文字サイズ
標準
メニュー

第1部 第2章 第4節 (1)緊急事態時(2020年3月から5月頃)と意識調査時(2020年11月頃)における消費者の意識と行動

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜

第4節 緊急事態における消費者の意識・行動

(1)緊急事態時(2020年3月から5月頃)と意識調査時(2020年11月頃)における消費者の意識と行動

 まず、「緊急事態時」における生活必需品に対する意識や行動について消費者に聞いたところ、「普段より多く買った」に「当てはまる」(「かなり当てはまる」+「ある程度当てはまる」)と回答した人の割合は4割を超える結果となりました(図表Ⅰ-2-4-1)。「普段より多く買った」に「当てはまる」と回答した人の割合を年齢層別に比較してみると、40歳代、50歳代が他の年齢層よりも「普段より多く買った」に「当てはまる」と回答した人の割合が高いことが分かりました(図表Ⅰ-2-4-2)。その他、「数店舗、店を探し回った」に「当てはまる」と回答した人の割合は3割を占め、「高額でも買った」に「当てはまる」と回答した人の割合は2割を超える結果となり、普段とは異なる行動をとった人が一定程度いたことがうかがえます。消費者の意識をみてみると、「買占めが起きても仕方ないと思った」に「当てはまる」と回答した人が3割以上、「品薄の商品なら、高く売られていても仕方がないと思った」に「当てはまる」と回答した人が2割以上おり、買占めや品薄、高額転売等が発生した状況に対して、許容や諦めの感情を抱いていた人が一定程度いたことがうかがえます(図表Ⅰ-2-4-1)。また、「緊急事態時には、ルールを守らない人が出ても、仕方がないと思った」に「当てはまらない」(「あまり当てはまらない」+「ほとんど・全く当てはまらない」)と回答した人の割合が6割を超えるとともに、「ルールを守らない人には、罰が必要だと思った」に「当てはまる」と回答した人の割合が3割を超えていたことから、一定程度の消費者が、他の消費者のルールを守らない行動に対して反感を抱いていた状況がうかがえます(図表Ⅰ-2-4-1)。

 次に、「意識調査時」における生活必需品に対する意識や行動について消費者に聞いたところ、「普段より多く買った」に「当てはまる」と回答した人の割合は約1割、「数店舗、店を探し回った」、「高額でも買った」に「当てはまる」と回答した人の割合は1割未満となり、「緊急事態時」からその割合が低下しました。この結果から、品薄等の状況の解消に伴って、消費者の行動が「緊急事態時」から変化していることがうかがえます。消費者自身の意識についても「買占めが起きても仕方ないと思った」、「品薄の商品なら、高く売られていても仕方がないと思った」に「当てはまる」と回答した人の割合はそれぞれ約1割まで低下しており、同様に変化がみられます。一方で、「ルールを守らない人には、罰が必要だと思った」に「当てはまる」と回答した人の割合は3割を超え、「緊急事態時」と同程度となりました(図表Ⅰ-2-4-3)。この結果は、消費者が「緊急事態時」か「意識調査時」かにかかわらず、ルールを守り、自身以外の消費者に対してもルールを守った冷静な行動を望む意識の表れであると考えられます。

担当:参事官(調査研究・国際担当)