第2部 第2章 第1節 2.取引及び表示の適正化並びに消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保
第2部 消費者政策の実施の状況
第1章 消費者庁における主な消費者政策
第1節 消費者被害の防止
2. 取引及び表示の適正化並びに消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保
(1)商品やサービスに関する横断的な法令の厳正な執行、見直し
ア 特定商取引法等の執行強化等
消費者が商品を購入する際、通常は、店舗に出掛けて行って商品を見比べ、自分の必要とする品質・性能を持つかどうかや価格等を十分考慮します。一方、事業者からの電話で勧誘を受ける場合や、事業者が自宅に突然訪れて勧誘を受ける場合もあります。このような場合、消費者にとってみれば、いわば「不意打ち」のような形となり、商品について冷静かつ十分に吟味する時間もなく、適切な判断ができないおそれがあります。
そこで、特定商取引法では、事業者と消費者との間でトラブルを生じやすい取引類型(①訪問販売、②通信販売、③電話勧誘販売、④連鎖販売取引、⑤特定継続的役務提供、⑥業務提供誘引販売取引、⑦訪問購入)について、購入者等(消費者)の利益を保護し、商品の流通や役務の提供を適正で円滑なものとするため、事業者が守るべきルール(行為規制)と、クーリング・オフ等の消費者を守る民事ルールを定めています。事業者に同法の規制に違反する行為が確認され、消費者の利益が著しく害されるおそれがあるときには、業務停止命令等の行政処分が行われています。
消費者庁では、特定商取引法について、権限委任を行い、かつ指揮監督下にある経済産業局と密な連携の下、執行を一元的に実施しており、2020年度は業務停止命令等を33件、指示を33件、業務禁止命令を23件実施しました。
また、消費者のぜい弱性を狙った悪質商法への対策強化、経済のデジタル化・国際化に対応したルール整備について、2020年2月から同年8月まで、「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」を開催し、報告書を取りまとめました。報告書等を踏まえ「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」を第204回通常国会に提出しました。
イ 特定商取引法の適用除外とされている消費者保護関連法の必要な執行体制強化及び制度改正
特定商取引法の適用除外とされている分野は、それぞれの分野に関する法律によって消費者の利益を保護することができると認められるために適用除外とされているという趣旨に鑑み、当該法律の執行状況を踏まえ、それぞれの分野における消費者取引の適正化を図る観点から、必要に応じて制度改正等を検討・実施することとしています。
消費者庁では、2018年9月に、消費者庁ウェブサイト内に、特定商取引法適用除外法令の運用状況が公表されているウェブサイトへのアクセス先を網羅的にまとめたページを新設し、必要に応じて内容を更新していくこととしています。また、関係省庁の協力を得て特定商取引法の適用除外とされている法律等の消費者保護関連法の執行状況を取りまとめ、消費者基本計画工程表の別表として2020年7月に公表しました。
ウ 消費者契約法の見直しに向けた対応
民法は、私人間の対等な当事者関係を前提として、取引に関するルールを定めていますが、そもそも消費者と事業者の間には情報量や交渉力に格差があることから、その格差を前提とした上で消費者の利益の擁護を図るためのルールを定めた消費者契約法が、2001年4月に施行されました。
消費者契約法は、あらゆる取引分野の消費者契約(消費者と事業者の間で締結される契約(労働契約を除く。))に幅広く適用され、不当な勧誘行為があればその契約を取り消すことができるとするとともに、不当な契約条項については無効とすること等を定めています。
2001年の施行以降、依然として、高齢者のみならず、若年者を含めた幅広い世代において消費者被害は生じています。また、消費者契約についての裁判例や消費生活相談事例が蓄積しており、その傾向等も踏まえた、適切な対応が求められました。こうした状況を踏まえ、社会生活上の経験不足や加齢等による判断力の低下を利用する行為を取消権の対象となる不当な勧誘行為として追加すること等を内容とする消費者契約法の一部を改正する法律(平成30年法律第54号)が、2018年6月に成立し、2019年6月に施行されました。
また、同法の審議に当たり衆参両院の委員会で付された附帯決議の趣旨を踏まえ、2019年2月から「消費者契約法改正に向けた専門技術的側面の研究会」において、法制的・法技術的な観点から民法、商法、民事手続法及び経済学の研究者による検討が行われ、同年9月に研究会報告書が取りまとめられました。同報告書については、同年10月上旬まで意見募集を実施し、同年12月に結果を公表しました。
さらに、同報告書を踏まえつつ、2019年12月から「消費者契約に関する検討会」において、実効性の確保や実務への影響の観点から、消費者・事業者の関係者を含めて検討が行われています。また、消費者委員会からの指摘等を踏まえ、新型コロナウイルスを題材として不測の事態における消費者契約のキャンセルについて、事業者及び消費者に対する実態調査並びに専門家のヒアリングを行い、上記検討会において意見交換を行いました。
エ 消費者の財産被害に対する消費者安全法の厳正な執行等
消費者庁では、消費者の財産被害の発生又は拡大の防止のため、消費者安全法第12条第2項の規定に基づく通知が的確に実施されるよう、関係機関等の消費者行政担当職員に対し、「消費者事故等の通知の運用マニュアル」の周知徹底を行っており、2020年度における同通知件数は8,979件となっています。
また、消費者安全法第38条第1項の規定に基づき、消費者に対し、2020年度には34件の注意喚起を実施したほか、関係機関等において消費者被害の発生又は拡大の防止のための措置が適切に講じられるよう、消費者安全法第38条第2項の規定に基づき、これに資する情報を関係機関の長等に提供しています。
オ 高齢者、障害者等の権利擁護の推進
厚生労働省では、高齢者、障害者等の権利擁護の推進を図るため、介護保険サービスの利用援助や日常生活上の金銭管理等、成年後見制度の利用に至る前の支援からその利用に至るまでの支援を切れ目なく一体的に確保する「権利擁護人材育成事業」、市町村による成年後見制度の申立て等の助成を行う「成年後見制度利用支援事業」、各都道府県が行う介護施設・サービス事業所及び市町村への支援、並びに地域住民への普及啓発等の高齢者虐待防止等に関する取組を国が支援することにより、市町村等の高齢者虐待防止等の体制整備を進める「高齢者権利擁護等推進事業」の実施を進めています。
また、各都道府県において、介護支援専門員については成年後見制度や高齢者の権利擁護等の内容を含む介護支援専門員専門研修等を実施するとともに、介護職員については尊厳の保持等の内容を含む介護職員初任者研修等を実施しています。
法務省では、日本司法支援センターにおいて、認知機能が十分でなく、法的サービスを自発的に求めることが期待できない高齢者・障害者等を対象として、福祉機関等からの申入れに基づき、弁護士・司法書士が出張して資力の有無にかかわらず法律相談を行うアウトリーチ型の「特定援助対象者法律相談援助」を実施しています。2020年度の特定援助対象者法律相談援助の実績(速報値)は、733件でした。
消費者庁では、消費生活センター等において、認知症、障害等の理由で判断能力が不十分な方々に関する消費生活相談があった場合、状況に応じて福祉担当部局等と連携しつつ、成年後見制度の活用を図るよう、2016年度及び2017年度に開催された消費者行政ブロック会議(全6ブロック)において、改めて都道府県等に要請しました。また、2018年度以降、前回の要請から時間が経過したことを踏まえ、毎年度消費者行政ブロック会議において、都道府県等に成年後見制度の活用を図るよう要請しました。
(2)商品やサービスに応じた取引の適正化
ア 電気通信サービスに係る消費者保護の推進
高度情報通信社会の進展により、インターネットを活用した取引が増加して利便性が向上する一方、それに関連する様々な消費者問題も数多く発生しています。
2015年5月に説明義務の充実、書面交付義務、初期契約解除制度、勧誘継続行為・不実告知等の禁止、媒介等業務受託者(代理店)に対する指導等の規定を盛り込んだ電気通信事業法等の一部を改正する法律(平成27年法律第26号)が成立し、公布されました。
総務省では、改正法施行に向けて、「ICTサービス安心・安全研究会」等での検討及びパブリックコメント等の手続を経て、2016年3月に、改正後の法令の内容を解説する新しい「電気通信事業法の消費者保護ルールに関するガイドライン」を策定し、公表しました。また、同年10月から開催した「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」の取りまとめを踏まえ、利用者が利用実態等に対応した料金プランを選択できるよう、電気通信事業者等が適切な説明を行うこと等を明記するため、2017年1月に同ガイドラインを改定しました。
また、代理店については、電気通信事業法の一部を改正する法律(令和元年法律第5号)の施行に伴い、2019年10月から届出制度が導入され、2020年4月以降は、利用者に対する説明書面に届出番号を記載することが義務付けられました。
これらの説明義務の充実、書面交付義務を始めとする消費者保護ルールの実効性の確保のため、2016年5月には「電気通信事業の利用者保護規律に関する監督の基本方針」を策定し、公表しています。さらに、電気通信サービスに係る消費者保護ルールの実効性を確保するために、ICTサービス安心・安全研究会「消費者保護ルールのモニタリング定期会合」を2016年9月から開催しており、2020年6月の第9回モニタリング定期会合においては、2018年度消費者保護ルール実施状況のモニタリングにおける指摘事項に対するフォローアップや、2019年度の苦情相談の傾向分析の結果及びMNO(注48)・FTTH(注49)サービスの実地調査の結果の報告を行い、「2019年度消費者保護ルール実施状況のモニタリング(評価・総括)」を取りまとめました。
2021年2月の第10回モニタリング定期会合においては、これまでのモニタリングにおける指摘事項に対するフォローアップや、2020年度上半期の苦情相談傾向分析等の結果及びMVNO(注50)サービスの実地調査の結果の報告を行い、各電気通信サービスの要改善・検討事項を取りまとめて、事業者団体等に対応を要請しています。その際、オンラインでの契約に関する利用者アンケートの結果を踏まえて、オンラインでの契約の拡大についても指摘しています。
本評価・総括等を踏まえ、調査対象事業者に対し所要の改善指導を実施するとともに、事業者団体等に対応を要請しています。また、2020年度には、電気通信消費者支援連絡会を全国11の総合通信局等ごとに年2回(合計22回)開催し、関係者の間で情報共有・意見交換を行いました。
イ 有料放送サービスに係る消費者保護制度の適切な運用
有料放送サービスについては、関係事業者に対し、説明義務、契約関係からの離脱に関するルール、販売勧誘活動などについて、放送法(昭和25年法律第132号)及び「有料放送分野の消費者保護ルールに関するガイドライン」を遵守徹底させるなど、消費者保護を図っています。また、有料放送サービスに関する苦情・相談処理に関する関係事業者の取組状況を継続的にモニタリングしています。
ウ 金融機関による顧客本位の業務運営の推進
金融庁は、金融機関に顧客本位の業務運営を浸透・定着させることで、家計の安定的な資産形成を図り、より豊かな国民生活の実現を目指しています。具体的には、①「顧客本位の業務運営に関する原則」に基づき、金融機関に対して、顧客本位の業務運営を実現するための取組方針の策定や、その定着度合いを客観的に評価する成果指標の公表を促す、②金融機関や顧客の参考となるよう、金融機関に対するモニタリングで把握した優良事例等を公表する、といった施策を実施します。
2020年度には、①「『顧客本位の業務運営に関する原則』を採択し、取組方針・自主的なKPI・共通KPIを公表した金融事業者のリスト」を四半期ごとに取りまとめ、公表しました。2020年9月には、「安定的な資産形成に向けた金融事業者の取組み状況」を併せて公表し、金融機関の取組方針やその成果の公表における好事例を掲載することで、顧客にとってより分かりやすい情報を発信するよう金融機関に対して促しています。②2020年7月には、「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」において、金融機関に対するモニタリングにより把握した顧客本位の業務運営の現状や課題をまとめるとともに、優良事例を公表しました。
エ 詐欺的な事案に対する対応
金融庁では、無登録で金融商品取引業を行っている疑いがある者に対して、問合せ等を通じ実態把握を行い、警察当局等と情報を共有する等連携しました。また、2020年度に、無登録で金融商品取引業を行っていた者18者に対して、警告書を発出し、これらの業者等について、社名等を公表しました。
さらに、Twitterにおいて、上記公表内容のほか詐欺的な投資勧誘等に関する情報発信を行うことにより投資者への注意喚起を行いました。
加えて、証券取引等監視委員会では、2020年度には、無登録業者による金融商品取引法違反行為に関する裁判所への禁止命令等の申立てを1件実施しました。
オ 投資型クラウドファンディングを取り扱う金融商品取引業者等についての対応
金融庁では、投資型クラウドファンディングの利用促進及び投資者保護のためのルール等を盛り込んだ金融商品取引法等の一部を改正する法律(平成26年法律第44号)を、2015年5月に施行しました。法施行後においても、投資者保護の観点から、必要に応じ、監督上の対応を行い、2020年度までに投資型クラウドファンディング事業者4社に対し行政処分を行っています。
また、投資型クラウドファンディングを取り扱う金融商品取引業者における取得勧誘やファンド運営等について、関係機関からの情報や金融庁及び財務局に寄せられる相談等を参考として、リスクベースのモニタリングを行いました。なお、2020年度末時点で登録されている投資型クラウドファンディング事業者数は41社となっています。
カ 暗号資産交換業者等についての対応
金融庁では、暗号資産交換業者について、利用者保護の観点から所要の制度整備を行い、制度等の周知を含め、整備された制度を適切に運用しています。
制度の運用に当たっては、登録業者ではない事業者による詐欺的行為等の消費者被害が発生していることを踏まえ、利用者保護の観点から、引き続き、消費者庁及び警察庁とも連携しつつ、無登録業者等に対する警告等を行っています。また、暗号資産交換業者の登録に際しては、体制等形式面のみならず、システムの安全性の検証や利用者への説明態勢の整備状況等、実質的な審査を実施しています(2021年3月までに5社を登録)。
また、暗号資産が投機対象として取引されているとの指摘があること等を踏まえ、利用者保護の問題が生じていないか、立入検査を含めたモニタリングを実施し、暗号資産交換業者の内部管理態勢が適切に整備されているか検証を行っています。
2019年6月に、暗号資産の外部流出事案の発生や、暗号資産を用いた証拠金取引等の新たな取引等に対応するための「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第28号)が公布されたことを受け、2020年度には、関係政令・内閣府令や事務ガイドライン等を整備しました(2020 年4月公布、改正法と併せて同年5月施行)。
また、国民生活センターにおいても、暗号資産に関する研修を2020年度に8回実施しました。
キ 安全・安心なクレジットカード利用環境の整備
経済産業省では、安全・安心なクレジットカード利用環境を実現するため、割賦販売法の適切な運用を行っています。また、関係事業者に法令の遵守を徹底させ、クレジット取引等が適切に行われるよう、関係事業者への立入検査や、報告徴収等の執行等を行っています。
安全・安心な利用環境の整備のため、同法で規定されているセキュリティ対策について、「クレジット取引セキュリティ対策協議会」(事務局:一般社団法人日本クレジット協会)が策定する「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を実務上の指針として位置付け、着実に取組を進めています。
また、2019年12月に公表された割賦販売小委員会報告書「当面の制度化に向けた整理と今後の課題〜テクノロジー社会における割賦販売法制のあり方〜」に基づき、2020年の通常国会で割賦販売法の改正が行われました(2020年6月24日公布)。改正法では、少額の分割後払いサービスを対象とした登録制度、蓄積されたデータ等に基づく高度な限度額審査手法を認定する制度の創設、クレジットカード番号等の適切管理義務者の範囲の拡大等を措置しています(2021年4月1日から施行)。
ク 商品先物取引法の迅速かつ適正な執行
経済産業省及び農林水産省では、委託者の保護及び取引の適正化を図るため、商品先物取引法(昭和25年法律第239号)に基づく立入検査及び監督を実施しています。2020年度は、許可取消しを1件及び業務改善命令を2件実施しました。
このほか、商品先物取引法施行規則(平成17年農林水産省・経済産業省令第3号)第102条の2第2号又は第3号の規定に基づく勧誘を希望する事業者について、同規則第103条第1項第28号に規定する体制が整備されているかを確認し、体制整備が確認できた事業者を公表しており、2021年3月末日時点で9社公表しました。
ケ 住宅宿泊事業法の適正な運用
2017年6月に成立した住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)について、適切に宿泊者保護が図られるよう、政省令、ガイドライン、標準住宅宿泊仲介業約款等の周知を行い、また、これらの法令等に基づいて、必要に応じ指導・監督を行う等制度の適切な運用を行っています。さらに、今後の運用状況を踏まえて制度の見直し等必要な対応を検討・実施することとしています。2020年度には、民泊制度ポータルサイトを通じた政省令、ガイドライン、標準住宅宿泊仲介業約款等の周知や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に関する関係自治体及び住宅宿泊仲介業者団体等への事務連絡の発出を行いました。
コ 民間賃貸住宅の賃貸借における消費者保護
国土交通省では、民間賃貸住宅をめぐるトラブルの未然防止のための「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」及び「賃貸住宅標準契約書」についてウェブサイト掲載等を行い、周知を図るとともに、賃貸住宅の入退去に係る留意点についてインターネットテレビにより注意喚起を行っています。また、民間賃貸住宅のトラブルに関する研修会について、2020年11月から2021年2月にかけて、2都市(東京都及び名古屋市)において開催するとともに、ウェブ講義を実施しました。さらに、家賃債務保証業者の適正な運営を確保し、家賃債務保証の健全な発達を図ることを通じて賃貸住宅の賃借人等の利益の保護を図ることを目的とした国土交通省の告示(2017年10月25日施行)による家賃債務保証業者登録制度において、家賃債務保証業を営む者の登録に関し必要な事項を定め、要件を満たす家賃債務保証業者を国が登録・公表することにより、消費者へ情報提供を行っています。
上記記載のとおり、消費者へ情報提供を行うと同時に、一般消費者の問合せに関して、必要であれば家賃債務保証業者や業界団体に共有を図ることで、健全な家賃債務保証業の環境整備を行いました。
また、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)に基づくサブリース事業者に対する規制について(2020年12月施行)、建設・不動産などの関係業界や賃貸住宅のオーナーの方々に対し、規制内容等を具体的に明示したガイドライン等による周知を徹底し、賃貸住宅のオーナーとなろうとする者との間のトラブルの未然防止を図っています。
サ 住宅リフォーム等における消費者保護
国土交通省では、住宅リフォームや中古住宅の売買に係る各種瑕疵保険を利用する事業者の情報(事業者名・所在地・保険契約実績等)を住宅瑕疵担保責任保険協会のウェブサイトにて公開し、住宅リフォーム及び中古住宅流通に関する情報提供を行っています。また、住宅リフォーム事業の健全な発達及び消費者が安心してリフォームを行うことができる環境の整備を図るために、国土交通省の告示(2014年9月1日公布・施行)による住宅リフォーム事業者団体登録制度において、住宅リフォーム事業者団体の登録に関し必要な事項を定め、要件を満たす住宅リフォーム事業者団体を国が登録・公表することにより、団体を通じた住宅リフォーム事業者の業務の適正な運営を確保するとともに、消費者への情報提供等を行っています。
住宅リフォーム及び既存住宅売買に関するトラブルに対応するため、消費者保護の観点から、リフォーム瑕疵保険等の住宅欠陥に関する保険制度等について、2018年7月に開催した「制度施行10年経過を見据えた住宅瑕疵担保履行制度のあり方に関する検討会」において制度の改善策の検討を行い、検討結果を踏まえて制度等の充実を図っています。
さらに、住宅リフォーム事業の健全な発展及び消費者が安心してリフォームを行うことができる環境の整備を図るため、国土交通省が創設した「住宅リフォーム事業者団体登録制度」について、2020年度末時点での登録住宅リフォーム事業者団体数は16団体となりました。消費者が基礎的な品質等を有する既存住宅を円滑に選択できるようにするため、建物状況調査等の結果、耐震性があり、構造上の不具合及び雨漏りが認められず、想定されるリフォームの内容・費用等について適切な情報提供が行われる既存住宅について、国が商標登録したロゴマークを事業者が広告時に使用することを認める「安心R住宅制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)」(国土交通省告示(2017年11月公布、同年12月施行))を推進し、安心して購入できる既存住宅の普及を図っています。安心R住宅制度における、事業者団体登録数は13団体でした(2021年3月末時点)。
シ 高齢者向け住まいにおける消費者保護
高齢者向け住まいについては、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第29条第1項の規定に基づく「届出」を促進するための都道府県等の取組を推進し、規制を的確に運用しています。また、事業者に対し前払金の保全措置を徹底するよう指導するとともに、事業者の廃業等の実態把握と廃業時等の入居者の居住の確保を図るための運用を引き続き求めています。さらに、入居希望者が高齢者向け住まいの検討・選択をする際の参考となるよう情報提供の充実を図っています。
このほか、「令和2年度有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査」を実施し、2021年3月に調査結果を公表するとともに、都道府県等に対して届出促進・指導等の徹底を要請しました。
ス 身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての対応
「身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議」(2017年1月消費者委員会)を受け、身元保証等高齢者サポート事業について関係省庁と連携し実態把握を行い、その結果を踏まえ、消費生活相談情報を地方公共団体の高齢者福祉部局へ提供し、当該高齢者福祉部局の窓口や地域包括支援センターにおいて当該事業に関する相談を受けた場合における助言対応及び消費生活センターとの連携の際の参考とするほか、必要な措置を検討・実施します。また、当該事業を運営していることが判明している事業者に対し、預託金の管理等、適切に業務運営を行うよう、依頼しています。更に、消費者が安心して身元保証等高齢者サポートサービスを利用できるための情報提供を行うこととしています。
2020年度においても、身元保証等高齢者サポートサービスに関する消費生活相談件数及び事例を注視し、消費者行政ブロック会議において身元保証等高齢者サポートサービスを契約する際に確認するポイント等について情報提供を行いました。
セ 美容医療サービス等の消費者被害防止
美容医療、歯科インプラント等の自由診療について、施術の前に患者に丁寧に説明し、同意を得ることが望ましい内容等について関係者に周知徹底するとともに、指導事例の共有等により、円滑な指導のための連携を行います。
厚生労働省では、地方公共団体におけるインフォームド・コンセントに関する相談・苦情件数等の状況を調査し、2019年度における相談・苦情件数は7,583件、うち違反のおそれがあるものとして行政指導を要した件数は56件であることを把握しました。
2017年度から、医業等に係るウェブサイトの監視体制強化事業により、美容医療等に関する不適切な表示を認めた場合には、適切な修正を行うよう指導しています。
このほか、厚生労働省と消費者庁が協力・連携し、美容医療サービスを受けるに当たって注意すべき事項等について周知するため、消費者向けの注意喚起資料を作成し、2016年9月、2019年4月及び2020年11月に都道府県等に周知しました。さらに、2020年11月に美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントに関する説明用資材の改定を行い、消費者トラブルの未然防止のための周知を実施しました。また、2016年9月以降、行政のTwitter等を活用し、定期的に注意喚起・普及啓発を行っています。
また、2017年度から、美容医療サービスの提供状況の把握に資するよう、「美容医療サービス」関連としてPIO-NETに登録された消費生活相談情報を消費者庁から厚生労働省に提供し、同省から地方公共団体に提供しています。
消費者庁では、引き続き特定商取引法で規定している特定継続的役務提供の法解釈等を消費者庁ウェブサイトにおいて公表するなど、周知・啓発活動を行っています。
ソ 警備業務に関する消費者取引における情報提供の適正化及び苦情解決の円滑化
警備業は、施設警備、雑踏警備、交通誘導警備、現金輸送警備、ボディーガード等の種々の形態を有しており、ホームセキュリティ等の需要も拡大するなど、国民生活に幅広くサービスを提供しています。また、空港や原子力発電所のようなテロの標的とされやすい施設での警備も担っています。こうした警備業が果たす役割を踏まえ、警察では、警備業法(昭和47年法律第117号)第19条の規定に基づく契約内容の書面交付が確実に実施され、警備業務の依頼者の保護が図られるよう、各都道府県警察による警備業者に対する指導及び違反業者に対する行政処分による指導監督を実施しています。
また、警備業務に関する苦情の解決義務が円滑に行われるよう、都道府県公安委員会による報告徴収・立入検査の監督権限によって、苦情の適切な解決が行われているかを確認するとともに、関連団体との連携を推進しています。
2020年度においても、各都道府県警察において、各種講習会や立入検査等、様々な機会を捉えて警備業者に対する指導を実施しました。
タ 探偵業法の運用の適正化
探偵業は、個人情報に密接に関わる業務でありながら、何ら法的規制もなされず、調査の対象者の秘密を利用した恐喝事件、違法な手段による調査、料金トラブル等の問題が指摘されていました。
このような状況に鑑み、2006年6月、探偵業の業務の運営の適正を図り、もって個人の権利利益の保護に資することを目的とし、探偵業を営もうとする者の都道府県公安委員会への届出制、探偵業者の遵守事項、探偵業者に対する監督等について定めることを内容とする探偵業の業務の適正化に関する法律(平成18年法律第60号。以下「探偵業法」という。)が公布され、2007年6月に施行されました。これにより、探偵業者は、依頼者と探偵業務を行う契約を締結しようとするときは、依頼者に対し、重要事項について書面を交付して説明しなければならず、また、依頼者と探偵業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、重要事項について契約の内容を明らかにする書面を依頼者に交付しなければならないこととされ、探偵業務の依頼者の保護が図られました。
2020年度には、各都道府県警察は、探偵業法第8条の規定に基づく契約内容の書面交付が確実に実施され、探偵業務の依頼者の保護が図られるよう、各種講習会や立入検査等、様々な機会を捉えて探偵業者に対する指導を行い、さらには違反業者に対して検挙・行政処分を実施するなど、探偵業者に対する指導監督を継続的に実施しています。
チ 電気・ガスの小売供給に係る取引の適正化
2016年4月及び2017年4月の電気事業法等の一部を改正する法律(平成26年法律第72号)の施行に伴い、電気・都市ガスの小売業への参入が全面自由化され、一般家庭を含む全ての消費者が電力会社・都市ガス会社や料金メニューを自由に選択できることとなりました。
経済産業省では、電気・都市ガスの小売供給に関する取引の適正化を図るため、「電力の小売営業に関する指針」及び「ガスの小売営業に関する指針」を踏まえ、需要家への情報提供や契約の形態・内容等について、電気事業法(昭和39年法律第170号)及びガス事業法上問題となる行為を行っている事業者に対して指導等を行いました。
さらに、電力・ガス取引監視等委員会の相談窓口等に寄せられた不適切な営業活動等について、事実関係の確認や指導を行っています。
消費者庁では、電力及び都市ガスの小売全面自由化の開始に向け、2016年2月と2017年3月に特定商取引法施行令を改正し、電力及びガスの供給契約に関する特定商取引法の適用除外の範囲の見直しを行いました。
従来、電力及び都市ガスの供給契約については特定商取引法の規定に基づくクーリング・オフの適用が除外されていましたが、本改正により、消費者が訪問販売又は電話勧誘販売により小売電気事業者やガス小売事業者と電気やガスの供給契約を締結した場合、特定商取引法の規定に基づくクーリング・オフを行うことが可能となりました。2020年6月には、小売電気事業者に対して、特定商取引法及び関係法令の各規定の遵守について重点的な点検を行い、コンプライアンス体制の一層の確立を図るよう要請しました。
また、都市ガスの小売全面自由化の開始に当たり、2017年3月に、消費者への制度の周知や消費者トラブルの未然防止のため、注意喚起を実施しました。
経済産業省では、ガスの経過措置料金が課されていない事業者に対する監視を行い、合理的でない値上げが認められた場合には、料金を是正するよう指導を行いました。また、電力・ガス小売全面自由化の実施に伴う消費者トラブル防止施策強化のための連携協定も踏まえ、電力・ガス取引監視等委員会、国民生活センター及び消費者庁が共同で、消費者から寄せられた小売全面自由化に関するトラブル事例やそれに対するアドバイスを公表するなどの取組を実施しています。加えて、電力・ガス取引監視等委員会は、電力契約を切り替えるための手続方法等の周知を行いました。
このほか、液化石油ガス(LPガス)の小売供給については、2016年5月に取りまとめられた液化石油ガス流通ワーキンググループ報告書で示された料金の透明化・取引の適正化に向けた対応の基本的方向性を具体的措置として実施するため、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成29年経済産業省令第8号。以下「改正液石法省令」という。)及び「液化石油ガスの小売営業における取引適正化指針」(以下「取引適正化ガイドライン」という。)等を2017年2月に公布しました。
2017年6月の改正液石法省令の施行後、順次LPガス販売事業者への立入検査を実施し、改善指導等を行うとともに、2018年2月には、取引適正化ガイドラインを改訂し、より一層料金の透明化・取引の適正化に向けた取組を行っています。
ツ チケット不正転売禁止法の適切な運用
興行入場券の適正な流通を確保するため、2019年6月に施行されたチケット不正転売禁止法の普及啓発を図っています。消費者保護のための対応として、関係府省庁ウェブサイト等による消費者等への情報提供や注意喚起を行うこととしています。
また、関連する消費者からの相談に適切に対応できるようにするため、消費生活相談員向けの研修等を実施しています。
(3)不当な表示を一般的に制限・禁止する景品表示法の厳正な運用
ア 景品表示法の厳正な運用及び執行体制の拡充
正しい表示は、取引を行う上での基本となるものです。消費者は、商品を購入したりサービスを利用したりする場合、その表示を基に選択しているため、その表示に嘘や偽りがあると、自主的かつ合理的な選択ができなくなってしまいます。
景品表示法は、消費者にその商品・サービスについて実際のもの又は競争事業者のものより著しく優良又は有利であると誤認される表示を禁止しています。景品表示法に違反する行為があれば、事業者に対して、その行為の取りやめ、再発防止策の実施等を命令する行政処分(措置命令)等を行っており、消費者庁では、景品表示法の規定に基づく措置命令を2020年度に33件行いました。
また、景品表示法に課徴金制度を導入することを内容とする不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律(平成26年法律第118号)が、2016年4月に施行され、消費者庁では、景品表示法の規定に基づく課徴金納付命令を2020年度に15件行いました。
(4)商品やサービスに応じた表示の普及・改善
ア 家庭用品の品質表示の普及啓発、適正な運用及び見直し
家庭用品の品質表示については、家庭用品品質表示法に基づき、対象商品や表示を行う事項が定められています。
消費者庁では、2016年12月に施行された繊維製品品質表示規程に基づく新しい洗濯表示について、ポスター、リーフレット、パンフレット、すごろく、かるた及びDVDといった普及啓発のための広報資料を国民生活センター、消費生活センター、消費者団体、地方公共団体等に対し配布するとともに、2020年度には、2件の講師派遣を行いました。
また、浄水器について、最新のJISの内容を取り入れた表示の標準の内容とすべく、2020年10月1日に雑貨工業品品質表示規程を一部改正する告示を行いました。
イ 住宅性能表示制度の普及促進及び評価方法の充実
2000年4月に施行された住宅品確法の規定に基づき、住宅の性能を客観的に評価し表示する住宅性能表示制度が同年10月から開始されました。
具体的には、耐震性、劣化対策、省エネルギー対策等、外見や簡単な間取り図からでは分かりにくい住宅の基本的な性能について共通ルールを定め、住宅の性能を等級や数値等で表示し、比較しやすくするものです。
消費者庁及び国土交通省では、住宅品確法に基づき定められている住宅性能表示制度の告示について、2016年1月に既存住宅に関する評価基準の充実等を目的とした改正を行いました。
また、2015年8月から2021年3月までに、登録講習機関による評価員講習会を計56回実施しました。
ウ 省エネ性能表示の普及促進
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(平成27年法律第53号。以下「建築物省エネ法」という。)が2015年7月に公布され、新たに表示制度が位置付けられました。2016年4月に施行された同法第36条の規定に基づく省エネ基準適合認定マークや、同法第7条の規定に基づく省エネ性能表示のガイドラインに従った「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)」、さらに、建築物の環境性能で評価し格付けする手法である「建築環境総合性能評価システム(CASBEE)(注51)」等の普及促進を図るため、建築物省エネ法に係るオンライン動画にて制度を周知し、約16.5万人に視聴されています。
エ 特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律に基づく指定建物錠の性能表示の適正な運用
ピッキング等の特殊開錠用具を使用した住宅侵入犯罪が多発していたことを受け、住宅侵入犯罪に使用されるおそれの高い用具の所持等を禁止するとともに、建物に侵入して行われる犯罪の防止を図る目的で、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律(平成15年法律第65号)が2003年6月に成立しました。同法第7条の規定に基づく国家公安委員会告示では、建物錠の製造業者や輸入業者に対し、建物錠のうち、防犯性能の向上を図ることが特に必要な指定建物錠(シリンダー錠、シリンダー、サムターン)について、その防犯性能等を表示すべき事項として定めており、警察庁では、随時、指定建物錠の性能表示について、検証を実施しています。
また、警察庁、国土交通省、経済産業省及び建物部品関連の民間団体から構成される「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」では、防犯性能の高い建物部品(錠、ドア、ガラス、サッシ等)の開発を促進すると同時に、同部品の目録を作成の上、公表しており、消費者が防犯性能により建物部品を選択できるようになっています(目録掲載数:17種類3,434品目(2021年3月末時点))。
なお、指定建物錠や防犯性能の高い建物部品に関する情報は、警察庁の侵入犯罪防止対策ウェブサイト「住まいる防犯110番」や関係団体のウェブサイトに掲載するなどして消費者に提供しています。
オ 医療機関のウェブサイトによる情報提供
美容医療を始めとした医療機関のウェブサイトの表示適正化のため、地方公共団体に対し「医療機関ホームページガイドライン」(2012年9月28日)などの周知徹底依頼や、指導事例の情報共有等を行い、関係団体等による自主的な取組や指導の徹底を図ってきました。こうした中、美容医療サービスに関する消費者トラブルの相談件数の増加等を踏まえ、2015年7月に消費者委員会から医療機関のウェブサイトに対する法的規制が必要である旨の建議(美容医療サービスに係るホームページ及び事前説明・同意に関する建議)がなされたことを受け、医療機関に関する広告規制等の在り方について改めて検討し、2016年に取りまとめ、第193回国会で医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)が成立しました。同法の成立後、施行に向け、「医療情報の提供内容等のあり方に関する検討会」等における議論を踏まえ、省令等を改正(2018年5月8日公布、同年6月1日施行)し、併せて「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告ガイドライン)」(以下「医療広告ガイドライン」という。)を策定しました。引き続き、医療広告ガイドライン等の周知や、指導事例の情報共有等を行い、関係団体等による自主的な取組や指導の徹底を図るとともに、ネットパトロール事業による監視体制の強化等、必要な対策を実施することとしています。
2020年度には、医療機関等のウェブサイトの適正化を推進するためのネットパトロール事業を行ったほか、関係者へ配布可能な医療広告規制における事例解説書の作成を進めました。
2019年度に寄せられた、地方公共団体における医療広告又は医療機関ウェブサイトに関する相談・苦情件数は370件(注52)となっており、そのうち164件については、違反のおそれがあるものとして行政指導を実施しています。
このほか、美容医療サービスを受けるに当たって注意すべき事項等について周知するため、2016年9月以降、行政のTwitter等を活用し、定期的に注意喚起や普及啓発を行っています。
(5)食品表示による適正な情報提供及び関係法令の厳正な運用
ア 食品表示制度の適切な運用等
食品衛生法、JAS法及び健康増進法の食品の表示に関する規定を統合した食品表示法及び同法に基づき策定した食品表示基準が2015年4月に施行され、2020年3月末日をもって経過措置期間が終了し、新たな食品表示制度の運用を開始しました。
2020年度は、消費者の表示の利活用の実態等の現状把握を行うため、食品表示の全体像に関する報告書で求められている空間的情報量(注53)に関する調査を実施しました。また、分かりやすい表示による消費者自らの食品選択への活用の可能性を検討するために、容器包装上の表示をデジタルツールで代替することが技術的に可能か検証を行うとともに、消費者の意向を調査することを目的としてアプリケーションを活用した食品表示の実証調査事業を実施しました。さらに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い消費者の電子商取引による食品の購買が増加傾向にあることから、インターネット販売に関する情報提供について、事業者の取組状況や消費者ニーズなどの実態を把握するための調査事業を実施しました。
また、デジタル化の促進として、健康増進法に基づく特別用途表示及び登録試験機関の申請等に係る押印・書面規制の撤廃のため、関連する府令や通知を改正しました。機能性表示食品の届出手続についても、押印・書面の提出を廃止するため、関連通知の改正等を行いました。
原料原産地表示制度、遺伝子組換え食品表示制度及び食物アレルギー表示制度を含む食品表示制度全般については、事業者団体、地方公共団体等が開催する講習会等を通じて事業者に周知を図るとともに、消費者団体等と連携した消費者向けセミナーを全国13か所で実施しました。併せて、農林水産省の運営する消費者の部屋において、食品表示制度全般について消費者向けに周知・普及を行うとともに、政府広報を活用し、全国5大新聞紙を含む73紙において原料原産地表示制度を消費者及び事業者に周知しました。また、玄米及び精米の表示の見直し及び原料原産地表示制度については、消費者及び事業者を対象とした説明会をオンラインで実施しました。栄養成分表示制度についても、セミナー及び政府広報を活用した消費者向けの普及啓発を行うとともに、事業者が適切な表示を行うための「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」の改訂を行い、事業者へ周知しました。
食物アレルギー表示については、くるみの義務表示化に向け公定検査法の開発、くるみの使用実態調査等に着手しました。
遺伝子組換え食品については、公定検査法の確立に向けた検討を引き続き進めています。
ゲノム編集技術応用食品については、厚生労働省に届出されたゲノム編集技術応用食品であることが明らかな場合には、積極的に表示等の情報提供を行うよう事業者に対し働き掛けを行いました。また、関係行政機関と連携して、セミナーを通じて消費者及び事業者に普及啓発を行いました。
機能性表示食品及び特別用途食品(特定保健用食品)については、買上調査を実施し、関与成分等が表示どおりに含有されているか確認する等制度を適切に運用しました。機能性表示食品については、2021年3月末時点で、3,486件の届出情報を公表しました。特別用途食品(特定保健用食品を除く。)については69件、特定保健用食品については1,071件の表示許可を行っています。
特定保健用食品については、9月に消費者及び事業者向けの普及啓発の一環として、シンポジウムを開催しました。また、特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会を開催し、疾病リスク低減表示の今後の運用の方向性について検討を行い、2021年3月に方向性を取りまとめました。さらに、栄養機能食品及び特別用途食品のリーフレットを作成・公表し、消費者、事業者及び管理栄養士等の団体等に普及啓発を行いました。
農林水産省では、食品製造業者等が新たな加工食品の原料原産地表示制度に速やかに対応できるよう、同制度を解説するマニュアル(2017年度作成)を活用した動画を作成し配信しました(2021年1月公表)。
イ 健康食品も含めた食品の表示・広告の適正化
消費者庁では、食品の機能性等を表示する制度に関し、健康食品も含めた食品の表示・広告について、執行体制の整備も含め、関係機関と連携して監視を強化し、法令違反に関しては厳正に対処するとともに、健康食品に関する留意事項の周知徹底を行うことにより、表示・広告の適正化を図っています。
インターネット等における健康食品等の虚偽・誇大表示に対する監視を通じて、健康増進法に違反するおそれのある表示に対し、2020年度には454事業者の473商品について改善要請を行いました。また、インターネット広告において、新型コロナウイルスに対する予防効果等を標ぼうする健康食品の表示について、景品表示法及び健康増進法の観点から追加的な緊急監視を実施し、59事業者による63商品の表示について、改善要請を行いました。なお、改善要請を行った表示については、全ての表示が改善されていることを確認しています。
そのほか、講習会等の機会を通して、事業者等に対しては、健康食品の広告その他の表示において留意すべき事項を示すリーフレットを配布し広告等の適正化を推進するとともに、消費者等に対しては、保健機能食品を正しく利用するための表示の利用方法等に関する周知・啓発活動を行いました。
ウ 関係機関の連携による食品表示の監視・取締り
食品表示に関する取締りに関しては、「生活安心プロジェクト 緊急に講ずる具体的な施策」(「生活安心プロジェクト」に関する関係閣僚会合了承(2007年12月))において、不適切な食品表示に関する監視を強化するため、関係省庁の間で「食品表示連絡会議」を設置するよう決定されました。同会議は、関係機関の連携を促進するため、不適正な食品表示に関する情報が寄せられた場合に、必要に応じて関係機関で情報共有、意見交換を行い、問題のある事業者への処分等の必要な対応を迅速に講ずるとともに、こうした対応が円滑に実施されるよう関連情報の共有を進めることを目的とし、2008年2月から、2021年11月までに13回開催されました。
また、食品表示法違反に対し、国及び都道府県等が指示又は命令を行った場合は公表しており、2020年度には指示11件、命令1件を行いました。
農林水産省では、食品表示110番等を通じた情報収集を行うとともに、食品表示法の規定に基づいて、地方農政局等の職員が食品事業者に対する巡回調査を実施しました。
独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)及び民間分析機関において、品種判別や産地判別等に関する科学的分析を実施し、その結果を食品表示の監視・取締りに活用しています。
警察庁では、都道府県警察に対して、関係機関と連携した情報収集及び食品表示に対する国民の信頼を揺るがす事犯を認知した際の早期の事件着手を指示し、2020年中は、食品の産地等偽装表示事犯を4事件13人検挙しています。
エ 米穀等の産地情報の伝達の適正化
米穀等については、米トレーサビリティ法の規定に基づき、それらを一般消費者や取引先に販売する米穀事業者に対して、米穀及び原材料米穀の産地情報を伝達することが義務付けられています。
こうした中、農林水産省や国税庁及び都道府県等の関係行政機関が連携して、米穀事業者に対する立入検査等を実施し、その結果に基づいて厳正に措置を行うことにより、米穀等の産地情報の伝達の適正化を図っています。
また、農林水産省では、米トレーサビリティ法違反に関する指導件数等を取りまとめ、公表しています(産地情報伝達に関する指導件数は、2020年度上半期において9件。)。
消費者庁も、農林水産省、地方公共団体と連携した調査が実施できる体制を整え、米トレーサビリティ法違反に対しては厳正に対処しています。
(6)詐欺等の犯罪の未然防止、取締り
ア 「オレオレ詐欺等対策プラン」の推進による特殊詐欺の取締り、被害防止の推進
2019年6月に開催された犯罪対策閣僚会議において、架空請求詐欺や金融商品等取引名目を含む特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として「オレオレ詐欺等対策プラン」が決定されたことを踏まえ、警察庁では、全府省庁と連携して以下の取組を推進しています。
(ア)被害防止対策の推進
幅広い世代に対し高い発信力を有する著名な方々により結成された「ストップ・オレオレ詐欺47〜家族の絆作戦〜」プロジェクトチーム(略称:SOS47)と連携し、各地方公共団体等のあらゆる公的機関はもとより、経済団体を始めとする社会のあらゆる分野に関する各種団体、民間事業者等の幅広い協力も得ながら、多種多様な媒体を活用するなどして、国民が力を合わせて特殊詐欺の被害防止に取り組むよう広報啓発活動を展開しています。また、留守番電話機能の活用等の促進、金融機関・コンビニエンスストア・宅配事業者等と連携した被害の未然防止等の取組を推進しています。
(イ)犯行ツール対策の推進
携帯電話や預貯金口座を売買するなどの特殊詐欺を助長する行為について関係法令を駆使して取締りに当たるとともに、携帯音声通信事業者に対する、犯行に利用された携帯電話の契約者確認の求め、金融機関に対する振込先指定口座の凍結依頼等のほか、2019年9月からは、特殊詐欺の犯行に利用された固定電話番号を、警察の要請に基づき、主要な電気通信事業者が利用停止するなどの犯行ツール対策を推進しています。
(ウ)効果的な取締り等の推進
だまされた振り作戦、犯行拠点の摘発、上位者への突き上げ捜査といったこれまでの取組に加えて、特殊詐欺事件の背後にいるとみられる暴力団、準暴力団等に対する多角的な取締りを推進しています。なお、2020年の特殊詐欺の取締り状況は、特殊詐欺全体の検挙件数が7,373件(前年比556件増)であり、このうち架空請求詐欺の検挙件数が491件(前年比890件減)、金融商品詐欺の検挙件数が36件(前年比6件増)となっています(暫定値)。
金融庁では、預金口座の不正利用に関する情報について、情報入手先から同意を得ている場合には、明らかに信憑(ぴょう)性を欠くと認められる場合を除き、当該口座が開設されている金融機関及び警察当局への情報提供を速やかに実施することとしており、その情報提供件数等については、金融庁ウェブサイトにおいて公表しています。
イ 「架空請求対策パッケージ」の推進等による被害防止
2017年度に全国の消費生活センター等に寄せられた架空請求に関する消費生活相談の件数が増加したことを踏まえ、2018年7月に策定された「架空請求対策パッケージ」(2018年7月消費者政策会議決定)に基づき、以下の取組を推進しています。
・悪質事業者から消費者への接触防止のための取組
・消費者から悪質事業者への連絡防止のための取組
・消費者による悪質事業者への支払の防止のための取組
2018年12月には、関係府省の協力を得て、「架空請求対策パッケージ」に掲げられた施策の進捗状況等について取りまとめの上公表し、いずれについても着実に進められていることが確認されました。
消費者庁では、2018年8月、啓発資料を作成し、注意喚起を実施したほか、同年11月、封書を送付したり、裁判所をかたったりするといった手口の変化を踏まえた、新たな啓発資料を公表し、周知を図っています。また、被災地の生活再建期における被害発生防止等の観点から2019年度において令和元年台風第19号の被害発生後に「災害後の消費者トラブル防止のために」を公表、2020年度には令和2年7月豪雨時において「令和2年7月豪雨で被災された皆様へ」を公表しました。
ウ 被害の拡大防止を意識した悪質商法事犯の取締りの推進
警察庁では、悪質商法事犯(利殖勧誘事犯及び特定商取引等事犯)については、多大な被害をもたらすものであることから、関係行政機関との連携強化等による、いわゆる「販売預託商法」を含む悪質商法事犯の早期把握に努めるとともに、悪質商法に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供や広域事犯に対応するための合同・共同捜査の推進等による早期事件化により、被害の拡大防止を図ることとしています。2020年度は、関係行政機関との連携強化等により、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に便乗した悪質商法を含め、悪質商法事犯の早期把握に努めました。
なお、2020年中は、利殖勧誘事犯を38事件130人、特定商取引等事犯を132事件204人検挙しています。
エ 生活経済事犯に係る被害拡大防止に向けた犯行ツール対策の推進
生活経済事犯の多くで、預貯金口座のほか、携帯電話等に関するサービスが悪用されていることから、警察庁では、犯罪の予防及び被害拡大防止を図るため、生活経済事犯に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供、携帯電話契約者確認の求め及び役務提供拒否に関する情報提供、契約条項に基づくレンタル携帯電話契約の解約要請等の犯行ツール対策を推進しています。
また、生活経済事犯に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供を行っており、2020年中は1万641件の情報提供を行いました。
オ 偽造キャッシュカード等による被害の拡大防止等への対策の推進
金融庁では、スキミング等により不正に入手した情報から偽造キャッシュカードを制作し、他人の預貯金を引き出す事件等が跡を絶たない状況であることを踏まえ、偽造キャッシュカード等による被害発生状況や金融機関による補償状況を、四半期ごとに金融庁ウェブサイトにおいて公表しています。また、預金取扱金融機関を対象として、「偽造キャッシュカード問題等に対する対応状況」に関するアンケート調査を実施し、金融庁ウェブサイトにおいて2020年10月に公表しました。
また、金融庁、警察庁では、偽造キャッシュカード等(偽造・盗難キャッシュカード、盗難通帳、インターネットバンキング)による被害の防止等に向けた金融機関への注意喚起を実施しています。警察庁では、2020年5月に、インターネットバンキングに係る不正送金事犯関連部分を見直した新たな金融機関の防犯基準を策定し、都道府県警察に対して防犯対策を推進するよう指示しました。
カ ヤミ金融事犯の取締りの推進
ヤミ金融事犯(注54)については、健全な経済生活を脅かす悪質な事犯であり、また、暴力団の資金源となる場合もあることから、警察庁では、都道府県に対して、当該事犯の徹底した取締りのほか、ヤミ金融に利用された預貯金口座の金融機関への情報提供、携帯音声通信事業者に対する契約者確認の求め及び役務提供拒否に関する情報提供、プロバイダ等に対する違法な広告の削除要請等による、被害予防の推進を指示しています。
なお、2020年中は、ヤミ金融事犯を592事件701人検挙しています。
キ フィッシング対策の推進
金融機関(銀行やクレジットカード会社)等を装った電子メールを送り、住所、氏名、銀行口座番号、クレジットカード番号等の個人情報を詐取するいわゆるフィッシング行為や、それによる被害を防止するため、関係省庁において、不正アクセス事犯への対策を推進しています。
警察庁では、フィッシングに関し、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号。以下「不正アクセス禁止法」という。)違反等の取締りを推進しています。また、広報啓発活動や関係事業者等への情報提供等を通じ、フィッシング被害防止対策を推進しています。2020年度は新型コロナウイルス感染症に乗じたフィッシング等の犯罪の手口等について、警察や日本サイバー犯罪対策センター(JC3)のウェブサイト等で注意喚起を、荷物の配送連絡を装ったSMSによるフィッシングの手口とその対策等について、警察庁のウェブサイトで注意喚起を行いました。
また、2020年中の不正アクセス禁止法を適用した「フィッシング」行為の検挙件数は3件でした。
経済産業省では、一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターやフィッシング対策協議会を通じて、フィッシングの疑いのある電子メール及びウェブサイト等に関する情報収集・分析を行い、同法人及び同協議会のウェブサイトやメーリングリスト等で、サイバーセキュリティ関連団体や一般消費者等へのフィッシングに関する情報発信や注意喚起等の情報提供を実施しています。
総務省では、フィッシング対策にも有効な技術的対策の一つとして、受信者が受け取った電子メールについて、当該電子メールの送信者の情報が詐称されている(送信者になりすましている)か否かを確認可能とする「送信ドメイン認証技術」の普及促進に取り組んでおり、迷惑メール対策に関わる関係者が幅広く参画し、関係者による効果的な迷惑メール対策の推進に資することを目的として設立された「迷惑メール対策推進協議会」と連携し、「送信ドメイン認証技術導入マニュアル」を策定し、公表(2011年8月に第2版を公表)しています。
ク ウイルス対策ソフト等を活用した被害拡大防止対策
警察庁では、各都道府県警察等から集約した、海外の偽サイト等に関するURL情報等を、ウイルス対策ソフト事業者等に提供し、関係事業者において、当該サイトを閲覧しようとする利用者のコンピュータ画面に警告表示を行うなどの対策を推進しています。
また、2016年7月から、海外の偽サイト等に関するURL情報等を、ウェブブラウザ事業者等が加盟する国際的な団体であるAPWG(フィッシング対策ワーキンググループ)に対して提供しており、ウェブブラウザによる警告表示が可能となっています。
ケ インターネットオークションに係る犯罪の取締り等
インターネットオークションを利用し、商品を落札した後、代金を相手の指定口座に振り込んだが、品物が届かず連絡も取れなくなったなど、インターネットオークションを利用した詐欺事案等が発生しています。
警察庁及び都道府県警察のウェブサイト等においては、インターネット利用者に対する注意喚起を推進しています。
また、インターネットオークションに関する犯罪の取締りを推進しており、2020年中のインターネットオークション詐欺に関する検挙件数は98件となっています。
コ 模倣品被害の防止
模倣品・海賊版による被害は、近年、複雑化・広範化しており、これらの被害は日本企業にとって潜在的市場の喪失、消費者に対するブランド・イメージの低下、製造物責任をめぐるトラブルの増加等の悪影響を及ぼすため、その対策に積極的に取り組む必要があります。
経済産業省では、「政府模倣品・海賊版対策総合窓口」に寄せられる消費者等からの情報について、関係府省及び主要なインターネット通販サイト運営者等に定期的に共有しています。
警察庁では、都道府県警察に対して、インターネット利用の偽ブランド事犯等の取締りの推進を指示しています。また、例年、関係する機関・団体が構成する不正商品対策協議会が主催するキャンペーンを後援しており、同協議会主催の「ほんと?ホント!フェア」(2020年:高知県で開催)を支援するなど、関係者と連携した広報啓発活動を行いました。
なお、2020年中は、商標権侵害事犯を280事件326人、著作権侵害事犯を112事件123人検挙しています。
特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、回路配置利用権、育成者権を侵害する物品及び不正競争防止法(平成5年法律第47号)の規定に違反する物品(知的財産侵害物品)は、関税法(昭和29年法律第61号)第69条の2及び第69条の11の規定において輸出又は輸入してはならない貨物と定められており、税関で取締りを行っています(回路配置利用権を侵害する物品は輸入のみ取締りの対象。)。
2020年の全国の税関における知的財産侵害物品の差止状況は、輸入差止件数が30,305件、輸入差止点数が589,219点となっています。
農林水産省では、官民連携の農林水産知的財産保護コンソーシアムを通じて、アジアの主要国における日本の農林水産物・食品の産地偽装・模倣品に関する現地調査等を実施しているほか、2019年2月から、広告等における地理的表示(GI)の使用やGI産品と誤認させるおそれのある表示等を規制対象とするとともに、日EU・EPAに基づく日本、EUのGI産品の相互保護を行っています。
消費者庁では、インターネット通販事業者の特定商取引法違反に関する調査の一環として、模倣品被害についての対策を行っています。2020年度は、模倣品を扱っている可能性のあるインターネット通販サイト144件について、特定商取引法の遵守状況を調査し、うち113件に改善指導を実施しました。2020 年4月には、大手デジタル・プラットフォーム企業が提供するオンライン・ショッピングモールにおいて、販売業者が偽ブランド品を真正品であるかのように表示して販売していたことから、特定商取引法に基づき13通信販売事業者に対して行政処分を行いました。
また、海外著名ファッションブランドの権利者等からの情報提供を受け、模倣品販売が確認されたサイト等の悪質な海外ウェブサイトに関する情報について、消費者庁ウェブサイトにおいて公表し、消費者に対する注意喚起を行っています。
サ 振り込め詐欺救済法に基づく被害者の救済支援等
振り込め詐欺等の被害者に対する救済支援等については、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平成19年法律第133号。以下「振り込め詐欺救済法」という。)に基づき、被害者への返金制度等の周知徹底を図るとともに、金融機関による「被害が疑われる者」に対する積極的な連絡等の取組を促すこととされています。
2020年度は、振り込め詐欺救済法に基づく被害者への返金制度について、新聞広告やラジオ番組を通じて国民に周知を行うとともに、金融庁のウェブサイトに制度の概要等を引き続き掲載しました。また、金融機関による「被害が疑われる者」に対する積極的な連絡等の取組を促しました。
これらの取組により、制度開始(2008年6月)以降の被害者への返金額の累計額は、約173億円(2020年度末時点)となっています。
(7)計量・規格の適正化
ア JIS等の国内・国際標準化施策の実施
経済産業省では、2020年度も消費者への標準化(注55)知識の普及啓発及び消費者の日本産業規格(JIS)開発審議への効率的な参加の促進のために、同省委託事業として、「消費者のための標準化セミナー」を全国で計14回開催しました(約450名参加)。
また、消費生活技術専門委員会等、19種類の委員会を計60回開催しました。
イ 新たなJASの検討及び国際標準化施策の推進
近年、輸出の拡大や市場ニーズの多様化が進んでいることから、農林水産省は、農林水産物・食品の品質だけでなく、事業者による農林物資の取扱方法、生産方法、試験方法等についても認証する新たなJASを推進しており、2020年度末時点では、ノングルテン米粉の製造工程管理の日本農林規格等の16規格が新たに制定されています。
また、日本主導による国際規格として、生鮮食品中の機能性成分を測定する試験方法のISO規格の制定に向けて、2020年4月にISO事務局に規格案を提出しました。さらに、ベトナム等との二国間連携による有機JAS認証の体制整備の支援、ASEAN諸国の大学での寄附講座を通じたJASの認知度・理解度向上等により、JASの海外への浸透・定着を図りました。
(8)公正自由な競争の促進と公共料金の適正性の確保
ア 競争政策の強力な実施のための各種対応
公正取引委員会では、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)の違反行為について、2020年度に延べ20事業者に対して9件の排除措置命令を行うとともに、延べ4事業者に課徴金納付命令を行いました。また、独占禁止法の違反被疑行為について、6事業者に対して確約計画の認定を行いました。
加えて、266件の届出のあった企業結合計画について、迅速かつ的確に審査を行いました。
近年、公正取引委員会には、競争環境を積極的に創造し、市場監視の機能・体制を充実させるなど、競争政策を強力に実施することが求められており、そのための体制の整備・充実が進められてきています。
具体的には、2020年度は、デジタル市場における公正かつ自由な競争環境の整備のための体制整備のほか、企業結合審査部門及び審査部門を中心に体制の強化が図られました。また、即戦力を有する職員を確保する観点から、専門的な知識経験を有する任期付職員を採用しました。
イ 公共料金等の決定過程の透明性及び料金の適正性の確保
消費者庁では、公共料金の新規設定や変更に関する認可等について、消費者に与える影響を十分に考慮すべく、必要なものは事前に所管省庁と協議を行うとともに、そのうち重要なものについては、消費者委員会で審議した上で、物価問題に関する関係閣僚会議へ付議しています。2020年度はこれに該当する公共料金はなかったものの、その他、賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定に関して、2020年7月に資源エネルギー庁からの意見照会を受け、同年9月に回答を行いました。また、電気事業法改正後の電力託送料金制度改革、及び配電事業に関するもののうち電気料金に関するものの検討について、同年7月以降に開催されている「資源エネルギー庁持続可能な電力システム構築小委員会」及び「電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合」にオブザーバーとして出席し、「消費者委員会公共料金等専門調査会電力託送料金に関する調査会」での意見等を随時報告しました。また、電気小売経過措置料金及びガス託送料金の事後評価が行われた2021年2月の「電力・ガス取引監視等委員会料金制度専門会合」(経済産業省が事務局を務める審議会)にオブザーバーとして出席しました。
消費者委員会では、2020年8月から2021年2月までに、公共料金等専門調査会の下部組織である電力託送料金に関する調査会を計8回開催しました。同調査会では、資源エネルギー庁による賠償負担金・廃炉円滑化負担金の算入に伴う電力託送料金変更案の算定に関して消費者庁から付議を受け、8月に計4回の検討を行い、意見表明しました。
また、電気事業法改正後の電力託送料金制度改革及び配電事業に関するもののうち電気料金にかかるものの検討について、2020年8月から2021年2月にかけて資源エネルギー庁及び電力・ガス取引監視等委員会事務局へのヒアリングを計5回開催し、消費者利益の擁護・増進の観点から意見交換を行いました。
経済産業省では、電力及び都市ガスの小売全面自由化に当たり、パブリックコメントを実施した上で、都市ガスの経過措置料金に関して指定旧供給区域等の指定を行うとともに、小売全面自由化に関する消費者向けのQ&A集の作成や、全国各地域における消費者向けの説明会の実施等、小売全面自由化についての周知・広報に取り組みました。
経済産業省では、経過措置が講じられている電気の小売規制料金については、原価算定期間終了後に毎年度事後評価を行い、利益率が必要以上に高いものとなっていないかなどを確認し、その結果を公表することとなっています。
電力・ガス取引監視等委員会は、2021年1月、経済産業大臣からの意見聴取を受けて、料金制度専門会合において、原価算定期間を終了しているみなし小売電気事業者8社(北海道電力、東北電力、東京電力EP、中部電力ミライズ、北陸電力、中国電力、四国電力及び沖縄電力)について、評価及び確認を行い、同年2月、委員会は、経済産業大臣に対し、経過措置が講じられている電気の小売規制料金の値下げ認可申請の必要があると認められる事業者はいなかった旨回答しました。また、経過措置が講じられているガスの小売規制料金についても、原価算定期間終了後に毎年度事後評価を行い、利益率が必要以上に高いものとなっていないかなどを確認し、その結果を公表することとなっています。
電力・ガス取引監視等委員会は、2020年11月、経済産業大臣及び経済産業局長からの意見聴取を受けて、料金制度専門会合において、原価算定期間が終了している旧一般ガスみなしガス小売事業者8社(東京ガス、東邦ガス、京葉ガス、京和ガス、日本ガス、熱海ガス、河内長野ガス及び南海ガス)について、評価及び確認を行い、同年12月、委員会は、経済産業大臣及び経済産業局長に対し、経過措置が講じられているガスの小売規制料金の値下げ認可申請の必要があると認められる事業者はいなかった旨回答しました。
また、2017年1月の電力・ガス取引監視等委員会において、電力託送料金に関して、一般送配電事業者の収支状況(託送収支)、効率化の取組状況について、2016年度実績分から定期的に事後評価を行うことを決定し、評価しています。2019年度実績分については、2021年3月に一般送配電事業者の収支状況(託送収支)の事後評価を行い、一般送配電事業者の収支状況の確認及び経営効率化に向けた取組について評価しました。
(9)情報通信技術の活用拡大と消費者被害の防止の両立
ア 特定商取引法の通信販売での不法行為への対応
特定商取引法の通信販売については、通信販売業者に対して不適切な広告の改善を求めるとともに、執行を補完する取組として、ISP(注56)等に対し、ウェブサイトの削除等を促しています。
消費者庁では、通信販売業者に対し、2020年度は1,105件の改善指導を行っています。また、悪質な通信販売業者に対して、特定商取引法に基づき、厳正かつ適切に行政処分等を行いました。
イ 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律に基づく行政処分等の実施
総務省及び消費者庁では、特定電子メール法の規定に基づき、行政処分や行政指導の実施により、同法に違反する特定電子メールに起因した消費者被害を削減することとしています。
2020年度は、同法に違反したことが疑われる送信者に対する警告メール(行政指導)を約7,000件送信しました。
ウ 迷惑メール追放支援プロジェクトの実施
総務省では、迷惑メール追放のための官民連携施策として、迷惑メール対策に取り組む民間事業者等と連携し、調査端末で受信した迷惑メールの違法性を確認し、当該メールに関する情報を送信元プロバイダに通知することにより、迷惑メール送信回線の利用停止措置等の円滑な実施を促しています。
2020年度は、調査端末で受信した迷惑メールの違法性を確認し、違法性が確認されたメール約5,200件に関する情報を送信元プロバイダに通知しました。
エ インターネット上の消費者トラブルへの対応
高度情報通信社会の進展により、インターネットを活用した取引が増加して利便性が向上する一方、それに関連する様々な消費者問題も数多く発生しています。
消費者庁では、インターネット消費者トラブル等の動向を踏まえ、毎回個別のテーマを設定している「インターネット消費者取引連絡会」を開催しています。2020年度は「ライブコマース」、「クラウドファンディング(購入型)」、「フードデリバリーサービス」、「ポイントサービス」をテーマとして、それぞれのテーマについて調査研究を実施し、会議を開催しました。
オ 電気通信サービス・移動通信サービス(携帯電話)における広告表示等の適正化
総務省では、電気通信サービス向上推進協議会が策定した「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準・ガイドライン」を踏まえ、適切な広告表示がなされるよう関係事業者における取組を注視するとともに、行政として必要に応じた対応を行うこととしています。2018年10月から電気通信事業分野における競争ルール等の包括的検証の一環として開催された「消費者保護ルールの検証に関するワーキング・グループ」では、これまで、広告表示の適正化について議論を行ってきましたが、2020年6月にこのワーキング・グループを「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」と改め、引き続きフォローアップを行っています。
また、2020年11月10日に総務省及び消費者庁の連名で、「携帯電話業界における「頭金」の表示や端末販売価格に関する注意喚起〜携帯電話端末の購入を検討している方へ〜」を公表しました。
また、携帯電話料金の低廉化に向けた環境整備を図るため、2020年12月に、総務省、公正取引委員会及び消費者庁で「携帯電話料金の低廉化に向けた二大臣会合」を開催しました。この取組の一環として、さらに、消費者庁では、同月に「自分に合った携帯料金プランになっていますか?」を公表し、その後も、携帯電話事業者が新しい料金プランを公表したタイミングでその内容を更新し、消費者庁ウェブサイトに掲載しました。また、消費者が自分のニーズに合ったプランを選ぶことができる分かりやすい表示になっているかという観点から、広告表示の総点検を行い、大手携帯電話事業者に対して対応を要請しました。
カ 電子商取引環境整備に資するルール整備
インターネットの普及に伴い、電子商取引や情報財取引は幅広い消費者に活用され、重要な取引手段の一つとなっています。
経済産業省の「電子商取引に関する市場調査(注57)」によれば、2019年の日本のBtoC(注58)電子商取引の市場規模は19.36兆円(前年比7.65%増)にまで達しており、今後も一層拡大していくことが予想されます。
「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(以下「準則」という。)は、このような電子商取引、情報財取引等のIT活用の普及に伴って発生する様々な法的問題点について、民法を始めとする関係する法律がどのように適用されるのかを明らかにすることにより、取引当事者の予見可能性を高め、取引の円滑化に資することを目的として、経済産業省が2002年3月に策定したものです(策定時の名称は「電子商取引等に関する準則」。)。
経済産業省では、2020年8月に、準則の改訂を実施しました。今後も産業界や消費者等のニーズ等を考慮し、必要に応じて準則の改訂を行います。
キ 個人情報保護法の適切な運用
近年、情報通信技術の飛躍的な進展により、多種多様かつ膨大なデータ、いわゆるビッグデータの収集・分析が可能となり、このことが、新産業・新サービスの創出や日本発のイノベーション創出に寄与するものと期待されています。一方で、個人情報及びプライバシーという概念が世の中に広く認識されるとともに、これまで以上に十分な注意を払って個人情報を取り扱ってほしいなどの消費者の意識が高まっています。
このような状況を踏まえ、2015年9月に個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第65号)が公布され、これを受けて、2016年1月に個人情報保護委員会が設置、2017年5月に改正法が全面施行されました。
これに伴い、個人情報の保護と効果的な活用のバランスを図りながら、個人情報の適正な取扱いを確保するため、各主務大臣が行使していた監督権限を個人情報保護委員会が一元的に所掌することとなりました。
2019年1月以降、個人情報保護委員会では個人情報保護法の見直しの検討を行い、同年12月に公表した「個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直し 制度改正大綱」及び同大綱に係る意見募集の結果等を踏まえ、2020年3月には、自身の個人情報に対する意識の高まり、技術革新を踏まえた保護と利活用のバランス、越境データの流通増大に伴う新たなリスクへの対応等の観点から必要となる措置を盛り込んだ個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案が閣議決定され、同年6月に国会で成立し、公布されました。
個人情報保護委員会では、改正法の円滑な施行に向けて、認定個人情報保護団体や業界団体、法曹関係者、研究者、消費者団体などに対する説明会等を実施し、改正法の内容について情報提供を行いつつ、関係者からの意見聴取を行いました。こうした機会に得られた知見や意見等を基に、政令・規則等の整備を進め、2021年3月24日に「個人情報の保護に関する法律施行令及び個人情報保護委員会事務局組織令の一部を改正する政令(令和3年政令第56号)」及び「個人情報の保護に関する法律施行規則の一部を改正する規則(令和3年個人情報保護委員会規則第1号)」が公布されました。
改正法の内容を含めた個人情報保護法について、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止に留意しつつ、オンラインでの説明会等を含め、積極的に周知・啓発を行い、事業者団体が開催する説明会等への講師派遣(2021年3月末時点で計96回)、基本的なルールを解説したパンフレットの作成・配布、小学生を対象とした出前授業(2021年3月時点で計15回)等の広報を実施しました。
個人情報保護委員会及び各認定個人情報保護団体(以下「認定団体」という。)間の情報共有等の場である認定団体連絡会(2021年3月末時点で計1回)及び認定団体の対象事業者向け実務研修会(2021年3月末時点で計6回)を開催しました。また、シンポジウムを開催し、認定団体制度を通じた民間の自主的取組の推進の重要性について対外発信しました。いずれも新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、オンラインで対応しています。そのほか、各認定団体が主催する改正法説明会へ講師派遣(2021年3月末時点で計15回)を行いました。
個人情報保護法相談ダイヤルに加え、2020年4月に新たに立ち上げたPPCビジネスサポートデスク(注59)等を通じ、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用に関する相談に対応しました。また、同年9月には、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」と「「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A」について、個人情報保護法相談ダイヤルに寄せられた問合せ内容や事業者から寄せられた質問等も踏まえ、記載内容の追加等を行いました。
加えて、2019年12月に個人情報保護制度の見直しに関するタスクフォースが内閣官房に設置され、個人情報保護委員会を含め関係省庁が連携して、民間部門、行政機関、独立行政法人等に係る個人情報の保護に関する規定を集約し、一体的に規定すること及び事務処理体制の在り方について検討を行いました。2020年秋以降は、地方公共団体の個人情報保護制度の在り方についても検討を行い、同年12月に同タスクフォースにおいて公表した「個人情報保護制度の見直しに関する最終報告」に基づき、個人情報保護3法を1本の法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても統合後の法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化すること等を内容とする個人情報の保護に関する法律の改正を含むデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案が閣議決定され、第204回通常国会に提出されました。
ク マイナンバー制度の周知と適正な運用等
マイナンバーカードの健康保険証利用が開始されること等を踏まえ、マイナンバー制度に便乗した不正な勧誘や個人情報の取得への注意喚起のため、2015年10月に関係府省庁等が共同で作成・公表した資料の周知を引き続き進めるとともに、当該制度に関する正しい周知・広報を引き続き実施します。マイナンバーカードの健康保険証利用や安全性等について、デジタルサイネージやYoutube等のSNS及びリーフレット配布により、周知・広報を実施しています。
- 注48:電気通信役務としての移動通信サービス(以下「移動通信サービス」という。)を提供する電気通信事業を営む者であって、当該移動通信サービスに係る無線局を自ら開設(開設された無線局に係る免許人等の地位の承継を含む。)又は運用している者。
- 注49:光ファイバー回線でネットワークに接続するアクセスサービス(集合住宅内等において、一部に電話回線を利用するVDSL等を含む。)。
- 注50:(1)移動通信事業者(MNO)の提供する移動通信サービスを利用して、又はMNOと接続して、移動通信サービスを提供する電気通信事業者であって、(2)当該移動通信サービスに係る無線局を自ら開設しておらず、かつ、運用をしていない者。
- 注51:http://www.ibec.or.jp/CASBEE/
- 注52:法令に基づかない調査に対する任意の回答に基づく数値。
- 注53:表示可能面積に対する一括表示面積の割合や、一括表示の文字サイズ等の情報量。
- 注54:貸金業法違反(無登録営業)、出資法違反(高金利等)に係る事犯及び貸金業に関連した犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)違反、詐欺、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号。以下「携帯電話不正利用防止法」という。)違反等に係る事犯。
- 注55:標準化とは、様々な事象を統一化すること。例えば、乾電池や紙のサイズの標準化のように、標準化は日常生活の利便性向上に寄与しているが、日頃から標準化を気にすることはないことから、日常生活と標準化との関わりについて経済産業省は普及啓発を行っている。
- 注56:ISPとは、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider)の略。
- 注57:経済産業省「令和元年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)」
- 注58:商取引の形態の一つで、企業(business)と一般消費者(consumer)の取引のこと。企業間の取引はBtoB、一般消費者同士の取引をCtoCという。
- 注59:事業者が行う新技術を用いた新たなビジネスモデル等における個人情報保護法上の留意事項について、相談を行っている。
担当:参事官(調査研究・国際担当)