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第1部 第2章 第5節 (3)キャンセルや返金に関する消費生活相談

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜

第5節 新型コロナウイルス感染症の感染拡大をめぐる消費者トラブル

(3)キャンセルや返金に関する消費生活相談

旅行代理業・航空サービス・結婚式等のキャンセル等に関する相談

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、消費者が国内外への旅行や結婚式等の自粛や延期をしたことを背景として、これらのサービスのキャンセルや返金に関する相談が多数みられました(図表Ⅰ-2-5-7)。

 新型コロナウイルス感染症に関連した消費生活相談のうち、「旅行代理業」や「航空サービス」の相談件数は、2020年3月に「旅行代理業」1,518件、「航空サービス」790件と、それぞれピークに達しました。

 「旅行代理業」の相談には、海外・国内の募集型企画旅行や手配旅行等に関する相談が含まれます。相談内容としては、「クルーズ船ツアーをキャンセルしたら50%のキャンセル料を請求された」、「海外サイトで予約したホテルと航空券をキャンセルしたいがサイトと連絡が付かない」など、旅行の中止に伴うキャンセル料の請求や、キャンセルしたいのに事業者等と連絡がとれないといった相談がみられました。「航空サービス」の相談でも、「格安航空券をキャンセルしたいが払い戻しできないと言われた」、「ネット通販で予約した海外航空券を変更したいがサイト事業者と連絡が取れない」など、キャンセル料の請求や事業者と連絡がとれないこと等に関する相談がみられました。このほか、2020年7月以降には、需要喚起策として開始された「Go To トラベル事業」に関する相談もみられるようになりました。同年12月には同事業が一時停止となり、関連した相談もみられました。

 また、新型コロナウイルス感染症に関連した消費生活相談のうち、「結婚式」の相談件数は、2020年4月に1,368件とピークに達し、「結婚式をキャンセルしたが規約どおりのキャンセル料を請求された」、「結婚式を延期したいが、延期の期限までに終息しなかったらどうしたらよいか」など、キャンセル料の請求や式の延期に関する相談がみられました(図表Ⅰ-2-5-7)。同年5月末の緊急事態宣言解除以降も、「結婚式を延期したが、新型コロナウイルスが終息しないため解約を申し出ると高額な違約金を請求された」など、結婚式を一度は延期したものの、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が終息しないため、延期後にやむを得ずキャンセルを申し出てトラブルになるケースもみられました。

スポーツジム・ヨガ教室等の休会・解約などに関する相談

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響によるスポーツジムやヨガ教室の休会・解約など、「スポーツ・健康教室」、「スポーツ施設利用」の相談(以下「スポーツジム・ヨガ教室等の相談」という。)件数は、2020年4月に1,626件とピークに達しました(図表Ⅰ-2-5-8)。

 相談内容としては、「スポーツジムを休会したいが、休会制度はないので6か月分の会費を支払って退会するように言われた」、「ヨガ教室の休会を断られた」、「ヨガ教室を解約したいが違約金が高額だ」など、休会や解約に関する相談がみられました。

 また、「ゴルフスクールが休業しているのに月会費が自動引落された」など、会費の請求に関する相談や、「ヨガ教室を休会したいが連絡が付かない」、「店舗が休止しており休会手続ができない」など、事業者と連絡が取れないことに関する相談もみられました。

キャンセル等に関する相談の契約当事者年齢

 キャンセルや返金に関する消費生活相談は、「航空サービス」や「旅行代理業」については全年齢層から相談が寄せられているのに対し、「結婚式」については20歳代及び30歳代からの相談が契約当事者全体の8割を超えており、「スポーツジム・ヨガ教室等」については30歳代から50歳代の相談が契約当事者全体の6割に及ぶなど、それぞれの商品・サービスの利用者層を反映していると考えられます(図表Ⅰ-2-5-9)。

担当:参事官(調査研究・国際担当)