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COLUMN5 見守りネットワークの更なる活用

 消費者庁の新未来創造オフィス(現在の新未来創造戦略本部)では、徳島県及び県内市町村の協力の下、県内の消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)の設置促進に取り組み、2018年度中に県内全ての市町村で設置が完了しました。新未来創造オフィスでは、全国における見守りネットワークの設置の参考となるよう、これらの設置の経緯等を「消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)設置事例集in徳島」(2019年)として公表しました。

 2020年度は、新未来創造戦略本部のモデルプロジェクトとして、県内の見守りネットワークの取組を更に充実させるため、①支援者の「見守る力」及び障がい者の「気づく力」の向上、②消費生活協力員・協力団体の活用、③福祉と消費者被害の見守りの連携のテーマごとに、県内の各市町村の協力を得ながら出前講座等の取組を行いました(図表1)。

 テーマ①では、障がい者の支援者による「見守り力」を高め、それと同時に本人による「気づく力」を高めるために、支援者向けの講座と、障がい者向けの講座を、阿波市及び板野町における障がい者施設において実施しました。受講した支援者を対象としたアンケートでは、また受講したいとの回答が100%であり、支援者の意欲がうかがえる結果でした。このような意欲を効果的に見守りにつなげるためにも、障がい者施設や相談支援事業者などに見守りネットワークの構成員として参画いただき、障がい者と日々接する方々に地域における消費者トラブルの事例等を共有することで、見守りネットワークの一層の強化が期待されます。

 テーマ②では、気が付いた消費者トラブルについて消費生活センター等へ情報提供する役割を担う、消費生活協力員・協力団体の活用のため、候補者選定・委嘱や、消費者トラブルや消費生活協力員・協力団体の役割等に関する講座を、板野町にて実施しました。保険会社や飲料販売業など、全国的に事業を行っている事業者の地方支店を消費生活協力員・協力団体として委嘱するなど、全国的な活用が期待できる成果が得られました。法律上、消費生活協力員・協力団体と見守りネットワークは別の制度ですが、今後、消費生活協力員・協力団体が見守りネットワークの構成員となっていくことで、より一層機能が強化されることが期待されます。

 テーマ③では、高齢者等のお宅へ訪問する頻度の高い福祉の現場で働く見守りネットワークの構成員が、消費者トラブルへの感度を高められるよう、海陽町にて福祉実務担当者向けの講座を実施しました。また、消費生活センター等との情報連携の実態を把握するためのヒアリングも行いました。受講者を対象としたアンケートから、福祉実務担当者が、高齢者等の消費者トラブルを見聞きする機会が多くあることが分かり、見守り活動に、福祉実務担当者が参画することの重要性が改めて示される結果でした。

 見守りネットワークを設置した地方公共団体から、「設置はしたもののどのような取組を行えばいいのか」などのご質問をいただくこともありますが、新未来創造戦略本部では、設置後のモデルとなる取組を今後も提供してきたいと考えています。

2020年度のモデルプロジェクト

担当:参事官(調査研究・国際担当)