第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動
第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動
第2章 【特集】変わる若者の消費と持続可能な社会に向けた取組~18歳から大人の新しい時代へ~
第2節 若者の消費行動と消費者トラブル
(1)若者の消費行動
■若者の消費支出の状況
ここでは、総務省の「家計調査」及び「全国家計構造調査」を基に、若者の消費支出の状況を分析します。
勤労者世帯のうち、世帯主が34歳以下の世帯は、全体平均と比較して平均消費性向が低い一方で、平均貯蓄率が高い
まず、可処分所得に占める消費支出の割合である「平均消費性向」の推移を、世帯主の年齢層別にみていきます。総務省の「家計調査」(二人以上の世帯のうち勤労者世帯(注29))によると、勤労者世帯のうち世帯主が34歳以下の世帯の平均消費性向は、2015年以降、減少傾向にあります。いずれの年も、全体平均と比較して、世帯主が34歳以下の世帯の平均消費性向が低いことが分かります(図表Ⅰ-2-2-1)。
また、同調査で年齢層別の平均貯蓄率(注30)をみると、2015年以降、世帯主が34歳以下の世帯は平均貯蓄率が増加傾向にあります。いずれの年も、全体平均と比較して、世帯主が34歳以下の世帯の平均貯蓄率は高くなっています(図表Ⅰ-2-2-2)。
世帯主が30歳未満の総世帯では消費支出額が減少し、費目別では交通・通信費や教養娯楽費等が減少している
次に、総務省の「全国家計構造調査」で、世帯主が30歳未満の総世帯(注31)における消費支出を、全体平均と比較し、変化をみていきます。まず、10月及び11月の1か月当たりの消費支出の2014年から2019年までの変化をみると、世帯主が30歳未満の総世帯と、全体平均との両方の世帯で減少しています(図表Ⅰ-2-2-3)。
さらに、若者の費目別の消費支出をみると、世帯主が30歳未満の総世帯は、2014年、2019年の両方で、全支出に占める住居費の割合が20%以上となっています。全体平均では同項目が9%前後であることと比較すると、若者の消費に占める住居費の割合が高いことが分かります。
2014年から2019年までの変化をみると、世帯主が30歳未満の総世帯では、交通・通信費や教養娯楽費等が減少しています。特に交通・通信費は4.3%ポイント減少しており、全体平均が0.7%ポイント減少していることと比較して、減少幅が大きくなっています(図表Ⅰ-2-2-4)。
図表Ⅰ-2-2-1 平均消費性向の推移(勤労者世帯における全体平均と世帯主が34歳以下の世帯)[CSV]
図表Ⅰ-2-2-2 平均貯蓄率の推移(勤労者世帯における全体平均と世帯主が34歳以下の世帯)[CSV]
担当:参事官(調査研究・国際担当)