COLUMN 消費者安全確保地域協議会の設置によって期待される効果
個人情報の共有による見守り活動が可能に
地域協議会の意義は、構成員間で見守り対象者に関する個人情報を提供できるようにすることにあります。かつては、見守り活動のために有用な情報であっても、法令上の理由から本人の同意を得ずに個人情報を提供することができなかったり、法的には本人の同意なしに個人情報を提供できる場合であっても、プライバシー意識の高まり等の要因から提供を控えてしまったりする事態が生じていました。
地域協議会では、構成員間で情報を提供できるという規定を定めることで、個人情報保護法にのっとりつつ、見守り対象者本人の同意がなくても、必要な個人情報を共有した見守り活動が可能となります(注1) (注2)。必要な情報が円滑に提供されることによって、高齢者等の消費者被害の未然防止、早期発見及び拡大防止を図っています。
〈個人情報の共有による見守り活動の例〉
- 地域協議会の事務局が、見守りの対象となる高齢者等の個人情報(消費生活相談から得た情報や介護保険台帳に記載された情報等)を基に見守りリストを作成し、構成員が見守りリストに基づいて効果的な見守り活動を行う。
- 見守りリストの作成や提供を行わずに、構成員である民生委員や事業者がそれぞれの活動を行う中で、高齢者等の異変を察知した場合に、その情報を地域協議会に伝える。
- 見守り活動に必要な個人情報の共有の範囲を特定の構成員に限定して行う。
福祉関係部局等との連携による複合的な課題へのアプローチ
認知症高齢者等の消費者被害防止は、福祉関係部局等にとっても重要な課題ですが、関係部署間の連携なしには対応が難しい事案もあります。地域協議会の設置によって、福祉関係や医療・保健関係、警察等の様々な関係部署との緊密な連携を図ることが可能となります。
地域協議会内での情報共有や、消費者行政部局からのタイムリーな情報提供によって、消費者被害の手口の変化に対応するとともに、消費者被害の早期発見や早期解決、拡大防止につなげることができます。また、消費生活相談窓口への相談等をきっかけに、生活困窮や社会的孤立、健康問題等が複雑に絡み合った複合的な課題を発見した場合には、福祉関係の窓口(介護サービス・日常生活自立支援事業・成年後見制度・生活保護等)につなぎ、関係部署が連携して支援することも可能です。
改正社会福祉法(注3)により創設された「重層的支援体制整備事業(注4)」によって、包括的な相談支援体制を構築し、地域協議会と連携して運用することにより、効率的・効果的かつ実効性のある取組や見守り活動が行われることが期待されています。
担当:参事官(調査研究・国際担当)