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第1部 第2章 第1節 (2)高齢者を取り巻く社会環境の変化

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組

第1節 高齢者を取り巻く環境と意識

(2)高齢者を取り巻く社会環境の変化

■周囲とのつながりの状況

 家庭や地域等の状況に目を向けると、世帯構造の変化等により、孤独や孤立が生まれやすい社会になっています。ここでは、各種調査結果を基に、家庭や地域の状況について分析します。

高齢者の一人暮らしの割合は1980年以降、増加傾向

 65歳以上の一人暮らしの者の割合は男女共に増加傾向にあり、1980年には男性4.3%、女性11.2%でしたが、2020年には男性15.0%、女性22.1%となっています。高齢者人口が増加する中、特に一人暮らしの高齢者が増えています(図表Ⅰ-2-1-10)。

孤独感に強く影響を与えたと思われる出来事として「一人暮らし」と回答した人はおよそ6人に1人

 内閣官房の「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(令和4年人々のつながりに関する基礎調査)」で、全国の16歳以上の個人に「どの程度、孤独であると感じることがあるか」を聞いた際に、「孤独を感じる頻度が比較的高いと回答した人」(「たまにある」、「時々ある」又は「しばしばある・常にある」の計)に対して、「現在の孤独感に強く影響を与えたと思われる出来事」を聞いたところ、「家族との死別」と回答した人の割合が27.0%で最も高く、次いで「心身の重大なトラブル(病気・怪我等)」が17.7%、「転校・転職・離職・退職(失業を除く)」が16.9%、「一人暮らし」が16.8%でした。孤独感を感じる頻度が比較的高いと回答した人のおよそ6人に1人は、「一人暮らし」が孤独感に強く影響を与えたと考えており、一人暮らしは孤独を感じる要因になる可能性が示されました(図表Ⅰ-2-1-11)。

高齢者の約8割は地域との付き合いがある

 内閣府の「社会意識に関する世論調査」(2021年12月調査)によると、「地域での付き合いをどの程度しているか」という問に対し、「付き合っている」(「よく付き合っている」又は「ある程度付き合っている」の計)と回答した人の割合は、全体が56.6%、70歳以上が76.9%となり、高齢者の方が地域との付き合いがあることが分かりました(図表Ⅰ-2-1-12)。

75歳以上の4人に1人は、相談事があったときに近所の人と相談をするような付き合いがある

 内閣府の「高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査」(2021年度)で、「近所の人とふだんどのような付き合いをしているか」を聞いたところ、60歳以上の高齢者全体では、「会えば挨拶をする」と回答した人の割合が83.5%と最も高く、次いで、「外でちょっと立ち話をする」が55.4%でした。また、70歳以上では「物をあげたりもらったりする」と回答した人の割合が50%以上あり、60歳代よりも高くなっています。さらに、75歳以上のおよそ4人に1人が、「相談ごとがあった時、相談したり、相談されたりする」と回答しました。高齢者の中でも年齢によって近所の人との付き合い方は異なることが示唆されました(図表Ⅰ-2-1-13)。

担当:参事官(調査研究・国際担当)