第1部 第2章 第2節 (2)インターネットを介した様々な行動の変化
第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動
第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜
第2節 「新しい生活様式」と消費者の意識・行動
(2)インターネットを介した様々な行動の変化
ここでは、(1)消費者の時間の使い方の変化において、費やす時間が「増えた」と回答した人の割合が最も高かった「インターネットの利用」について、その利用状況をみていきます。「消費者意識基本調査」で、消費者に「パソコンやスマートフォンなどでインターネットを利用しているか」を聞いたところ、「普段、利用している」と回答した人の割合は、2020年度の結果では73.2%であり、2017年度の結果(70.2%)と比較して増加しています。また、その利用率を年齢層別に比較すると、60歳代での利用率が顕著に増加しています(図表Ⅰ-2-2-3)。
次に、消費者に「インターネット上で利用しているもの」を聞いたところ、「情報収集(検索、閲覧)」を「利用している」と回答した人の割合は約9割、「動画閲覧」、「買物」を「利用している」と回答した人の割合は約8割、「SNSや電子メールなどを通じたコミュニケーション」を「利用している」と回答した人の割合は約7割となっており、インターネット上でこれらが多く利用されていることが分かりました(図表Ⅰ-2-2-4)。年齢層別にみると、最も利用率の高かった「情報収集(検索、閲覧)」については全ての年齢層で利用率が8割を超えました(図表Ⅰ-2-2-5)。「買物」については20歳代から40歳代での利用率が8割を超えており、他の年齢層よりも高い結果でした。「動画閲覧」、「SNSや電子メールなどを通じたコミュニケーション」については10歳代後半や20歳代といった若年層ほど他の年齢層よりも利用していることがうかがえます。
次に、インターネット上で利用しているものについて「1年前と比較した利用頻度の変化」を聞いたところ、「チケット予約」以外の多くの項目で利用頻度が「増えた」と回答した人の割合が「減った」と回答した人の割合よりも高く、利用頻度が増加していることがうかがえます(図表Ⅰ-2-2-6)。具体的には、「テレワーク」、「オンライン学習」、「イベントなどのライブ配信の閲覧」は利用頻度が「増えた」と回答した人の割合が6割を超えています。これら3項目について、年齢層別の回答を比較すると、「テレワーク」、「イベントなどのライブ配信の閲覧」は20歳代から30歳代で「増えた」と回答した人の割合が他の年齢層と比較して高く、「オンライン学習」は10歳代後半から20歳代で「増えた」と回答した人の割合が他の年齢層と比較して高いという結果となりました(図表Ⅰ-2-2-7、図表Ⅰ-2-2-8、図表Ⅰ-2-2-9)。これらの結果から、「新しい生活様式」の実践に伴って、企業での業務や大学等の教育機関での授業、各種イベントにおけるオンラインの活用が増え、主にこれらを利用する年齢層を中心にインターネット上での利用頻度が増加していることがうかがえます。インターネット上での利用率が高かった「情報収集(検索、閲覧)」、「動画閲覧」、「買物」、「SNSや電子メールなどを通じたコミュニケーション」はいずれも利用頻度が「増えた」と回答した人が3割を超える結果となりました。一方、「チケット予約」は利用頻度が「減った」と回答した人の割合が4割を超えました。これらの結果が生じた要因として、外出自粛によって、消費者がインターネット上での情報収集、動画閲覧、買物に充てる時間が増加したことや、対面でのコミュニケーションの減少によって、その代わりとなるSNSや電子メールなどを通じたコミュニケーションが増加したこと、鉄道や飛行機等の交通機関や音楽ライブ等のイベントのチケット予約が減少したこと等が考えられます。
担当:参事官(調査研究・国際担当)