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事例 学校法人甲南学園 甲南高等学校・中学校

生徒自身がSDGsの取組の中からテーマを選んで、調査研究を実施

 甲南学園は、「世界に通用する紳士」を育成するため、2010年度にグローバル・スタディ・プログラム(以下「GSP」という。)を創設・導入しました。GSPは、中学3年生から高校3年生までの4年間のプログラムで、教養・思考力・表現力・主体性等を育み、グローバル社会に通用する人物を育成することを目標としています。

 GSPの取組の例を挙げると、中学3年生は新聞切り抜きを行い、興味関心を喚起し、高校1年生は、防災・減災や災害復興を題材として、情報収集、プレゼンテーション等、調査の基礎的な手法や調査マナーを学びます。高校2年生からは、生徒各自あるいはグループで、SDGsに関連した「自らが探究したいと思うテーマ」を設定し、主体的に文献調査、フィールドワーク(現地調査)、テーマ関係者へのインタビュー等に取り組み、ポスター発表、論文作成を行います。毎年開催している甲南グローバルリサーチ・フェアでは、高校1年生と高校2年生が研究発表を行い、GSPを受講している全校生徒や外部の専門家、生徒の父母等も参加して、発表内容について討論することで、学びの共有や研究の深化を図っています。

GSPでの探究学習の一例:高齢者におけるデジタル・ディバイドの解消に向けた方策の提案と実践

 あるグループは、高齢者のデジタル・ディバイド(注1)の解消に向けた方策を検討・考案するとともに、実際に高齢者への支援を行いました。具体的には、高齢者のインターネット利用の実態や、利用する上での問題点を調査した上で、高齢者向けのスマホの使い方マニュアルやHOW TO動画を作成しました。そして、地域の社会福祉協議会と連携してスマホ講座を開催し、高齢者にとって便利な機能やアプリを提案するとともに、高齢者が一人でスマホを利用できるようにサポートを行いました。そのグループは、一連の調査と取組の結果を論文にまとめて、2021年の「高校生SDGsコンテスト(注2)」で発表し、優秀賞を受賞しています。

 同学園教諭の澤武潤子氏は「GSPでの探究学習を通じて、SDGsへの興味関心を高めるとともに、自ら課題を見付け、学び、考えて問題を解決する能力を育んでほしい。学び方やものの考え方を身に付け、自己の生き方を考えることができるようになってほしい」と話します。

甲南グローバルリサーチ・フェアの様子


  • 注1:情報通信機器を使える者と使えない者との間に生じる格差。
  • 注2:「SDGsで考える『変えたい』こと」をテーマに、全国の高校生からアイデアや解決策を募集するコンテスト。株式会社日本経済新聞社主催。

担当:参事官(調査研究・国際担当)