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第1部 第2章 第2節 (2)若者の消費者トラブル

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組~18歳から大人の新しい時代へ~

第2節 若者の消費行動と消費者トラブル

(2)若者の消費者トラブル

■若者の消費者トラブルへの不安の状況

約7割の若者が消費者トラブルに対して不安を感じている

 「消費者意識基本調査」で、「消費者トラブルに遭うおそれについて不安を感じているか」を聞いたところ、「不安を感じる」(「非常に不安を感じる」又は「不安を感じる」又は「少し不安を感じる」の計)と回答した人の割合は、10歳代後半で66.3%、20歳代で70.5%でした。これは、全体の66.1%と同程度でした(図表Ⅰ-2-2-17)。

消費者トラブルへの不安を感じる主な理由は「知識や経験の不足」

 さらに、「不安を感じる」と回答した人に、その理由を聞いたところ、知識や経験に関する項目(「法律や契約に関する知識が乏しいため」、「ビジネスやお金の稼ぎ方に関する知識が乏しいため」、「高額契約や複雑な契約をした経験が少ないため」、「悪質業者の手口や対処方法が分からないため」)に「当てはまる」と回答した人の割合は、10歳代後半と20歳代の4割以上でした(図表Ⅰ-2-2-18)。この結果から、少なくない若者が「知識や経験の不足」から、消費者トラブルに遭う不安を感じている状況がうかがえます。

ほとんどの若者が「相手との関係性を意識してしまうこと」について、消費者トラブルへの不安を感じていない

 また、相手との関係性を意識してしまうことに関する項目(「脅されたり強く迫られたりすると断りにくいため」、「優しくされたり親切にされたりすると勧誘を断りにくいため」、「友人や知人に勧誘されたら断りにくいため」)に「当てはまる」と回答した人の割合は、10歳代後半と20歳代の約2割にとどまりました(図表Ⅰ-2-2-18)。

 この結果から、ほとんどの若者は「相手との関係性を意識してしまうこと」が原因で消費者トラブルに遭うとは考えていない状況がうかがえます。しかし、実際の消費生活相談では、若者が勧誘相手との関係性を意識してしまい、勧誘を断り切れないケースが発生しています。

若者の約6割は「情報があふれていて、正しい情報を判断しにくい」と感じている

 さらに、「情報があふれていて、正しい情報を判断しにくいため」と回答した人の割合は10歳代後半と20歳代の約6割でした(図表Ⅰ-2-2-18)。

友人を作ることが難しくなり、悩んだときの相談相手が不足している可能性

 第1部第2章第1節でみてきたとおり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、地域との付き合いが希薄になったり、友人を作ることが難しくなったりしていることから、悩んだときの相談相手が不足している可能性があります。

消費者トラブルに巻き込まれた場合に備えて、消費生活センター等の相談先を把握しておくことが大切

 消費者トラブルを未然に防止するためには、法律や契約、悪質商法の手口や対処方法といった知識を身に付け、不審な勧誘を察知して断ることや、第三者や消費生活センターへ相談し、冷静な判断を行うことが大切です。

 また、消費者トラブルに巻き込まれた場合や困ったことが起きた場合に備えて、身近な消費生活センターや消費生活相談窓口等の相談先を把握しておくことが大切です。

 しかし、「消費者意識基本調査」で、「困っていることや心配事がある場合の相談先」を聞いたところ、「行政の窓口や公的な相談員等」を相談先とは考えていない若者の割合は、10歳代後半で59.2%、20歳代で41.4%となっており、全体の24.6%よりも高くなっています(図表Ⅰ-2-2-19)。

 若者自身はもちろんのこと、周囲の人も、消費者トラブルに遭いやすい若者の性質を知り、消費者トラブルに関する知識を身に付けたり、トラブルになった際の相談先について話し合ったりするなど、消費者トラブルの防止に向けて取り組んでいくことが大切です。

担当:参事官(調査研究・国際担当)