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事例 ドイツのオンラインゲーム利用時のトラブル防止に向けた未成年者保護の強化

 ここでは、ドイツにおいて、オンラインゲーム等のデジタルコンテンツにおける未成年者保護の強化を目的に改正された「青少年保護法第2次改正法(注1)」(2021年5月1日施行)を紹介します。

 ドイツの「青少年保護法」は、18歳未満の未成年者を有害なメディア(注2)から保護することを目的として2002年7月に制定されました。当時は有害なオフラインコンテンツに対し、年齢規制表示を義務付けるとともに、コンテンツの審査を行うこととしていました。

 その後、社会のデジタル化の進展に伴って、未成年者のオンラインゲーム利用時におけるトラブルが増えたことを踏まえ、2021年4月9日に同法は改正されることとなりました。具体的には、オンラインゲーム等のデジタルコンテンツにも、オフラインコンテンツと同様の年齢規制表示義務が適用されるようになるとともに、提供事業者に対して、利用者の年齢に適した適切かつ効果的な予防措置を講じることが義務付けられました(注3)(図表1)。

 例えば、「ルートボックス(注4)」を備えたオンラインゲームは、そのギャンブル性や中毒性が指摘されていますが、本改正によって、対象年齢を明示するとともに、未成年者が利用する際は初期設定でルートボックスを無効としておくことが義務付けられることになりました。

 この法律の執行は、「連邦児童青少年メディア保護センター(注5)」が所管することとなっており、オンラインゲーム等のデジタルコンテンツにおいて、適切な予防措置が講じられていないことが確認された場合は、課徴金を課すことができることとされています。

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  • 注1:Zweites Gesetz zur Änderung des Jugendschutzgesetzes, BGBl, Nr. 16 vom 9. April 2021
  • 注2:雑誌、本、CD、オーディオ・ビデオ、アナログ・デジタルの記録媒体等の物理的なキャリアがある媒体と、インターネット全般、テレビ・ラジオ放送等の物理的なキャリアがない媒体。
  • 注3:当該義務の対象は、ドイツ国内におけるユーザー数が100万人以上であるプラットフォームを提供する事業者(海外に拠点を置く事業者を含む。)。
  • 注4:ゲームのプレイヤーがアイテムの入った箱を購入し、箱からアイテムがランダムに出る仕組みのこと(いわゆる「ガチャ」)。アイテムを入手することで他のプレイヤーよりも有利になるため、支出に対する適切な知識や支出をやめるための感覚が備わっていない未成年者は当たりが出るまでお金を支払い続ける傾向にある。
  • 注5:Bundeszentrale für Kinder- und Jugendmedienschutz:BzKJ

担当:参事官(調査研究・国際担当)