第2部 第1章 第5節 消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施
第2部 消費者政策の実施の状況
第1章 消費者庁における主な消費者政策
第5節 消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施
消費者教育の総合的、体系的かつ効果的な推進
2004年の消費者保護基本法から消費者基本法への改正により、消費者教育を受けることは、「消費者の権利」の一つとして掲げられ、さらに、2012年には、消費者教育推進法が成立し、施行されました。
消費者教育推進法は、消費者教育について、「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育(消費者が主体的に消費者市民社会の形成に参画することの重要性について理解及び関心を深めるための教育を含む。)」と規定しています。
消費者教育推進法第9条の規定に基づく基本方針では、「自立した消費者」について、「被害に遭わない消費者であること」、「合理的意思決定ができる消費者であること」、これに加えて、「社会の一員として、より良い市場とより良い社会の発展のために積極的に関与する」消費者であること、としています。
消費者教育が体系的・総合的に推進され、誰もが、どこに住んでいても、生涯を通じて、様々な場で、消費者教育を受ける機会が提供されるよう、消費者教育推進法に基づき消費者庁に設置された消費者教育推進会議(以下「推進会議」という。)で議論を行っています。2019年10月からは、第4期推進会議が始動し、その下で2019年12月から開催した「全世代における体系的な消費者教育に向けた連携に関する分科会」では、消費者教育推進計画の策定、PDCAサイクルの確立等について議論を行いました。2020年10月の取りまとめでは、消費者教育の意義や、国における今後の課題として、地域協議会や消費者教育コーディネーター等について、実効性ある運用がなされている事例を収集・紹介することなどが示されました(図表Ⅱ-1-5-1)。また、地方公共団体が様々な主体と連携し、地域の消費者教育の充実に取り組むに当たってのヒントとなるよう、ヒアリング事例集も作成し、周知しました。また、2020年11月からは「社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会」を開催し、2021年3月までに5回の議論を行いました。
若年者への消費者教育の推進等
成年年齢引下げを見据え、実践的な消費者教育の実施を推進するため、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」(2018年2月20日若年者への消費者教育の推進に関する4省庁関係局長連絡会議決定)に基づき取組を推進しています。具体的には、全国の高等学校等における、消費者庁作成の消費者教育教材「社会への扉」等の消費者教育教材を活用した授業の実施等を推進しています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響も踏まえ、同教材を活用したオンライン授業動画の作成・配信や、契約等に関して効率よく復習等ができるよう、同教材の「契約編」、「お金・くらしの安全編」の確認シートを作成しました(図表Ⅱ-1-5-2)。また、特別支援学校における消費者教育の充実に向けて、同教材の視覚障害者用の音声読上げツールを作成・公表するとともに、軽度知的障害者向けの教材等を新たに作成しています。さらに、成人式等の場で成年年齢引下げや若年者に多いトラブルに関して周知できるよう、啓発動画の制作等を行い、地方公共団体に活用を促しています。
2021年度は成年年齢引下げ前の最後の1年となることから、アクションプログラムに掲げられた取組に加え、関係省庁が更に連携して地方公共団体・大学等、関係団体、メディア等も巻き込んだ重層的な取組を行う「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力」キャンペーン(2021年3月22日若年者への消費者教育の推進に関する4省庁関係局長連絡会議決定)を実施し、取組を強化することとしています(図表Ⅱ-1-5-3)。
具体的には、①地方公共団体・大学等への働き掛け、②関係団体への働き掛け、③イベント・メディアを通じた周知、④コンテンツの充実・活用の促進の4本の柱に基づき取組を行います。
消費者庁では、地方公共団体・大学等への働き掛けとして、高等学校・大学向け出前講座等を実施することとしています。また、イベント・メディアを通じた周知として、若年者等に直接的に情報を届けるため、消費者月間や若年者が多く参加するイベントを活用した情報発信や、社会のデジタル化も踏まえ、消費者庁「18歳から大人」特設ページ、消費者庁「18歳から大人」Twitterアカウントを開設し、SNS広告等を活用した周知等を実施しています。さらに、コンテンツの充実・活用の促進では、契約、家計管理や消費者被害拡大防止等に資する動画等を作成し、SNS等での情報発信に活用することとしています。
COLUMN4
徳島県における「社会への扉」を活用した授業の効果に関する3年間の調査結果について
担当:参事官(調査研究・国際担当)