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第1部 第2章 【特集】高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組

 日本は超高齢社会に突入しており、そのことは高齢消費者の増加も意味しています。その中で、高齢者が消費者トラブルの被害に遭う事例も、例年多く発生しています。さらに近年のデジタル化の進展等の社会環境の変化は、高齢者の消費行動にも影響を与えています。

 一方、消費者は、「消費者市民社会」を構成する一員として、公正かつ持続可能な社会の形成に向けて、積極的に参画する主体でもあります。近年では、「持続可能な開発目標(SDGs)」が世界共通の目標として設定されるなど、持続可能な社会を構築していく必要性が世界的にも強く認識されていますが、その達成に向けた取組は消費者市民社会の実現にも資するものです。消費者市民社会の実現に向けては、消費者、事業者及び行政の協働が不可欠です。高齢者は社会の重要な主体であり、公正かつ持続可能な社会の形成に向けた取組への参画を促すとともに、主体的な行動の活発化は、非常に重要です。

 そこで本章では、まず、第1節で高齢者を取り巻く社会環境の変化を踏まえつつ、近年の高齢者の特徴的な意識について分析します。第2節では、これらを高齢者に特徴的な消費者トラブルと関連付けて分析し、現在の行政の取組を踏まえて、高齢者の「消費者被害の防止」に向けた提案を行います。さらに第3節では、高齢者の社会貢献活動やSDGsに関わる取組としてエシカル消費等への関心と実際の取組の状況について分析するとともに、高齢者等による多様な取組について紹介し、行政や民間による促進策の現状も踏まえて、「社会貢献活動への参画の促進」に向けた提案を行った上で、消費者市民社会の実現に向けた消費者行政の在り方を展望します。

 なお、本章における「高齢者」とは、主に65歳以上を指して取り上げますが、統計上の都合等により、60歳代前半(60歳から64歳まで)を含む場合もあります。

担当:参事官(調査研究・国際担当)