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公正競争規約

1. 公正競争規約制度の目的

公正競争規約(景品表示法第31条に基づく協定又は規約)とは、景品表示法第31条の規定により、公正取引委員会及び消費者庁長官の認定を受けて、事業者又は事業者団体が表示又は景品類に関する事項について自主的に設定する業界のルールです。

一般消費者の利益を保護するためには、商品・サービスの選択に必要な情報が正しく提供されること、そして、過大な景品類が提供されないことが大切です。公正競争規約は、その業界の商品特性や取引の実態に即して、広告やカタログに必ず表示すべきことや、特定の表現を表示する場合の基準、景品類の提供制限などを定めており、一般消費者がより良い商品・サービスを安心して選ぶことができる環境作りのための大切な役割を担っています。

また、販売競争は、本来の姿としては品質と価格による競争であるべきですが、ある事業者が誇大な広告宣伝や過大な景品提供を行うと、他の事業者もこれに対抗して、誇大な広告宣伝や景品の額による競争に陥りやすく、しかもこのような競争は、影響が徐々に広い範囲に及びやすく、繰り返されやすいという性格を持っています。例えば、ある会社が1万円の景品付販売を実施すれば、競争相手は3万円、5万円とより多額の景品をもって対抗するというように次第にエスカレートしますし、表示についても、果汁が10%しか入っていない飲料に、ある会社が「果汁たっぷり」と表示すれば、他社は「搾りたての果汁」等と表示してこれに対抗するようになりやすいものです。

そこで、不当な表示や過大な景品類の提供による競争を防止し、業界大多数の良識を「商慣習」として明文化し、この「商慣習」を自分も守れば他の事業者も守るという保証を与え、とかくエスカレートしがちな不当表示や過大な景品類の提供を未然に防止するというところに公正競争規約制度の目的があります。

2. 公正競争規約の内容

公正競争規約で定めることのできる内容は、表示又は景品類に関する事項に限られますが、このほか、規約を運用するために必要な組織や手続に関する規定を定めることもできます。具体的にどのような内容を規定するかは、規約を設定する事業者又は事業者団体の決めることですが、例えば、表示に関する公正競争規約では、通常次のようなものが考えられます。

  1. (1)必要な表示事項を定めるもの(原材料名、内容量、賞味期限、製造業者名等の表示を義務付けることなど)
  2. (2)特定事項の表示の基準を定めるもの(不動産広告の徒歩による所要時間は、80メートルにつき1分の換算で表示することなど)
  3. (3)特定用語の表示を禁止するもの(加工乳及び乳飲料には、「牛乳」の用語を使用しないことなど)

3. 公正競争規約の認定要件

公正取引委員会及び消費者庁長官は、公正競争規約の設定又は変更の認定についての申請を受けた場合、必要に応じ、パブリックコメントを募集するなどして消費者、関係事業者、学識経験者等の意見を聴いた上で、その規約の内容が次の4つの要件に適合すると認められるものでなければ、これを認定することができません。

  1. (1)不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択及び事業者間の公正な競争を確保するために適切なものであること。
  2. (2)一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。
  3. (3)不当に差別的でないこと。
  4. (4)公正競争規約に参加し、又は公正競争規約から脱退することを不当に制限しないこと。

4. 公正競争規約の効果

事業者が公正競争規約に参加するメリットは、公正取引委員会及び消費者庁長官が当該業界における公正な競争の確保のために適切なものであると認定した公正競争規約に参加し、そのルールを守ることにより、その事業者に対する消費者の信頼を高め、ひいては業界全体に対する消費者の信頼を高めるという点にあります。規約の参加事業者は、規約の内容を遵守している限り、景品表示法や関係法令上問題とされることがないため、安心して販売活動を行うことができます。

公正競争規約は、事業者又は事業者団体が自主的に設定するルールであることから、規約に参加していない事業者には適用されません。公正競争規約に参加していない事業者が行う不当表示や過大な景品類の提供については、消費者庁が景品表示法の規定に基づいて措置を採ることになります。

なお、公正競争規約は公正取引委員会及び消費者庁長官が認定したものであることから、公正競争規約及びこれに基づいてする事業者又は事業者団体の行為には、独占禁止法の手続規定は適用されません(景品表示法第31条第5項)。

担当:表示対策課