コラムVol.7 インターネットでの化粧品の購入は慎重に-模倣品などの可能性も-

近年、オンラインショップやフリマサイト等、インターネットで商品を購入する人が増えています(※1)。気軽に商品を購入することができる一方、購入した商品が模倣品(※2)であったり、海外からの直接購入(個人輸入)のため国内の仕様とは異なるものであったりしたために、届いた商品が想像とは違ったといった経験をされた方や、思わぬ危害に遭った方もいるかもしれません。
化粧品を購入する場合、自身の肌等との相性を確かめるため、成分表示や使用感を確認してから購入する方もいるかと思いますが、インターネットで購入する商品は、実際にその商品を確認したり試したりすることができません。このため、インターネットでの化粧品の購入には注意が必要です。
日本国内で正規に流通している化粧品は、医薬品医療機器等法(※3)により、その品質、有効性及び安全性(以下「品質等」といいます。)が確認されていますが、インターネットで購入した模倣品や個人輸入した化粧品は、同法に基づく品質等の確認がなされていないほか、衛生状態がよくない場所で作られていたり、粗悪な原料が使われていたりする可能性があります(※4)。
また、たとえ正規品であったとしても、新古品・未使用品や使いかけの化粧品は、保管状況などによって品質等が保たれていないこともあるため(※5)、フリマサイト等でそれらの化粧品を購入する際は、そのことも併せて理解しておく必要があります。
模倣品による被害
模倣品とは、商標権や特許権、著作権のような知的財産権を侵害する様々なジャンルの違法品のことです。化粧品などを模倣した、いわゆるニセブランドなどもこれに含まれます。模倣品の製造や販売は、知的財産権を侵害する違法行為ですが、模倣品を購入することについても犯罪に加担する行為になってしまいます(※6)。
- <消費者庁に寄せられた事例(※7)>
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- これまで正規取扱店で購入していた化粧水と同じ製品がフリマサイトに出品されており、出品者によると百貨店で購入したとのことだったので、信用して購入した。届いた商品の外観に問題はないように思い、実際に使用してみると、塗布した所がヒリヒリ痛み赤くなった。不審に思い改めてパッケージを確認すると、品質保証のシールやデザインが普段購入するものと違っていた。返品を申し出たところ、開封済みなので返品不可と連絡があった。
- インターネットでブランドの化粧品を安く売っているショップを見つけた。通常価格の半額以下だったため不安ではあったが、正規品と書いてあったので美容液と化粧水を購入した。届いた商品は外箱が濡れており、中身も正規品のような匂いではなかった。不審に思いながら使ってみると使用感が違っており、塗布したところがピリつくため使い続けることができなかった。その後、返金を申し出たが、ショップと連絡が取れず交渉できない状態。
- フリマサイトでいつも使っている洗顔せっけんが安く売られていたので購入した。届いた商品を確認すると、匂いや泡の色が正規品と異なるため偽物だと確信したが、使い心地が良ければ使おうと思った。1度使っただけで顔がかゆくなり、その旨をフリマサイトに伝えたが、対応しないと言われた。
個人輸入した化粧品による被害
個人輸入とは、一般的には「外国の製品を個人で使用することを目的として、海外の通信販売、小売店、メーカーなどから、個人が直接購入すること」と言われています。
個人輸入の形態としては、
1. 輸入者自身が購入したい品物を直接、外国の通信販売会社、小売店、メーカーなどに注文して、そこから直接購入する方法
2. 輸入代行業者に注文して、その代行業者を通じて輸入する方法
などがあります。
個人輸入は海外との直接取引であり、サイズ違い、破損等のトラブルは自力で処理しなければならないという、リスクを負うことを知っておく必要があります(※8)
- <消費者庁に寄せられた事例(※7)>
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- 普段から使っている海外製のフェイスクリームをネット通販で購入した。開封すると油脂分が分離しているように見え、使用してみると匂い等が普段のものとは異なっていた。2回使用すると肌にニキビのようなものができ、赤くなってしまった。購入元に返品または交換を申し出ると、国内流通品とは異なる場合があるが、安全性に問題はなく、返品も交換もできないと断られた。
- 親へのプレゼントとして、親が愛用する海外基礎化粧品のセットを3点、通販サイトで購入した。2点しか届かなかったため通販サイトに確認すると「関税の関係で後日到着」と返信があり、翌日に残り1点が到着した。発送が海外で、国内宅配業者が配達していた。開封すると3点とも注文品と異なったため、販売・出荷元に確認すると、「パッケージのデザイン変更のみで成分は同じである」との回答だったため親が使用してみると、肌がピリピリして痒くなった。返品を申し出たが、未使用の商品2点の返品は受けるが、使用済み商品1点の払い戻しはできないと断られた。
事故やトラブルを防ぐためのアドバイス
インターネットで購入した化粧品による事故やトラブルを防ぐために以下の点に気をつけましょう。
- 事業者の氏名・住所・電話番号、商品説明や支払方法、返金保証等をよく確認し、信頼できる事業者から購入する。
- 届いた商品の見た目や表示に不審な点がある場合は使用を控える。なお、不安であれば製造・販売・輸入事業者に問い合わせることも検討する。
- 万が一、肌にトラブルが起きてしまったときは、ただちに使用を中止し、症状の程度によっては皮膚科専門医の診療を受ける(※9)。
- その他、トラブルが生じた場合は、まずは製造・販売・輸入事業者や行政機関等の窓口に相談する。
- <行政機関等の相談窓口>
また、特許庁が、模倣品の見分け方について10個のポイントをまとめていますので、併せてご参照ください(※6)。
化粧品は日常的に使うものであり、また中には、ブランド品など高価なものもあることから、「少しでも安く買いたい」という心理が働くかと思います。インターネットには、正規の値段よりも安い化粧品が販売されていることもありますが、その安全性・品質が担保されているかどうかを見極めることは難しくなっています。実際に使ったことがある製品だから大丈夫だと思わず、購入する前に一度立ち止まって、購入しようとする化粧品に不審な点がないかを確認するようにしましょう。
- ※1:総務省統計局「家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について(二人以上の世帯)―2024年(令和6年)1月分結果」
- ※2:外務省「模倣品・海賊版を取り締まれ!」
- ※3:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)
- ※4:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
- ※5:日本化粧品工業会「季節の情報:化粧品の保管場所には気をつけましょう。」
- ※6:特許庁「コピー商品撲滅キャンペーン 絶対買わんぞ!コピー商品」
- ※7事故情報データバンク:消費者庁が(独)国民生活センターと連携し、関係機関から「事故情報」「危険情報」を広く収集し、事故防止に役立てるためのデータ収集・提供システム(平成22年4月運用開始)。
- ※8:税関「3001 個人輸入とは(カスタムスアンサー)」
- ※9:日本化粧品工業会「基本編:もし肌トラブルが起きてしまったときは」
担当:消費者安全課