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第1部 第1章 第4節 (2)インターネット通販に関する相談

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第1章 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果等

第4節 最近注目される消費者問題

(2)インターネット通販に関する相談

インターネット通販で「商品未着・連絡不能等のトラブル」が引き続き発生

 インターネット通販に関する消費生活相談は、ショッピングサイト等で商品を購入する「商品」に関する相談と、コンテンツ配信等のサービスを契約する「サービス」に関する相談に分けられますが、2020年と2021年は、「商品」に関する相談が約3分の2を占めています(図表Ⅰ-1-4-3)。

 「商品」のインターネット通販の相談内容をみると、注文した商品が届かない「商品未着」、注文した商品とは異なる商品を業者が送付する「注文品違い」、業者と連絡が取れなくなる「連絡不能」といったトラブル(以下「商品未着・連絡不能等のトラブル」という。)がみられます。2021年は、2020年と比較して減少したものの、依然として多くの相談がみられています(図表Ⅰ-1-4-4)。

 2020年に商品未着・連絡不能等のトラブルが急増した背景には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、「新しい生活様式」の実践が求められ、「商品」をインターネット通販で購入する機会が増加したことや、定期購入を解約したくても事業者と連絡不能になるトラブルがみられたこと、実在の通販サイトをかたる偽サイトによる被害が出たこと等が原因として考えられます。

 2021年は、健康食品の定期購入トラブルが減少した影響で、「食料品」の商品未着・連絡不能等のトラブルが大きく減少しました。しかし、依然として、「保健衛生品」(化粧品やシャンプーの定期購入や、マスクの商品未着が含まれる。)や、「被服品」(財布や靴、洋服、かばん等が含まれる。)、「教養娯楽品」(電子ゲームや腕時計、スマートフォンやDVD等が含まれる。)、「住居品」(掃除機等の家電製品やソファー等の家具が含まれる。)で、商品未着・連絡不能等のトラブルが発生しています。

「定期購入」に関する相談は大きく減少

 通信販売における「定期購入」に関する消費生活相談件数は、2020年まで増加傾向が続いていましたが、2021年は46,734件と、減少に転じました。商品別にみると、「健康食品」の相談が大きく減少している一方で、「化粧品」の相談は増加しています(図表Ⅰ-1-4-5)。

 2021年の「定期購入」に関する相談を性別・年齢層別にみると、全年齢層で女性からの相談が多く、特に40歳代から70歳以上の女性からの相談が多くなっています(図表Ⅰ-1-4-6)。

 具体的な相談内容には、「動画サイトの広告から初回500円の除毛クリームを買ったら、5回購入が条件の定期購入だった。2回目以降を解約したい」等、消費者が定期購入であることを認識しないまま商品を注文しているケースがみられます。

 また、「回数縛りなしという化粧水の定期購入の広告を見て、初回分を買ったら解約するつもりで注文したが、記載のなかった解約条件を盾に解約に応じてもらえない」、「次回発送までの解約期間内であれば解約できる健康食品を定期購入したが、期間内に解約したいのに電話がつながらない」等、解約条件をめぐるトラブルや、解約したくても事業者と連絡が取れないというトラブルが発生しています。

20歳未満で「インターネットゲーム」の消費生活相談件数が増加している

 「インターネットゲーム(オンラインゲーム)」に関する消費生活相談件数の増加傾向が続いています。特に20歳未満の相談件数が増加しており、2021年は4,443件と契約当事者全体(7,276件)の過半数を占めています(図表Ⅰ-1-4-7)。

 相談内容をみると、「中学生の子供がスマートフォンに私のクレジットカードを勝手に登録してゲームで多額の課金をした」、「小学生の子供に使用していないタブレット端末を与えていたが、クレジットカード情報が残っていたことを忘れており、子供がゲームで勝手に高額な課金をしていた」等、青少年がゲームで高額課金をしてしまうケースが多くみられました。

 このように、保護者のクレジットカード情報や、携帯電話のキャリア決済を無断で利用してしまうケースや、保護者のクレジットカード情報が端末やアカウント等にひも付けられている状態で、子供がゲームをするうちにアイテム購入等の課金を繰り返してしまい、金額が膨れ上がるケースがみられ、契約購入金額が高額化しています。

 2021年の20歳未満の契約購入金額は、10万円以上50万円未満の割合が最も高くなっています(図表Ⅰ-1-4-8)。また、各年齢層の平均契約購入金額は、10歳未満で17.2万円、10歳から17歳までで34.9万円、18歳から19歳までで41.6万円と、年齢層が上がるほど高額になっています。

担当:参事官(調査研究・国際担当)