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第2部 第1章 第4節 (3)消費生活の国際化の進展への対応

第2部 消費者政策の実施の状況

第1章 消費者庁の主な消費者政策

第4節 多様な課題への機動的・集中的な対応

(3)消費生活の国際化の進展への対応

経済協力開発機構(OECD)消費者政策委員会への参画

 消費者庁は、2022年4月及び11月にOECD消費者政策委員会(CCP(注45))本会合及び下部作業部会の製品安全作業部会本会合に参加しました。新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年以降はオンライン形式での開催が続きましたが、11月に、3年ぶりにパリのOECD本部で実開催されました。これらの会合では、オンライン上のダーク・パターン(注46)、デジタル時代のぜい弱な消費者(注47)、製品安全誓約(注48)の政策ガイダンス等について議論が行われました。ダーク・パターンについては、2022年10月に報告書が公表され、その中でダーク・パターンの定義(注49)が示されました。今後実施予定のダーク・パターンの実証実験に関しては、日本も参画している作業グループで議論が続けられています。デジタル時代のぜい弱な消費者については、高齢者、子供等の伝統的な「弱者」といった属性のみを切り口にするのではなく、ダーク・パターン、デジタル格差等「状況」によるぜい弱性を取り上げることが重要であるとする観点から、議論が展開されました。製品安全誓約は、オンライン市場事業者と消費者製品安全当局との間で、製品安全の強化のため自主的に交わされる取決めですが、この政策ガイダンスが2022年7月に公表され、事例や注意点が示されました。また、2023年からは、新たにグリーン・トランジションにおける消費者の積極的参画に関するプロジェクトも加わり、各国の政策に関する分析やグリーンな消費に向けた消費者行動についての実証実験も検討される予定です。

 日本は、CCP及び製品安全作業部会の副議長を長年務めており、勧告の見直しやガイドラインの作成等において議論を主導し、その方向性の決定に関与するなど、重要な役割を果たしています。


  • (注45)Committee on Consumer Policy(消費者政策委員会)の略。
  • (注46)定期購入や消費者に不利な利用規約への同意等、オンライン事業者によるウェブサイトやアプリ設計等により、消費者に、自らにとって不利な決定ないし意図せざる決定をさせる手法のパターン。
  • (注47)デジタル時代においては消費者のぜい弱性の概念が従来と全く異なり、潜在的に全ての消費者がオンライン上でぜい弱になる可能性がある。
  • (注48)オンライン市場における消費者製品の安全強化を目的とし、自主的取組としてオンライン市場事業者と消費者製品安全当局との間で交わされる誓約。
  • (注49)報告書ではダーク・パターンの定義を、「ダーク・コマーシャル・パターンとは、消費者の自主性、意思決定又は選択を覆す又は損なうデジタル選択アーキテクチャの要素を、特にオンライン・ユーザー・インターフェースにおいて、利用するビジネス・プラクティスのことである。これらは、しばしば消費者を欺き、強制し、又は操作し、様々な方法で直接的又は間接的に消費者被害を引き起こす可能性があるが、多くの場合、そうした被害を計測することは困難又は不可能であろう。」としている。

担当:参事官(調査研究・国際担当)