第1部 第2章 第3節 (4)第3節のまとめ
第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動
第2章 【特集】変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組~18歳から大人の新しい時代へ~
第3節 持続可能な社会の実現に向けた若者の取組
(4)第3節のまとめ
本節では、若者のSDGsやエシカル消費に対する意識や取組状況についてみてきました。「消費者意識基本調査」の結果から、SDGsやエシカル消費に対して「興味がある」と回答した人の割合は、若者と全体の両方とも約5割という結果でした。興味を持ったきっかけを聞いたところ、「学校での教育」と回答した人の割合が、10歳代後半では約8割と特に高くなっていました。また、実際に取組を行っている若者からも、学校教育がきっかけになったという意見が聞かれました。
そのため、若者のSDGsやエシカル消費に対する関心を高めるために、ESDの考え方に基づいた学校教育を継続することが重要と考えられます。
さらに、第1部第2章第1節でみたように、若者の「環境問題や社会課題の解決」への貢献意欲は他の年齢層と同程度でしたが、「困っている人・助けが必要な人」への貢献意欲が高くなっています。これらのことから、若者は、SDGsや社会課題といった自分事と感じにくい大きな課題よりも、「困っている人・助けが必要な人」といった身近に感じられる課題の方が、関心を持ちやすいのではないかと考えられます。
そこで、若者がSDGsやエシカル消費等を身近に感じられるよう、まず環境問題や貧困問題等で実際に困っている人や助けを必要としている人に関する情報を、SNS等の若者にとって身近な形式で発信することが考えられます。その上で、社会課題への解決に向けた取組を実際に体験してもらうため、地域のボランティア活動や、国際交流の機会について広く周知するとともに参加を後押しすることが重要と考えられます。これにより、若者のSDGsやエシカル消費等に対する理解促進と自分事化が促されることが期待されます。
一方で、「消費者基本意識調査」の結果から、SDGsやエシカル消費に興味はあるが、具体的な参加方法が分からないと感じている若者たちが少なくないことがうかがえました。
そのため、若者の参画を促すためには、SDGsやエシカル消費につながる具体的な行動例について情報発信するとともに、認証ラベルの周知啓発等、エシカル消費への参加方法を分かりやすく示すことが重要と考えられます。また、商品の環境等に与える負荷が見えるようになることで、商品選択の「成果の見える化」が進み、若者の取組が更に促進されることが期待されます。
また、社会課題の解決に既に取り組んでいる若者への取材結果から、企業や自治体との協働、同世代や起業家同士のネットワーク等が、若者の取組の助けになっていたことが分かりました。
官民共創による若者参加型の組織等、若者を含めた消費者が行政や事業者と協働できる体制が構築されることで、若者だけでなく社会全体の取組が促進されることが期待できます。
担当:参事官(調査研究・国際担当)