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シンガポールにおける高齢者のデジタルスキル支援:「Seniors Go Digital」

 シンガポールでは、全ての人がデジタル化した社会で取り残されることなく、豊かな生活を送ることができるよう、情報通信メディア開発庁(IMDA(注1))の下に、シンガポール・デジタル・オフィス(SDO(注2))を2020年6月に設置し、国を挙げた取組を行っています。SDOでは、デジタル化が進む社会で高齢者が次の一歩を踏み出すことを手助けする取組として「Seniors Go Digital」を進めており、高齢者をデジタル・アンバサダーとして任命する取組や、学習プログラムの提供等、きめ細かなデジタルスキル支援が行われています。

高齢者がデジタル・アンバサダーとして同世代の高齢者を支援する

 シンガポールでは、デジタル技術に精通する高齢者をデジタル・アンバサダーとして任命し、デジタル技術の活用に詳しくない高齢者の支援に当たってもらう取組である「シルバー・インフォコム・ウェルネス・アンバサダー(SIWA(注3))」を実施しています。

 SIWAには、50歳以上で、日常生活で積極的にSNSやインターネットバンキングといったテクノロジーを活用していること、ボランティア活動や同世代の人がデジタル技術によって生活の質を向上させることに対する熱意があること、SIWAとしてインタビューや写真撮影等の広報活動に対応できること等の条件を満たす人が、自薦他薦問わず応募することができます。IMDAと人民協会アクティブエイジング評議会(PAAAC(注4))が応募者の中から毎年SIWAを任命しており、2021年9月までに300名以上が任命されています。

 SIWAの活動内容は多岐にわたっており、イベントでの講演やワークショップの開催のほか、コミュニティセンターや図書館等における一対一や少人数での講習等を行っています。SIWAは、同世代のロールモデルとなる高齢者であると同時に、同世代の仲間のニーズを理解しやすい立場にもあり、高齢者がデジタル化への対応の最初の一歩を踏み出す支えとなっています。

高齢者向けの学習プログラムできめ細かな支援を行う

 「Seniors Go Digital」では、高齢者向けにデジタルスキルや習慣を身に付けるための学習プログラムを提供し、きめ細やかな支援を行っています。学習プログラムは個人のニーズに合わせて段階的に進められ、ビデオ通話等のコミュニケーションスキル、行政サービスと日常的に使用するアプリ、電子決済とデジタルバンキングの3段階のデジタルスキルを身に付けることができます。学習プログラムは、少人数のグループに対面で行われるほか、オンラインで提供されるものもあります。

 2021年8月時点で、10万人以上の高齢者が学習プログラムを受講しました。そのうち10人に9人がスマートフォンでのビデオ通話、政府のデジタルサービスへのアクセス、電子決済等、学んだスキルを日常生活で活用し続けており、学習効果は非常に高いものとなっています(注5)


  • 注1:Infocomm Media Development Authority
  • 注2:The SG Digital Office
  • 注3:Silver Infocomm Wellness Ambassador
  • 注4:People's Association Active Ageing Council
  • 注5:MEDIA RELEASE, Infocomm Media Development Authority, 3 September 2021

担当:参事官(調査研究・国際担当)