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第1部 第2章 第5節 (4)詐欺や悪質商法に関する消費者トラブル

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜

第5節 新型コロナウイルス感染症の感染拡大をめぐる消費者トラブル

(4)詐欺や悪質商法に関する消費者トラブル

新型コロナウイルス感染症の感染拡大に便乗した悪質商法等の相談状況

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に便乗した悪質商法等の相談もみられました。

 特に、2020年2月頃から市役所等の行政機関をかたって個人情報を聞き出そうとする不審な電話や、「マスクを無料送付する」等の不審なメール等に関する相談がみられました。同年3月には、行政機関をかたって「検査キット等を送る」と告げて個人情報を聞き出そうとする不審な電話や、治療薬開発を口実にした社債の勧誘等に関する相談もみられました。同年4月以降に特別定額給付金や持続化給付金の支給が決定されると、これに便乗した手口もみられました。

 また、正規の通販サイトを装った悪質サイトや、新型コロナウイルス感染症の予防効果を標ぼうする健康食品等、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に便乗した悪質商法や誇大広告等に関する相談もみられました。2020年12月以降、新型コロナウイルスワクチンの接種が話題になり始めると、「『コロナウイルスワクチンが接種できる。後日全額返金するので、お金を振り込むように』と保健所を名乗る電話があった」等、ワクチン接種に便乗した手口に関する相談がみられるようになりました。

特別定額給付金等に関連した相談

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、特に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧とするための持続化給付金や、家計への支援を行うための特別定額給付金の支給など、様々な支援策が講じられたことから、こうした支援策を含む行政サービスに関する相談もみられました。特に、特別定額給付金に便乗した不審な電話等に関する相談や、持続化給付金の不正受給に関する相談が、2020年4月から同年10月にかけて多数みられました(図表Ⅰ-2-5-10)。

 これらの相談のうち、特別定額給付金に関する相談では、消費者の自宅等を訪問し、「給付金の申請に必要」などとして通帳の受渡しを求めたり、電話やメールで個人情報を聞き出そうとしたりする手口等に関する相談がみられました。このような特別定額給付金に関する相談は、2020年4月から同年6月を中心にみられましたが、その後も「2回目の給付金を支給する」などの不審なメール等がみられました。消費者庁では、警察庁と連名で、特別定額給付金を装った詐欺に対する注意喚起を実施しました。国民生活センターでも、同年5月以降、複数回にわたり同様の注意喚起を実施したほか、「新型コロナウイルス給付金関連消費者ホットライン」を開設し、特別定額給付金等に関連する相談を受け付けました。

 また、持続化給付金の不正受給関連では、持続化給付金の受給資格がない消費者に対して、知人等を介して不正受給への加担を持ちかける悪質なケースがみられ、中には持続化給付金の不正受給に加担して給付金の一部を報酬として受け取ってしまったというケースもみられました。持続化給付金の不正受給の相談は、国民生活センターの「新型コロナウイルス給付金関連消費者ホットライン」にも2020年7月頃から多数寄せられました。

担当:参事官(調査研究・国際担当)