員である井上淳子氏に誘われたことをきっかけとして、「おてもり喫茶室」の運営に参画するようになりました。「おてもり喫茶室」では、地域の高齢者に会話の場を提供するほか、体操やクイズ大会等を開催しています。
認知症カフェ(注2)「おかえりぃ」を運営している平塚三鈴氏は、認知症の方も含め多くの人が集う場を作りたいという井上氏の熱意に心を打たれ、その理念に賛同したことをきっかけに活動を開始しました。「おかえりぃ」では、平塚氏の自宅の離れを地域の高齢者に開放し、認知機能低下の予防のために会話や生活・健康の困り事の相談をする場を提供しています。
情報交換や口コミを通じて、活動の輪を広げていく
「おてもり喫茶室」では、包括支援センターとのつながりを軸に、各所と連携しながら様々な活動を提供しています。例えば、特別養護老人ホームから包括支援センターに情報提供のあった洗濯ばさみを使った手指の体操を取り入れ、更に「おかえりぃ」等の認知症カフェにも広めています。また、他団体と共同で開催した地域の祭りによる多世代交流は、乳幼児から90歳代までが参加し、とても好評だったそうです。
「おかえりぃ」では、平塚氏による勧誘や利用者の口コミや紹介等によって、参加の輪が広がっています。今では、九十九里町にとどまらず近隣地域にまでその輪は広がっているそうです。
周囲の喜んだ顔や自らの充足感がやりがいに
大塚氏は、どんな依頼に対しても断らず、対応方法を模索することを信条としており、困難を乗り越えたという実感がやりがいにつながっているそうです。さらに、「困り事が起きた際に頼られることや、それらを解決して喜んだ顔を見られるといったことが、活動を継続する原動力になっている」と話します。
平塚氏は、人と話すことが好きという気持ちや、高齢者の方とより長くそばで一緒に過ごしたいという思いがあるそうです。食事や会話といった「おかえりぃ」での活動を通して、多くの人と知り合い、一緒に楽しい時間を過ごせることが取組への原動力になっているそうです。また、「利用者の方が開催を楽しみにしている様子を見られることが、とてもうれしい」と話します。
担当:参事官(調査研究・国際担当)