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第1部 第2章 第2節 (4)インターネット上での商品・サービス購入に対する意識

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜

第2節 「新しい生活様式」と消費者の意識・行動

(4)インターネット上での商品・サービス購入に対する意識

 これまで述べてきたように、消費者がインターネットを利用する時間は1年前と比較して増加し、インターネット上での商品・サービスの購入も増加しつつあることがうかがえます。そのような中で、消費者のインターネット上での商品・サービス購入に対する意識がどのような状況にあるのかをみていきます。2021年3月に実施した物価モニター調査で「インターネットでの買物のメリットはどのような点にあると思うか」を聞いたところ、「いつでも注文でき、すぐ届く」と回答した人の割合が71.4%と最も高く、次いで「配送してもらえ、重いものを持ち運ばずに済む」が55.4%、「様々な商品の品質や価格を容易に比較して購入できる」が55.0%、「簡単で手間が掛からない」が53.3%という結果となりました(図表Ⅰ-2-2-16)。

 次に、「消費者意識基本調査」で、インターネット上で商品・サービスを購入している人に、インターネット上での商品・サービスの購入に対する信頼度(安心か、不安か)を聞いたところ、「安心」(「安心」+「ある程度安心」)と回答した人の割合は69.8%、「不安」(「不安」+「やや不安」)と回答した人の割合は28.2%となりました(図表Ⅰ-2-2-17)。年齢層別にみると、全ての年齢層において「安心」と回答した人の割合が「不安」と回答した人の割合を大きく上回り、20歳代では「安心」と回答した人の割合が最も高く、「不安」と回答した人の割合が最も低くなっています。一方、年齢層が高くなると、「安心」と回答した人の割合が低く、「不安」と回答した人の割合が高くなる傾向がみられました(図表Ⅰ-2-2-17)。

 そこで、インターネット上での商品・サービスの購入について「心配なこと」と「実際に経験したこと」を聞いてみたところ、「心配なこと」として、「個人情報が漏えい・悪用されている」、「商品やサービスが期待とは異なる」、「望まない広告メールが送られてくる」を回答した人の割合がいずれも6割を超えました。これらのうち、「商品やサービスが期待とは異なる」経験や「望まない広告メールが送られてくる」経験をしたことがある人の割合はいずれも4割を超えていることが分かりました(図表Ⅰ-2-2-18)。

 近年、インターネット上での商品・サービスの購入は、インターネット上のショッピングモールやフリーマーケット、オークション等のサイト(以下「デジタル・プラットフォーム」という。)を介するケースがあります。消費者庁の調査(注56)では、消費者の約8割が「商品・サービスの購入に当たって、売主が直接販売する通販サイトとデジタル・プラットフォームにおいて同じ売主・価格で提供されている場合、デジタル・プラットフォームでの購入を希望する」と回答しており、その理由としては「ポイント・特典がつく・たまる」等が挙げられています。そこで、「消費者意識基本調査」で、インターネット上で商品・サービスを購入している人に「デジタル・プラットフォームでの購入経験・購入意向」を聞きました。その結果、「購入したことがある」と回答した人の割合は約7割となっており、デジタル・プラットフォームでの消費行動が浸透していることがうかがえます(図表Ⅰ-2-2-19)。

 さらに、デジタル・プラットフォームでの購入経験・購入意向があると回答した人に、デジタル・プラットフォームで商品やサービスを購入する際に「自身で確認したいこと」を聞いたところ、「自身で確認したいことの中で優先度が1位のもの」として「過去のレビュー」(商品やサービス、売主に対する評価)と回答する人の割合が22.5%と最も高く、次いで「欲しい商品やサービスの品ぞろえ」が20.1%、「欲しい商品やサービスの探しやすさ」が15.0%という結果となりました(図表Ⅰ-2-2-20)。また、年齢層別にみると、10歳代後半から40歳代といった年齢層は「過去のレビュー」と回答する人の割合が他の年齢層よりも高いことが分かりました(図表Ⅰ-2-2-21)。

 上記の結果から、デジタル・プラットフォームでの購入経験や購入意向がある人が、「商品やサービスが期待とは異なる」不安を解消するために、多数の品ぞろえがあるデジタル・プラットフォーム内で商品・サービスを検索・比較する、又は過去のレビューを確認するといった行動をとっている可能性が考えられます。

 これらを踏まえ、今後、デジタル・プラットフォームを運営する事業者には、消費者の期待と実際の商品・サービスとのかい離を防ぐために、商品・サービス情報の充実やその表示の適正化を図ることに加え、トラブル発生時の対応窓口の設置や売主との円滑な連絡方法の確保などの対策が求められます。


  • 注56:消費者庁「デジタル・プラットフォーム利用者の意識・行動調査」(2020年5月実施。3,072人に対するインターネットモニター調査。)の問2「ある商品を買いたいときに、売主が直接販売するオリジナルの通販サイトでも、買い物系プラットフォーム上の通販サイトでも、同じ売主が同じ価格で提供している場合、どちらのサイトで購入したいと思いますか。」の回答結果は「買い物系プラットフォーム上での通販サイト」と回答した人の割合が76.6%。問2-1「その理由(自由記述)をご記入ください。」の回答結果として、「ポイント・特典がつく・たまる」との回答が37.9%で最も高かった。

担当:参事官(調査研究・国際担当)