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第1部 第2章 第2節 (6)「新しい生活様式」での消費生活に対する意識

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜

第2節 「新しい生活様式」と消費者の意識・行動

(6)「新しい生活様式」での消費生活に対する意識

 これまで、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前後における消費者の行動変化や、費やす時間が増えたインターネットの利用に着目し、利用状況やインターネット上での商品・サービス購入に対する消費者の意識をみてきました。ここでは、そのように変化した消費者の生活について、その満足度をみていきます。消費者に「新しい生活様式」における様々な行動の満足度を聞いたところ、「インターネットでの買物」については、「満足」(「満足している」+「やや満足している」)と回答した人の割合が43.1%と最も高く、「不満」(「不満がある」+「やや不満がある」)と回答した人の割合が4.0%となりました(図表Ⅰ-2-2-24)。これまでも述べてきたとおり、様々な用途で活用され、その利用が増えているインターネットですが、「インターネットでの買物」については一定の満足が得られていることがうかがえます。次に、「店頭での買物」の満足度については「満足」と回答した人の割合が41.9%、「不満」と回答した人の割合が14.3%となっており、一定の満足が得られていることが分かりました。「飲食店の利用」については、「満足」と回答した人の割合が31.7%、「不満」と回答した人の割合が23.7%となりました。マスクの着用や身体的距離の確保など、様々な対応が求められる「飲食店の利用」ですが、消費者ごとに異なる満足度となっている状況がうかがえます。「通信販売(テレビなどによるもので、インターネットでの買物を除く)」については、「満足」と回答した人の割合が25.2%、「不満」と回答した人の割合が5.7%となりました。「映画館・劇場の利用」については、「満足」と回答した人の割合が21.7%、「不満」と回答した人の割合が30.5%、「イベント会場の利用」については、「満足」と回答した人の割合が8.8%、「不満」と回答した人の割合が37.3%となっており、「満足」と回答した人の割合よりも「不満」と回答した人の割合が高くなっています。

 本節では、「新しい生活様式」が打ち出され、消費者一人一人の行動変容が求められる社会状況における消費者の意識・行動をみてきました。消費者の時間の使い方としては「家事」や「インターネットの利用」といった消費者が主に自宅で行う行動に費やす時間が増えた一方で、自宅外での行動である「旅行」や「外食」に費やす時間が減っていることがうかがえました。費やす時間が増えた「インターネットの利用」に関して、その用途に着目すると、「情報収集(検索、閲覧)」、「動画閲覧」、「買物」、「SNSや電子メールなどを通じたコミュニケーション」での利用頻度が増加していることが分かりました。

 商品・サービスの購入について「店頭」、「インターネット」それぞれの利用頻度の変化を確認すると、品目ごとに傾向は異なりますが、それぞれ特定の年齢層でインターネット上での買物の利用頻度が増加しつつあることが分かりました。そのように利用頻度が増加しつつある「インターネットでの買物」に対し、「商品やサービスが期待と異なる」という不安を感じている消費者も一定数存在し、インターネットでの買物の際に消費者が利用することの多いデジタル・プラットフォームにおいて、「過去のレビュー」等を消費者自身が確認することで、こうした不安を減らす行動をとっている可能性が示唆されました。「新しい生活様式」における消費者の意識や行動は、緊急事態宣言の発出に伴う外出自粛や、店頭やインターネットなどの商品・サービスを提供する場の変化によって変わりつつあり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前と比較して、「インターネットでの買物」の利用頻度が増加するといった「消費の場」の変化等にそれが表れていることがうかがえます。

 「消費の場」がインターネット上にシフトする中で、インターネット上の買物における消費者の期待と実際の商品・サービスとのかい離を小さくするためには、事業者には商品・サービス情報の充実等を始めとする取組が求められるとともに、消費者自身もこうした様々な情報に基づき、自ら適切な判断を行うことがますます重要になると考えられます。

担当:参事官(調査研究・国際担当)