インターネット上の取引と「カード合わせ」に関するQ&A
ここでは、表示に関するQ&Aを掲載しております。
商品・サービスの表示内容を検討する場合の参考にしてください。
1 オンラインゲームと景品規制一般について
2 「カード合わせ」の禁止について
-
Q5
-
Q6
-
Q7
-
Q8
-
Q9
-
Q10
-
Q11
-
Q12
3 「景品類」該当性について
(1) 顧客誘引性
(2) 取引付随性
-
Q15
-
Q16
-
Q17
-
Q18
-
Q19
(3) 経済上の利益
-
Q20
-
Q21
-
Q22
-
Q23
4 「カード合わせ」該当性について
-
Q24
-
Q25
-
Q26
-
Q27
-
Q28
-
Q29
回答
- Q1 景品表示法上の景品規制について教えてください。
- A
- Q2 オンラインゲームにおいて提供されるアイテム等は、景品類指定告示第1項各号のどれに該当するのでしょうか。
-
A
オンラインゲームにおいて提供されるアイテム等は、オンラインゲーム上で敵と戦うキャラクターであったり、プレーヤーの分身となるキャラクター(いわゆる「アバター」と呼ばれるものです。)が仮想空間上で住む部屋を飾るためのアイテムであったりと、様々ですが、いずれにしても、それによって利用者が、オンラインゲーム上で敵と戦うとか仮想空間上の部屋を飾るといった何らかの便益等の提供を受けることができるものであることから、第4号の「便益、労務その他の役務」に当たると考えられます。
- Q3 景品類指定告示第1項各号は、インターネットやオンラインゲームが存在しない時代に設けられた規定であると考えられますが、アイテム等が同項第4号の「便益…その他の役務」に当たるといえるのはどうしてでしょうか。
-
A
「役務」とは本来極めて広い観念で、「情報の供給」や「娯楽の提供」なども含むものです(吉国一郎他編『法令用語辞典(第9次改訂版)』〔学陽書房、2009年〕37頁)。
オンラインゲームの利用者は、インターネット上のサーバー等を通じて事業者が提供するプログラムやデータ等の情報の供給を受けることで、アイテム等を自己の端末の画面上に表示させたり、ゲームをプレイしたりするのですから、事業者から「役務」の提供を受けているということができます。
- Q4 オンラインゲームの運営費用には広告収入を充てており、利用者には一切対価を求めない場合でも、景品規制が適用されるのでしょうか。
-
A
景品表示法上、「取引」とは、対価を得てするものと理解されています。したがって、利用者が対価を求められることが一切ない(利用者に対する課金が一切なされず、100%無料でプレイできる)オンラインゲーム上の行為について、景品表示法の景品規制が適用されることはないと考えられます。
- Q5 「カード合わせ」とは、どのようなものか教えてください。
-
A
「カード合わせ」とは、2以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供のことをいいます(懸賞景品制限告示第5項)。
例えば、事業者が菓子のパッケージの中に絵柄の異なる任意のカードを1枚入れた上で消費者からはどの絵柄のカードが入っているかが分からない状態で販売したり、複数の形状の商品を用意した上で商品のパッケージ中にどの形状の商品が入っているのかが分からない状態で販売したりして、それら異なる絵柄のカードや異なる形状の商品のうち特定の2以上の異なる絵柄のカード又は異なる形状の商品をそろえた消費者に対して景品を提供するような場合がこれに当たります。
なお、こうした方法は、「カード合わせ」のほか、「絵合わせ」、「字合わせ」などとも呼ばれることがあります。
- Q6 「カード合わせ」に関する景品表示法上の取扱いについて教えてください。
-
A
一般に、懸賞による景品類の提供は、景品類の最高額や総額が一定の額を超えなければ、行うことが可能です。
しかし、「カード合わせ」については、景品類の最高額や総額にかかわらず、全面禁止されています。
- Q7 「カード合わせ」は、なぜ全面禁止されているのでしょうか。
-
A
昭和37年の景品表示法制定時には、「カード合わせ」は懸賞の一方法として規定され、一般の懸賞規制に反しない限り実施可能なものとされていました。
しかし、「カード合わせ」が、その方法自体に欺瞞性が強く、欺瞞することにより取引誘引効果を持つことが問題となりました。そして、「カード合わせ」は、子ども向けの商品に用いられることが多く、子どもの射幸心をあおる度合いが著しく強く、苦情が多かったという事情もありました。
そのため、昭和44年の懸賞景品制限告示の改正時において、景品類の最高額や総額にかかわらず、全面禁止されるに至りました。
「カード合わせ」は、現在でも全面禁止されています。
- Q8 「カード合わせ」における欺瞞性とはどういうことですか。
-
A
「カード合わせ」において欺瞞性とは、当選率に関して錯覚に陥らせることをいいます。
そして、当選率に関する錯覚とは、「カード合わせ」においては、「途中まではすぐに集まるものの、次第に集まりにくくなる」点に錯覚が生じることをいうと考えられます。
具体例で説明しますと、サイコロを振り1から6までの数字を全部そろえさせる場合、最初は1から6のどの数字でも良いので確率は6分の6です。しかし、2つ目は6分の5、3つ目は6分の4と徐々に下がります。そうすると、例えば、3つ目をそろえるまでに要する回数と、そこからさらに6つ目までそろえるまでに要する回数との間には相当の違いが出ます。ところが、消費者は、3つ目までそろえた時点で、それまでに要した回数と同じ程度の回数で6つ目まで全てそろうと誤解する可能性があります。この点に、当選率に関して錯覚が生じ得るといえるのです(特に、判断力が未成熟な子どもの場合、この傾向は顕著に現れるものと考えられます。)。
- Q9 景品表示法の「カード合わせ」に関する規制は、オンラインゲームで行われていたいわゆる「コンプガチャ」と呼ばれるイベントにも適用されるのでしょうか。
-
A
平成23年頃から、オンラインゲームにおいて、有料ガチャによって絵柄の付いたアイテム等を販売し、異なる絵柄の特定の組合せを集めた利用者に対し、特別のアイテム等を提供するという行為(期間限定のイベントなどとして行われ、一般に「コンプガチャ」と呼ばれていました。)が行われており、かかる「コンプガチャ」について、景品規制を及ぼし得るかが問題となりました。
この点に関して、消費者庁は、平成24年5月18日、「カード合わせの考え方」を公表し、その中で、懸賞景品制限告示で禁止されている行為について、インターネット上の取引の分野でも従来の取引の分野と同様に禁止されるとの解釈を明確にし、オンラインゲームにおいて行われていた「コンプガチャ」について、「カード合わせ」に当たり得るとしました。
- Q10 どのような場合にオンラインゲーム上の行為が「カード合わせ」として景品表示法上問題となるのでしょうか。
-
A
例えば、オンラインゲームの中で、ゲームの利用者に対し、ゲーム上で使用することができるアイテム等を、偶然性を利用して提供するアイテム等の種類が決まる方法によって有料で提供する場合であって、特定の2以上の異なる種類のアイテム等をそろえた利用者に対し、例えばゲーム上で敵と戦うキャラクターや、プレーヤーの分身となるキャラクター(いわゆる「アバター」と呼ばれるもの)が仮想空間上で住む部屋を飾るためのアイテムなど、ゲーム上で使用することができるアイテム等その他の経済上の利益を提供するときには、「カード合わせ」として景品表示法上問題となります。
- Q11 「カード合わせ」を禁止する懸賞景品制限告示第5項では、「異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法」と規定されていますが、ここでいう「符票」の意義について教えてください。
-
A
懸賞景品制限告示第5項に「二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票」とあることから、「符票」とは、文字、絵、符号等によってあるものを他のものと区別する何らかの印を指すものといえます。なお、懸賞景品制限告示第5項にいう「符票」は、昭和37年の同告示制定当初から、紙片に限らないとされてきたものです。
- Q12 オンラインゲームには、「カード合わせ」に該当するいわゆる「コンプガチャ」以外にも射幸心を著しくあおる課金の仕組みがたくさんあります。これらの課金方法も景品表示法上問題なのではないですか?
-
A
例えば、「カード合わせ」に該当するいわゆる「コンプガチャ」のような行為以外にも、オンラインゲーム上で利用者に提供される何らかの経済上の利益が景品表示法上の「景品類」に当たる場合には、景品類の最高額や総額の制限に服すことになりますから、(景品類に関するQ&AのQ3参照。)、その制限を超えて景品類が提供された場合には景品表示法上問題となります。また、例えば、オンラインゲーム上で販売されるアイテム等が実際のものよりも著しく優良であると示す表示や当該アイテム等の取引条件などが実際のものよりも著しく有利であると誤認される表示がなされた場合にも、景品表示法上問題となります。
なお、景品表示法は、消費者の射幸心をあおる行為それ自体を規制するものではありません。
- Q13 景品表示法上の「景品類」の定義を教えてください。
-
A
一般に景品とは、粗品、おまけ、賞品等を指すと考えられますが、景品表示法上の「景品類」とは、
- (1)顧客を誘引するための手段として
- (2)事業者が自己の供給する商品・役務(サービス)の取引に付随して提供する
- (3)物品、金銭その他の経済上の利益
であって、内閣総理大臣が指定するものをいいます。
(1)の要件は「顧客誘引性」と、(2)の要件は「取引付随性」と呼ばれます。
(1)から(3)までの要件を一つでも欠くものは景品表示法上の景品類には該当しません。したがって、例えば、事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して一般消費者に対して何らかの経済上の利益を提供することがあったとしても、当該経済上の利益が、当該一般消費者(顧客)を誘引するための手段として提供されるものでなければ、当該経済上の利益は「景品類」には該当しません。 - Q14 顧客誘引性とは、どのような要件なのかについて教えてください。
-
A
景品表示法は、過大な景品類の提供や不当な表示による顧客誘引を防止するため、一般消費者の自主的かつ合理的な商品・役務(サービス)の選択を阻害するおそれのある行為を制限又は禁止する法律です(景品表示法第1条)。そのため、景品表示法上、一般消費者に提供される経済上の利益が景品表示法上の景品類に該当するためには、当該経済上の利益が、「顧客を誘引するための手段」となっていることが要件とされています(景品表示法第2条第3項)。
「顧客を誘引するための手段」であるか否かは、消費者に経済上の利益を提供する事業者の主観的意図や企画の名目にかかわらず、客観的に顧客誘引のための手段となっているかどうかによって判断されます。
また、新たな顧客の誘引に限らず、取引の継続又は取引量の増大を誘引するための手段も「顧客を誘引するための手段」に含まれます。
- Q15 取引付随性とは、どのような要件なのかについて教えてください。
-
A
景品表示法上、一般消費者に提供される経済上の利益が景品表示法上の景品類に該当するためには、当該経済上の利益が、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して相手方に提供するものであることが要件とされています(景品表示法第2条第3項、景品類指定告示第1項柱書本文)。
「取引に付随」する場合とは、取引を条件として他の経済上の利益を提供する場合はもちろん、取引を条件としない場合であっても、経済上の利益の提供が、取引の相手方を主たる対象として行われるとき、例えば、商品又は役務を購入することにより経済上の利益の提供を受けることが可能又は容易になる場合(商品を購入しなければ回答やそのヒントが分からないなど)には、「取引に付随」する提供に当たります。
- Q16 オンラインゲームにおいて、有料ガチャを通じてアイテム等を利用者に供給する行為は、景品規制の対象となりますか。
-
A
有料ガチャにより一般消費者が得るアイテム等は、経済上の利益といえる場合であっても、一般消費者と事業者との間の取引の対象そのものであり、当該取引に付随して一般消費者に提供されるものではないため、景品類には該当しません。
したがって、景品規制の対象とはなりません。
- Q17 オンラインゲームにおいて、無料で進行可能なイベント等があり、その進行中にアイテム等がランダムで入手でき、入手したアイテム等のうち2以上の異なる種類のアイテム等の特定の組合せをそろえると経済上の利益が提供される場合において、当該イベント等の進行に有利になるアイテムAを有料で販売するとき、景品規制の対象となりますか。
- A
- Q18 月額課金制のオンラインゲームにおいて、イベント等の進行中にアイテム等がランダムで入手でき、入手したアイテム等のうち2以上の異なる種類のアイテム等の特定の組合せをそろえるとゲーム上で使用することができるアイテム等の経済上の利益が提供される場合、景品規制を受けますか。
-
A
Q15の解説のとおり、「正常な商慣習に照らして取引の本来の内容をなすと認められる経済上の利益の提供」は、「取引に付随」する提供に当たらないところ、月額課金制のオンラインゲームにおいては、ゲームの供給自体が一つの取引であると考えられ、事業者が利用者に対し、当月内で行われるイベント等の進行中にアイテム等をランダムで供給し、供給されたアイテム等のうち2以上の異なる種類のアイテム等の特定の組合せをそろえたものに対し、別のアイテム等その他の経済上の利益を提供することも、月額課金によるゲーム供給という取引の本来の内容をなすものと考えられます。
よって、月額課金のみでアイテム等の販売がなく、アイテム等の取引に付随して別のアイテム等その他の経済上の利益が提供されている関係が存在しなければ、当該経済上の利益は景品表示法上の景品類に該当せず、景品規制は受けないと考えられます。
ただし、月額課金に加えて、アイテム等の販売もなされ、アイテム等を販売するという取引に付随してアイテム等その他の経済上の利益が提供され、それが顧客を誘引するための手段となっている場合には、当該経済上の利益は景品類に該当し、景品規制を受ける可能性があると考えられます。
-
Q19
オンラインゲームにおいて、有料ガチャによってアイテムAとアイテムBをそろえると、Bが消滅し、Aのみが残り、Aの攻撃力が増強されるという効果が生じる仕組みがあるとします。この場合、Aの攻撃力の増強こそが有料ガチャという取引の本来の内容であって、当該取引に付随した経済上の利益が提供されていないので、景品規制は適用されないのではないでしょうか。
また、AとBをそろえると、ABともに消滅して別のアイテムCが提供される場合はどうでしょうか。 -
A
Q15の解説のとおり、「取引に付随」する場合とは、取引を条件として他の経済上の利益を提供する場合や、取引を条件としない場合であっても、経済上の利益の提供が、取引の相手方を主たる対象として行われるとき、例えば、商品又は役務を購入することにより経済上の利益の提供を受けることが可能又は容易になる場合(商品を購入しなければ回答やそのヒントが分からないなど)には、「取引に付随」する提供に当たります。
しかしながら、「正常な商慣習に照らして取引の本来の内容をなすと認められる経済上の利益の提供」といえる場合には、「取引に付随」する場合には該当しないとされています。
そして、どこまでの範囲が有料ガチャという取引の本来の内容となるかは、各ゲームの仕組みを踏まえた個別判断となりますが、有料ガチャによってAやBを取得した時点でAやBを取得する取引は終了しているといえること、Bが消滅しAのみが残り、Aの攻撃力が増強する場合であっても、Aの攻撃力を増強させるという別の経済上の利益(経済上の利益と認められるか否かについてはQ20、Q21、Q22、Q23参照)を提供しているといえることから、Aの攻撃力の増強は、AやBを取得する有料ガチャという取引の本来の内容とはならないことがあります。
そこで、Aの攻撃力の増強が、有料ガチャという取引に付随して提供される経済上の利益に当たり、顧客を誘引するための手段となっている場合には、景品類に該当し、景品規制を受ける可能性があります。
AとBをそろえるとABともに消滅して別のアイテムCが提供される場合も、上記と同様に考えられます。
- Q20 経済上の利益とは何ですか。また、どのような場合に認められるのかについても教えてください。
-
A
経済上の利益とは、提供されたものが景品類と認められるための要件の1つで、景品表示法第2条第3項及び景品類指定告示第1項に「物品、金銭その他の経済上の利益」と記載されているものです。
経済上の利益と認められるか否かは、「提供を受ける者の側からみて、通常、経済的対価を支払って取得すると認められるもの」といえるか否かで判断されます。
ただし、表彰状、表彰盾、表彰バッジ、トロフィー等のように提供を受ける者の名誉を表するようなものは、通常、経済的対価を支払って取得するとは認められませんから、経済上の利益には含まれません。
-
Q21
オンラインゲームにおいて、有料ガチャによってアイテム等を取得し、そのうち、異なる種類のアイテム等の特定の組合せをそろえると別のアイテム等が提供される場合、提供される別のアイテム等は、経済上の利益に当たりますか。
また、提供されるものが別のアイテム等ではなく、組み合わされたアイテム等の攻撃力が増強されたり、必殺技を使えるようになったりする場合にも、経済上の利益に当たりますか。 -
A
上記仕組みで提供される別のアイテム等については、その獲得まで何度も有料ガチャを行い相当の費用をかけるといった消費者の実態等があることから、「通常、経済的対価を支払って取得すると認められるもの」として、「経済上の利益」に当たると考えられます。
また、アイテム等の攻撃力が増強されたり、必殺技を使えるようになることが、「通常、経済的対価を支払って取得すると認められるもの」といえれば、経済上の利益に該当します。
-
Q22
オンラインゲームにおいて、有料ガチャによってアイテムAとアイテムBをそろえると、A及びBと引き替えにアイテムCを取得できる場合、Cのパラメーター(パラメーターとは、攻撃力や防御力といったアイテム等の能力を示す数値のことをいうものとします。)がAとBのパラメーターの合計よりも大きくならなければ、Cは経済上の利益に該当しないのではないでしょうか。
例えば、Aのパラメーターが50、Bのパラメーターが30だったとして、Cのパラメーターが60の場合などです。 -
A
Cのパラメーターが、AとBのパラメーターの合計(上記の例でいえば80)よりも大きくなるか否かにかかわらず、Cが、提供を受ける者の側からみて、「通常、経済的対価を支払って取得すると認められるもの」であれば、経済上の利益に該当します。
- Q23 オンラインゲームにおいて、有料ガチャによって特定の異なる種類のアイテム等をそろえた利用者に対し提供されるアイテム等について、非売品であったり、利用者同士が交換することができない場合には、提供されるアイテム等には市場での販売価格が考えられないところ、かかる場合でも「経済上の利益」があるといえますか。
-
A
提供されるアイテム等について、非売品であったり、利用者同士が交換することができない場合でも、提供を受ける者の側からみて、「通常、経済的対価を支払って取得すると認められるもの」といえれば、経済上の利益に該当します。非売品であっても経済上の利益に当たり、景品類に該当する場合があります(「景品類の価額の算定基準について」〔昭和53年公正取引委員会事務局長通達第9号〕では、「市販されている場合」と「市販されていない場合」とに分けて、景品類の価額の算定基準に関する考え方が示されています。)。
また、提供されるアイテム等が転売可能か否かは、当該アイテム等が経済上の利益に当たるか否かの要件とはされていません。
- Q24 オンラインゲームにおいて、有料ガチャによってAからIまでの9種類のアイテム等をそろえるとアイテムXが別途提供されるという企画があるとします。この場合、特定のAからGまでの7種類集めると、アイテムY(Xよりも希少性の低いもの)が提供される場合、「カード合わせ」に該当しますか。
-
A
AからGまでという特定の7種類のカードをそろえた者に対しYを提供することは、「異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による・・・提供」に該当しますから、Yが、「景品類」に該当すれば、上記仕組みは「カード合わせ」に該当します。
- Q25 オンラインゲームにおいて、有料ガチャによってアイテム等を入手し、異なる種類のアイテム等の特定の組合せをそろえた場合、複数のアイテム等と引き替えに自動的に別のアイテム等が提供されるという仕組みではなく、利用者が、元のアイテム等を消滅させて別のアイテム等の提供を受けることもできるし、元のアイテム等を残して別のアイテム等の提供を受けないことにすることもできる場合にも、「カード合わせ」に該当するのでしょうか。
-
A
「カード合わせ」が全面禁止されているのは、異なる種類の符票の特定の組合せをそろえさせることにより、消費者を確率に関する錯覚に陥らせることに欺瞞性を有し、消費者の射幸心をあおって、取引への誘引効果を持つ点にあるところ、特定の組合せをそろえさせるものであればその趣旨を満たすため、特定の組合せをそろえた後に、利用者の選択により、別のアイテム等の提供を受ける場合と受けない場合があるとしても、そのことは「カード合わせ」該当性を左右しません。
そして、提供される別のアイテム等が景品類に該当すれば、上記仕組みは「カード合わせ」に該当します。
- Q26 オンラインゲームにおいて、有料ガチャにより、同種類の絵柄のついたアイテムAを複数集めるとアイテムXが提供される場合に、「カード合わせ」に該当しますか。
-
A
「カード合わせ」は、「異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる」ことですから、Aという同じ符票の組合せを提示させる方法は、これには該当しません(懸賞景品制限告示運用基準4(2)ウ)。
-
Q27
オンラインゲームにおいて、有料ガチャによって、例えば、AとAをそろえるとBが提供され、AとBをそろえるとCが提供され、AとCをそろえるとDが提供されるように、結局はAのみを引き当てることにより経済上の利益が提供される仕組みとなっている場合、「カード合わせ」に該当しますか。
なお、上記BないしDは、Aをそろえることによりはじめて提供されるものであり、有料ガチャによって供給されるアイテム等には含まれないものとします。 -
A
Q26と同様、Aという同じ符票をそろえるものである限りにおいて、「異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用い」ておらず、「カード合わせ」には該当しません。
同じ符票をそろえるものであるといえるか否かは、事案ごとに個別に判断されることになります。
例えば、質問の事例とは異なり、BないしDが有料ガチャによっても供給されているときは、AとBをそろえるとCが提供される局面において、Aと(A2枚としての)Bをそろえるもの、すなわち同一符票たるAを3枚そろえる場合のほか、Aと(A2枚とは別の)Bという異なる種類の符票の特定の組合せをそろえる場合の2つがあり得るので、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法に該当するとされることもあり得ます。この場合、提供されるCが景品類に該当すれば、上記仕組みは「カード合わせ」に該当します。
- Q28 オンラインゲームで行われていた、いわゆる「ビンゴガチャ」は「カード合わせ」に該当しますか。
-
A
いわゆる「ビンゴガチャ」と呼ばれるものが、「異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた」ものになっている場合には、「カード合わせ」に該当します。
上記の例で説明しますと、AないしI以外の多数のカードの中からAないしIというカードのうち、「A、B、C」「A、E、I」など特定の組合せをそろえることが求められており、「異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた」ものになっていることから、「カード合わせ」に該当します。
なお、「カード合わせ」該当性で重要なのは、「コンプガチャ」とか「ビンゴガチャ」などという名称ではなく、それらで採られている仕組みが、「異なる種類の符票の特定の組合せ」を提示させるものになっているか否かであり、「異なる種類の符票の特定の組合せ」を提示させるものであり、かつ、提供されるものが景品類に該当する場合、仕組みの名称のいかんにかかわらず、「カード合わせ」に該当します。
- Q29 平成24年7月1日、「カード合わせ」に当たる例を追加した新しい懸賞景品制限告示運用基準が施行されましたが、それより前にオンラインゲーム上で「カード合わせ」の方法を用いた景品類の提供が行われていた場合、かかる行為は全て適法な行為に当たるのでしょうか。
-
A
消費者庁が平成24年5月18日に公表した「カード合わせの考え方」は、現存の景品類指定告示及び懸賞景品制限告示の解釈を明確にしたものであり、両告示の内容に変更はありません。
よって、「カード合わせの考え方」で示された解釈は平成24年5月18日前の行為にも当てはまるものです。
しかし、オンラインゲームにおいて、有料ガチャ等によってアイテム等を入手し、異なる種類の符票の特定の組合せをそろえると別のアイテム等が提供される仕組みについて、消費者庁及び公正取引委員会は、これまで景品表示法に基づく措置を採ったことはなく、景品表示法の規制が及ぶことを明確に示す運用基準もありませんでした。そこで、平成24年5月18日、まずはインターネット上の仮想空間内における便益が、景品類指定告示にいう「便益…その他の役務」に該当するとの点を含め、景品表示法上の解釈を明らかにすることによって、オンラインゲーム上の「コンプガチャ」も違法であることを明確にし、事業者及び一般消費者に対し注意喚起をすることとしました。
そして、消費者庁として、上記の仕組みに対して景品表示法を執行するのは、一定の期間を置いた平成24年7月1日からとし、この方針を明確にするため、運用基準を改正し、その施行時期を明示しました。
よって、平成24年7月1日前の行為につき消費者庁が調査をし、景品表示法に抵触していたか否かを判断することはありません。
【略語集】
名称 | 略称 |
---|---|
携帯電話端末やパソコン端末などを通じてインターネット上で提供されるゲーム | オンラインゲーム |
オンラインゲーム上で利用者に提供されるアイテム、カード、キャラクター、アバターなど | アイテム等 |
くじを用いるなど、偶然性を利用して、利用者に対してアイテム等を提供する仕組み | ガチャ |
無料で行うガチャ | 無料ガチャ |
有料で行うガチャ | 有料ガチャ |
二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供 | 「カード合わせ」 |
「オンラインゲームの『コンプガチャ』と景品表示法の景品規制について」(平成24年5月18日消費者庁) | 「カード合わせの考え方」 |
不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号) | 景品表示法 |
不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件(昭和37年公正取引委員会告示第3号) | 景品類指定告示 |
景品類等の指定の告示の運用基準について(昭和52年公正取引委員会事務局長通達第7号) | 景品類指定告示運用基準 |
懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(昭和52年公正取引委員会告示第3号) | 懸賞景品制限告示 |
「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準(平成24年消費者庁長官通達第1号) | 懸賞景品制限告示運用基準 |
担当:表示対策課