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第2部 第2章 第2節 2.環境の保全に資する消費者と事業者との連携・協働

第2部 消費者政策の実施の状況

第2章 消費者政策の実施の状況の詳細

第2節 消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革の促進

2.環境の保全に資する消費者と事業者との連携・協働

(1)脱炭素社会づくりに向けたライフスタイルの変革

 家庭・業務部門における地球温暖化対策を推進するため、2015年7月に“COOL CHOICE”が開始されました。COOL CHOICE(賢い選択)は、CO2等の温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する製品への買換え、サービスの利用、ライフスタイルの選択等の賢い選択を促す取組です。さらに、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロとする、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて、産学官民と連携した取組をより一層推進していきます。

 2020年度から2021年度には、在宅時間の増加を踏まえ、家庭の省エネ対策として、インパクトの大きいエコ住宅・断熱リフォームと省エネ家電への買換えを促進する「みんなでおうち快適化チャレンジ」キャンペーンを関係省庁や関係業界等と連携して実施しました。

(2)海洋プラスチックごみ削減に向けた国民運動(「プラスチック・スマート」)の推進

 環境省では、世界的な海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、個人・地方公共団体・NGO・企業・研究機関等幅広い主体が連携協働して“プラスチックとの賢い付き合い方”を進めることを後押しするため、2018年10月に「プラスチック・スマート」を立ち上げました。そうした幅広い主体から、海洋プラスチックごみ問題の解決に貢献する約2,806件の取組が登録されています(2022年3月時点)。

(3)循環型社会形成に向けた情報提供事業・普及啓発事業の実施等

 環境省では、インターネットをよく利用する若い世代を中心に、ごみの減量・資源の有効活用について恒常的に周知徹底を図るため、ウェブサイト「Re-Style(注50)」を運営し、循環型社会に向けた多様な活動等の情報を定期的に更新しています。

 このほか、経済産業省及び関連6省(注51)では3Rに貢献している個人、グループ、学校及び特に貢献の認められる事業所等を表彰する「リデュース・リユース・リサイクル推進功労者等表彰」(主催:リデュース・リユース・リサイクル推進協議会)を後援し、優れた3Rの取組の普及を支援しています。

 経済産業省では、2021年10月の3R推進月間において、ポスター展示や関係機関の実施するイベント等のPRを行うとともに、「資源循環技術・システム表彰」(主催:一般社団法人産業環境管理協会)に対する後援を通じ、新たな資源循環ビジネスの創出を支援しました。

(4)生物多様性(注52)の保全と持続可能な利用の促進

 環境省では、SDGsの普及やESG金融の拡大、ポスト2020生物多様性枠組等の動向を踏まえ、個々の事業者によるサプライチェーン等も考慮した自主的な取組の促進を図るとともに、事業者間及び市民を含む多様な主体間の連携・協働を促進しています。

 2021年度には、日本経済団体連合会と共同で「生物多様性ビジネス貢献プロジェクト」を推進し、ポスト2020生物多様性枠組に貢献する民間事業者の技術、製品、サービスの紹介を行いました。また、生物多様性民間参画ガイドライン(第3版)の策定に向けて、有識者を交えた検討会を実施し、素案を作成しました。

 また、産官学民の連携・協力によって、企業や国民の生物多様性に配慮した具体の行動変容を促す取組等を促進するため、「2030生物多様性枠組実現日本会議」を設立しました。「MY行動宣言(注53)」の普及を通じて、消費者の生物多様性に配慮した商品の選択の促進を図っています。

(5)有機農産物を始めとする環境に配慮した食品への理解と関心の増進

 有機農業は、農業の自然循環機能を大きく増進し、かつ農業生産活動に由来する環境への負荷を大幅に低減し、生物多様性の保全等に資するものです。

 農林水産省では、国産の有機食品に対する消費者の需要を喚起するため、2020年9月に小売及び飲食事業者と連携する「国産有機サポーターズ」を立ち上げ、取組事例集の作成やワークショップの開催等の取組を支援するとともに、2021年12月に開催したセミナーにおいて、参加事業者の取組等を発信するセミナーを開催するなど事業者と連携した情報発信を行いました。

 また、有機農業と地域振興を考える自治体ネットワークの活動として、学校給食での有機食品の利用等、有機農業を地域で支える取組事例の共有等を行うため、2021年12月に愛知県東郷町の事例等を共有するセミナーを開催しました。

 このほか、未来につながる持続可能な農業推進コンクールを実施し、受賞事例についてウェブサイト等を通じ広報するなど、引き続き有機農業を始めとする環境保全型農業に対する国民の理解を深める取組を行いました。

 さらに、有機食品の生産量の増加につながるよう、有機JASに取り組む事業者の負担を軽減するための運用改善を実施しました。

(6)各種リサイクル法等の普及啓発

 環境省では、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」の機運を活用した「アフターメダルプロジェクト」による小型家電リサイクル制度の啓発や、違法な不用品回収業者対策としてポスター、パンフレット等の作成を実施しました。2021年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、対面を極力避け、普及啓発のための動画制作、教育機関へのリーフレットの配布、メールを活用した消費者向けの情報も含めリサイクルに関する情報を地方公共団体に発信しました。

 経済産業省では、3R政策に関するウェブサイトにおいて、3Rに関する法制度やその動向をまとめた冊子「資源循環ハンドブック2021」を掲載したほか、取組事例や関係法令の紹介、各種調査報告書の提供等を行いました。


  • (注50)https://www.re-style.env.go.jp/
  • (注51)関連6省とは、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省及び環境省のこと。
  • (注52)生物多様性基本法(平成20年法律第58号)において「生物の多様性」とは、様々な生態系が存在すること並びに生物の種間及び種内に様々な差異が存在することとされている。
  • (注53)「MY行動宣言」とは、国民一人一人が生物多様性との関わりを自分の生活の中で捉えることができるよう、五つのアクション(たべよう、ふれよう、つたえよう、まもろう、えらぼう)の中から自らの行動を選択して宣言する、生物多様性の普及・啓発に関する取組のこと。

担当:参事官(調査研究・国際担当)