第2部 第2章 第2節 4.事業活動におけるコンプライアンス向上に向けての自主的な取組の推進
第2部 消費者政策の実施の状況
第2章 消費者政策の実施の状況の詳細
第2節 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進
4.事業活動におけるコンプライアンス向上に向けての自主的な取組の推進
(1)公益通報者保護制度を活用したコンプライアンス確保の推進
消費者が安全で豊かな消費生活を安心して営むことができる社会を実現していく上で、事業者の不祥事を防止するという観点は重要です。事業者内部の労働者からの通報を正当な行為として、解雇等の不利益な取扱いが行われないよう、労働者を保護する必要があります。
こうしたことから、公益通報者保護法が2004年に成立し、2006年から施行されています。同法では、労働者がどこへどのような内容の通報を行えば保護されるのかという保護の要件や、公益通報に関して事業者・行政機関が講ずるべき措置等が定められています。同法については、2022年6月から改正法が施行されました。改正法では、事業者に対する内部公益通報対応体制整備の義務付け、公益通報対応業務従事者等に対する守秘義務及び同義務違反に対する罰則の新設、行政機関への公益通報に関する保護要件の緩和、保護対象となる通報者や通報対象事実の範囲の拡大等が行われました。
消費者庁は、改正法の施行に先立ち、2021年8月に、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和3年内閣府告示第118号)を公表しました。本指針では、内部公益通報対応体制整備義務に関して、事業者がとるべき措置の大要を示しています。また、同年10月に、「公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説」を公表しました。本解説では、各事業者が指針に沿った具体的な体制整備を行えるよう、参考となる考え方や想定される具体的な取組事項等を示しています。
併せて、民間事業者や行政機関等に向けて説明会を開催したほか、公益通報者保護制度について分かりやすく解説した動画を、ウェブサイト上で公開しました。また、インターネットを用いた広報を行うなどの周知啓発活動に引き続き取り組みました。
加えて、新未来創造戦略本部では、地方公共団体と連携して公益通報者保護制度に基づく体制整備を促進するため、各地方公共団体が有する体制整備のノウハウ等を収集、展開するなど先進的な取組を行いました。その結果、徳島県内市町村、愛媛県及び香川県内市町において内部職員等からの通報窓口及び外部の労働者等からの通報窓口の整備率が100%となったほか、高知県等の市町村における通報窓口の設置率も大幅に向上しました。
(2)景品表示法の普及啓発
消費者庁では、景品表示法の普及・啓発及び同法違反行為の未然防止等のために消費者団体、地方公共団体、事業者団体や広告関係の団体が主催する景品表示法に関する講習会、研修会等に講師を派遣しています。2021年度は景品表示法に関する説明会等に98回講師派遣を行い、受講者数は計約9,220人でした。
加えて、消費者による適切な商品選択に資するため、消費者向けにプラントベース食品を購入・選択する上での注意事項及び事業者向けにプラントベース食品等のQ&Aを公表し、景品表示法上の考え方を公表しました。
そのほか、景品表示法の概要等を取りまとめたパンフレット「事例でわかる 景品表示法」を、消費者団体、地方公共団体、事業者団体等に対し、2021年度は約3,600部配布しました。
(3)公正競争規約の積極的な活用、円滑な運用のための支援
不当な表示や過大な景品類を効果的に規制するため、業界自らが自主的かつ積極的に守るべきルールとして定めた「公正競争規約」が積極的に活用され、適切な運用が行われるように公正取引協議会等を支援することは、景品表示法違反行為の未然防止等の観点からも必要不可欠です。
公正取引委員会及び消費者庁では、公正競争規約の新設及び所要の変更について公正取引協議会等から相談を受け認定を行うとともに、規約の適正な運用等について必要な助言等を行うこと等により、公正競争規約の積極的な活用や適切な運用を促進しています。
2021年度は、公正競争規約の9件の変更について認定を行いました。また、公正取引協議会等関連団体が主催する研修会等へ15回講師を派遣し、公正取引協議会等の会員等が約3,840名参加しています。
担当:参事官(調査研究・国際担当)