第1部 第2章 第2節 (5)キャッシュレス決済に対する意識
第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動
第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜
第2節 「新しい生活様式」と消費者の意識・行動
(5)キャッシュレス決済に対する意識
「新しい生活様式」においては、インターネット上での買物の活用と同様に、買物時のキャッシュレス決済の利用が推奨されています。キャッシュレス決済は、経済産業省のキャッシュレス・ポイント還元事業やこれに伴う導入店舗の増加に加え、「新しい生活様式」の下での利用の推奨等によって、インターネット上での買物と同様に消費者に浸透していることが想定されます。以下では、消費者のキャッシュレス決済の利用状況、キャッシュレス決済に対するイメージをみていきます。「消費者意識基本調査」で、消費者に「キャッシュレス決済を使っているか」を聞いたところ、「使っている」と回答した人は58.6%となりました。年齢層別にみると、30歳代の利用率が80.6%で最も高く、20歳代から50歳代で6割を超え、60歳代でも5割を超える利用率となっています(図表Ⅰ-2-2-22)。
次に、消費者にそのイメージを聞きました。その結果、「支払手続が簡単・迅速である」、「割引やポイントなどの特典がある」、「非接触なので感染予防・対策になる」、「現金を用意して持ち歩かなくていい」といったキャッシュレス決済のメリットを「そう思う」(「かなりそう思う」+「ある程度そう思う」)と回答した人が6割を超える結果となりました(図表Ⅰ-2-2-23)。新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の2019年12月に実施した物価モニター調査における「キャッシュレス決済に関する意識調査」の結果でも、キャッシュレス決済のイメージやメリットとして、「割引やポイント等の特典が得られること」、「支払手続を簡単・迅速に行えること」、「現金を持ち歩く必要がなくなること」が上位となっており、共通の傾向がみられました。しかしながら、当該物価モニター調査では、キャッシュレス決済のメリットとして「現金に触れる必要がなく、飲食店等で衛生的に支払ができる」と回答した人が1割未満であったのに対し、2020年11月に実施した「消費者意識基本調査」では上記の結果となっており、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、キャッシュレス決済の感染予防・対策としてのイメージが高まっていることが分かりました。一方、キャッシュレス決済に対して「セキュリティ対策が万全である」、「被害補償が充実している」などを「そう思わない」(「あまりそう思わない」+「ほとんど・全くそう思わない」)と回答した人の割合は3割を超えており、セキュリティ対策や被害補償に対して不安・不満を抱いている人が一定程度いることが分かりました(図表Ⅰ-2-2-23)。今後、キャッシュレス決済の更なる浸透が予想される中、キャッシュレス決済を運営する事業者には、不慣れな消費者にとっても分かりやすく、セキュリティ対策や被害補償が充実したサービスがより一層求められていくことになると考えられます。
担当:参事官(調査研究・国際担当)