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COLUMN4 徳島県における「社会への扉」を活用した授業の効果に関する3年間の調査結果について

 消費者庁の新未来創造オフィス(現在の新未来創造戦略本部)では、全国で初めて県内全高等学校等(55校)で消費者教育教材「社会への扉」を活用した授業を実施している徳島県をフィールドとして、2017年度から2019年度までの3年間、「社会への扉」を活用した授業の効果の検証を目的に、授業を受けた生徒全員を対象とする大規模な調査を二種類実施しました。

 一つ目は「授業前後の調査」として、2017年度から2019年度までの各年度の原則高校1年生を対象に、授業前後での消費生活に関する知識や意識の変化を把握することを目的に実施した調査です。二つ目は「追跡調査」として、2017年度に授業を受けた高校1年生を対象に、2年次、3年次に、同じ質問をすることで、授業を実施したことによる消費生活に関する知識の定着度、意識の変化を経年で把握するために実施したものです(注1)

 「追跡調査」の結果、消費生活に関する知識について、全体的に知識の定着が見られたものの(図表1)、契約の基礎である「契約の成立時期」に関する問や、「契約の解約」について聞いた問のように、授業前後の正答率の伸び率が高い問ほど、授業後から2年後にかけて正答率の低下幅が大きい傾向が見られました(図表2)、(図表3)。授業前の正答率が低い事項は、授業前の知識が少ないことから、授業後に正答率が一時的に高まっても、短時間の学習では知識が定着しづらかったと考えられます。

 また、消費生活に対する意識について、「返品・返金不可を意識した慎重な買物」ができるかといった事項を聞いたところ、授業後に「できる」と回答した生徒の割合が全体的に増加したものの、1年後は全体的に低下した結果となりました(図表4)。

 本調査結果を踏まえ、例えば知識定着率が高い学校や、生徒の自立意識の高い学校の取組を調べるなど、高等学校等における取組について情報収集を行うとともに、効果的な実践事例や有効な教材の使い方などの情報提供に努めていくこととしています。

消費生活に関する知識に占める正答率の平均値

「買い物の際、契約が成立するのはいつ?」の正答率

「使う前に不要になり返品の申し出があった場合の店の対応」の正答率

自立した消費者としての意識の質問(全10問)に「できる」と回答した割合の平均値


  • 注1:詳細は「徳島県における 「社会への扉」を活用した授業の実施効果に関する報告書(平成29年度~令和元年度総括)徳島県内全ての高等学校等の生徒を対象としたアンケート調査から」(2020年12月公表)参照。

担当:参事官(調査研究・国際担当)