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事例 海外の若者を巻き込む各国政府の取組

 国連は、2020年1月の事務総長報告(注1)において、2030年を期限とするSDGsの達成に、積極的に若者を巻き込むことを奨励しています。その理由として、若者には課題に立ち向かう力があること、ソーシャルメディアを上手に利用できること、新たな視点で問題の解決手法を見いだせること、しがらみに捕らわれず地域や国を超えて互いに協力できること等を挙げています。各国政府も、同様の考え方に基づいて、SDGsの達成に向け、若者を巻き込む取組を行っています。

SDGsに関する若者評議会(アイスランド)

 アイスランドでは、2018年、首相府の下、「SDGsに関する若者評議会(注2)」が設置されました。評議会メンバーは、公募により選ばれた13歳から18歳までの青少年12人で構成されています。若者評議会は、メンバー自身がSDGsについて学び、それに基づいて、社会全体に向けた広報活動を行いつつ、青少年の意見を政府に伝える役割を担っています。具体的な活動内容としては、まず、メンバー間の議論に基づいて、政府に対し意見具申や政策提言を行っていることが挙げられます。また、毎年、閣僚を含む政府関係者との会合を開催し、若者の代表として政府との意見交換を行っています。このほか、社会に向けた広報活動として、SDGsに関するゲームや動画等の啓発教材を作成し、SNSやインターネットを通じて周知することも行っています。

SDGsに関する若者諮問委員会(アラブ首長国連邦)

 アラブ首長国連邦では、2018年に青少年政策担当国務大臣の下、「SDGsに関する若者諮問委員会(注3)」が設置されました。この委員会は、国籍、性別、職業等を問わず、15歳から35歳までの12人の若者で構成されています。メンバーは、SDGsに関する様々な課題について議論するとともに、政府のSDGs達成に向けた取組に対し、若者の観点から提案を行うなどの活動を行っています。

 また、同国は、SDGs達成に向け、より多くの若者の参加を促すことを目指して、若者諮問委員会に続く新たな取組として、2022年に「SDGsヤングリーダーズプログラム」を立ち上げました。このプログラムでは、若者は政府機関のSDGsに関するプロジェクト等に参画することが期待されています。

SDGsユースアンバサダープログラム(ロシア)

 ロシアでは、非営利団体であるロシア国家青年評議会が、2017年に科学・高等教育省、外務省、連邦青年事業庁等の支援の下、「SDGsユースアンバサダープログラム」を開始しました。ユースアンバサダーは、SDGsの各目標につき一人、その活動実績を認められた18歳から30歳までの若者が公募で選ばれます。選ばれた17人のアンバサダーは、国内外で開催されるSDGsに関連するセミナー、イベント、学術講演会等に参加することができます。また、SDGsへの国民の関心を高めるため、SDGsの達成に必要な行動等について啓発活動を行います。さらに、SDGsの達成に向けて、若者のこれまで以上の参画を促すため、社会全体で対処すべき課題や若者の協力の必要性について情報提供しています。


  • 注1:Youth development links to sustainable development Report of the Secretary-General(A(WIMUN)/6/3)
  • 注2:Youth Council for the SDGs
  • 注3:Youth Advisory Council on SDGs

担当:参事官(調査研究・国際担当)