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第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組~18歳から大人の新しい時代へ~

第2節 若者の消費行動と消費者トラブル

(1)若者の消費行動

■若者の消費行動の特徴

 ここでは、「消費者意識基本調査」の結果を基に、若者の消費行動の特徴について分析します。

若者は「食べること」等にお金をかけつつ、「参加型のイベント」、「有名人やキャラクター等を応援する活動」にお金をかけている

 「消費者意識基本調査」で、「現在意識的にお金をかけているもの」を聞いたところ、「食べること」と回答した人の割合は、10歳代後半が48.3%、20歳代が50.0%であり、全体の48.6%と同様に、若者が最もお金をかけていることでした。

 また、若者は、「理美容・身だしなみ」、「交際(他人との飲食を含む。)」、「ファッション」、「通信(電話・インターネット等)」、「スポーツ観戦・映画・舞台鑑賞等」、「参加型のイベント(音楽/グルメフェス、コンサート、ファンイベント等)」、「有名人やキャラクター等を応援する活動(グッズ購入等)」にお金をかけている人の割合が、全体よりも高くなっています。

 特に、「参加型のイベント(音楽/グルメフェス、コンサート、ファンイベント等)」と回答した人の割合は、全体の6.6%に対して10歳代後半が16.3%、20歳代が16.5%、「有名人やキャラクター等を応援する活動(グッズ購入等)」は、全体の6.6%に対して10歳代後半が32.9%、20歳代が22.2%であり、若者に特徴的な消費形態であるといえます(図表Ⅰ-2-2-5)。

若者は商品やサービスの購入時に、「SNSでの口コミ・評価」、「知人・友人」、「公式サイト」の情報を重視している

 「消費者意識基本調査」で、「商品やサービスの購入を検討する際、どこから情報を得ているか」を聞いた上で、「情報を得ているもののうち、重視しているもの」を聞いたところ、「SNSでの口コミ・評価」と回答した人の割合は、10歳代後半と20歳代の両方が約5割と最も高く、次いで「友人・知人(インターネット上でしか知らない人を除く。)」と「公式サイト」が約3割でした(図表Ⅰ-2-2-6)。

 また、「情報を得ているもののうち、重視しているもの」について、若者と他の年齢層を比較したところ、「SNSでの口コミ・評価」、「友人・知人(インターネット上でしか知らない人を除く。)」と回答した人の割合は、若者が他の年齢層よりも高くなっています。一方、「店頭・店員」、「新聞・雑誌等の記事・広告」と回答した人の割合は、若者が他の年齢層よりも低くなっています。また、「テレビ・ラジオの番組・広告」については20歳代が低くなっているほか、「公式サイト」については若者と30歳代、40歳代及び50歳代は同程度でした(図表Ⅰ-2-2-7)。

若者は、商品やサービスを購入する際、「品質・性能の良さ」、「価格の安さ」や「見た目・デザイン」等を重視している

 「消費者意識基本調査」で、「商品やサービスを購入する際、何をどの程度重視しているか」を聞いたところ、「品質・性能の良さ」について、「重視している」(「とても重視している」又は「ある程度重視している」の計)と回答した人の割合は、10歳代後半で94.2%、20歳代で98.1%であり、若者において最も高くなっています。「価格の安さ」については、10歳代後半で92.5%、20歳代で92.1%、「見た目・デザイン」については、10歳代後半で83.8%、20歳代で83.5%であり、以上の3項目が、若者が商品やサービスを購入する際の重視度が上位の項目でした。一方、「環境問題・社会課題の解決への貢献」については、10歳代後半で21.3%、20歳代で14.9%であり、重視度が高くないことが分かりました(図表Ⅰ-2-2-8図表Ⅰ-2-2-9)。

他の年齢層と比較すると、若者は「価格の安さ」と「見た目・デザイン」を重視する一方、「環境問題・社会課題の解決への貢献」の重視度は一部を除くと高くない

 前記の4項目について、若者と他の年齢層を比較すると、「品質・性能の良さ」について「重視している」(「とても重視している」又は「ある程度重視している」の計)と回答した人の割合は、若者と他の年齢層で同程度でした。「価格の安さ」と「見た目・デザイン」について「重視している」と回答した人の割合は、若者が他の年齢層よりも高くなっています。

 一方、「環境問題・社会課題の解決への貢献」について「重視している」と回答した人の割合は、若者が他の年齢層よりも低くなっているものの、「とても重視している」と回答した人の割合は、10歳代後半で7.1%であり、他の年齢層と比較して2番目に高くなっています(図表Ⅰ-2-2-10)。

 近年、幼稚園、小学校、中学校、高等学校等の様々な教育現場においてSDGsが積極的に取り上げられる機会やメディアでの報道が増えたことで、若者の一部が環境問題や社会課題の解決への貢献に関心を持ちつつあると考えられます(第1部第2章第1節「SDGsと持続可能な開発のための教育 ESD」参照。)。

担当:参事官(調査研究・国際担当)