第2部 第2章 第2節 3.その他の持続可能な消費社会の形成に資する消費者と事業者との連携・協働
第2部 消費者政策の実施の状況
第2章 消費者政策の実施の状況の詳細
第2節 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進
3.その他の持続可能な消費社会の形成に資する消費者と事業者との連携・協働
(1)エシカル消費の普及啓発
より良い社会に向けて、地域の活性化や雇用等を含む人や社会・環境に配慮した消費行動である「エシカル消費」への関心が高まっています。
こうした消費行動の変化は、消費者市民社会の形成に向けたものとして位置付けられるものであり、持続可能な社会の形成に向けて大きな可能性を秘めています。そして、その実現のためには、消費行動の進化と事業者サイドの取組が相乗的に加速していくことが重要です。
2021年度は、啓発用のパンフレット、ポスター、動画や学習教材等の学校や地域等での活用促進、事業者主催の普及啓発イベントへの積極的な参画のほか、特設サイト等における情報発信の充実に向けた取組を進めています。また、サステナブルファッションについて、8月に消費者庁、経済産業省、環境省による関係省庁連携会議を立ち上げ、政府一丸となってこのサステナブルファッションの推進に取り組んでいく体制を構築し、消費者の行動変容を促すために、特設ページにおける「消費者行動18のヒント」の発信や、サポーター制度の創設、「わたしのサステナブルファッション宣言」リレー等の取組を行っています。
また、合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律(平成28年法律第48号。以下「クリーンウッド法」という。)は、地域及び地球環境の保全に資することを目的として、木材関連事業者には、取り扱う木材等の合法性の確認等を求め、木材等を取り扱う事業者には、合法伐採木材等の利用に努めることを求めています。このため、農林水産省、経済産業省、国土交通省では、合法伐採木材等の流通及び利用を促進する意義について消費者や事業者に理解を深めてもらうために、合法伐採木材等の利用促進に向けた普及啓発等に取り組んでいます。
特に、農林水産省では、合法伐採木材等の利用の促進のため、木材関連事業者が行う木材等の合法性の確認に必要な各国の法令等の情報を収集し、ウェブサイト「クリーンウッド・ナビ」において情報提供を行っています。また、合法伐採木材等の利用を確保するための措置を適切かつ確実に講ずる木材関連事業者の登録促進のため、セミナーや個別相談会を開催しています。さらに、消費者や事業者に対するクリーンウッド法や合法伐採木材等への理解を深めるため、森林・林業・木材産業関係団体で構成される協議会活動において、全国規模の展示会への出展等による普及啓発活動に取り組んでいます。
(2)消費者志向経営の推進
消費者庁は、事業者団体や消費者団体と連携して、事業者の消費者志向経営を推進しています。2016年10月から事業者団体、消費者団体、消費者庁で構成される消費者志向経営推進組織(プラットフォーム)を発足し、「消費者志向自主宣言・フォローアップ活動(注54)」等の推進活動を実施しています。2021年度には、「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」を開催し、消費者志向経営優良事例表彰の在り方及び今後の消費者志向経営の進化・発展のための方向性について検討しました。
また、消費者志向経営のより一層の推進に向けて、優良事例を発信していくため、2018年度から「消費者志向経営優良事例表彰」を行っています。2021年度には、内閣府特命担当大臣表彰として1件、消費者庁長官表彰として6件、選考委員長表彰として1件を表彰しました。
さらに、2021年7月には、消費者志向経営の理解を深め、輪を広げる場として、消費者志向経営に関する連絡会を発足し、以降月例で開催しています。
(3)「ホワイト物流」推進運動の展開
トラック運転者不足に対応し、トラック輸送の生産性の向上・物流の効率化や、女性や高年齢層を含む多様な人材が活躍できる働きやすい労働環境の実現に取り組む、「ホワイト物流」推進運動を、関係省庁等と連携して推進しています。その一環として、消費者に対し、再配達の削減や引越時期の分散化を呼び掛けています。2021年度には、荷主事業者等を対象としたオンラインセミナーを開催し、トラック運送業の取引環境適正化に向けた取組の紹介等を行いました。
- (注54)事業者が消費者志向経営を行うことを宣言・公表し、宣言内容に基づいて取組を実施し、その結果をフォローアップして、公表する活動。推進組織では、各企業の自主宣言や取組を推進組織のウェブページ(消費者庁ウェブサイト内)へ掲載し、消費者・社会へ広く発信している。
担当:参事官(調査研究・国際担当)