高齢者が利用しやすい注文媒体の提供と配達を通じた見守り:パルシステム
パルシステム生活協同組合連合会(以下「パルシステム」という。)は東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、福島、山梨、長野、静岡、新潟の12都県において食品や生活用品等の宅配事業を展開しています。パルシステムは、利用者の声を踏まえて高齢者が注文しやすいカタログを作成するなど、高齢社会の課題に対応した様々な取組を行っていること等が評価され、「令和3年度消費者志向経営優良事例表彰(注1)」において、消費者庁長官表彰(特別枠)に選定されました。
高齢者が簡単に注文できるカタログを提供
パルシステムのカタログ注文はカタログと注文書が別々になっており、注文書に記載された文字のみの多数の商品名や商品番号の中から注文したい商品を見つけ、購入したい数量を記載する形式です。そのため、利用に慣れていない高齢者からは「注文が面倒」、「商品が探しにくい」等の声が寄せられることも少なくありませんでした。そうした高齢者の声を踏まえて、パルシステムは注文をカタログへ直接書き込むことができる「きなりセレクト」を展開しています。「きなりセレクト」では、商品画像も掲載し、文字が見えにくい高齢者でも注文しやすい様式にしています。高齢者はカタログを見て、欲しい商品の部分に直接数字を書いて配送職員に渡すだけで、注文商品が届きます。
配達を通じた高齢者の見守り
宅配業は、配達する際、高齢者のちょっとした異変にも気付きやすい業態です。パルシステムではこの特性を利用して、原則60歳以上の組合員を対象に、登録した家族等に毎週の配達の際の安否確認をメールで知らせる「見守り安心サービス」を無料で提供しています。見守り安心サービスでは、離れて暮らす家族へ配達した時間や配達時の在宅・不在等の状況の連絡をするほか、郵便物がたまっているなど異変を察知した場合には、家族や地方公共団体に緊急で連絡します。また、見守り対象者が体調不良で倒れているような緊急時には、警察や消防への緊急通報を行います。パルシステムの配達担当者は、商品の配達担当だけでなく、地域の「見守り役」になっています。
- 注1:消費者庁が「消費者」と「共創・協働」して「社会価値」を向上させる経営(消費者志向経営)の推進を図ることを目的として、2018年度から実施。2021年度の受賞事業者については、消費者庁ウェブサイト「過去の消費者志向経営優良事例表彰」を参照。
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/consumer_oriented_management/propulsion_organization/commendation/
担当:参事官(調査研究・国際担当)