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第1部 第2章 第1節 (3)家計のインターネットを通じた支出は増加

第1部 消費者問題の動向と消費者の意識・行動

第2章 【特集】「新しい生活様式」における消費行動〜「消費判断のよりどころ」の変化〜

第1節 新型コロナウイルス感染症の感染拡大と消費の動向

(3)家計のインターネットを通じた支出は増加

 総務省の「家計調査」と「家計消費状況調査」により、「二人以上の世帯」の1世帯当たりの消費支出の推移とインターネットを利用した支出総額の推移をみていきます。2020年の消費支出は、1-3月と比べて4-6月に大きく減少し、その後徐々に回復するという動きをみせています(図表Ⅰ-2-1-9)。一方、2020年のインターネットを利用した支出総額は、1-3月以降増加傾向であり、4-6月にも減少する動きはみられませんでした。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、通販の利用の推奨等を含む「新しい生活様式」が提言されるなど、人との接触を避けることが求められる中で、消費者がインターネットを利用した支出を増やしたことがうかがえます。

 2018年以降のインターネットを利用した支出について、世帯主の年齢層別にみると、20歳代以下から70歳代以上まで、幅広い年齢層で支出総額が増加していることが分かります(図表Ⅰ-2-1-10)。年齢を問わず、インターネットを通じた支出が浸透してきていることがうかがえます。

 インターネットを利用した支出の主な内訳について、2019年から2020年への変化をみていきます。まず、支出割合が増加した品目として、「食料」への支出が13.9%から19.0%、「家電・家具」への支出が8.7%から11.9%、「衣類・履物」への支出が10.9%から11.9%、「医薬品・健康食品・化粧品」への支出が8.5%から9.4%、「書籍、音楽・映像ソフト、パソコン用ソフト、ゲームソフト、デジタルコンテンツ」への支出が5.7%から7.1%へと増加しました(図表Ⅰ-2-1-11)。次に、支出割合が減少した品目として、「旅行関係費・チケット」への支出が28.5%から12.0%へと減少しました。

 このようなインターネットを利用した支出構成の変化の要因として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、消費者が旅行や外出の機会を減らし、自宅で過ごす時間を増やしているなどの可能性が考えられます。

 本節では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の動向と消費生活への影響について、消費の動向という観点からみてきました。感染の拡大により、消費の落ち込みがみられたほか、支出の構成にも、いわゆる「巣ごもり消費」としての支出割合の増加や外出に関連する支出割合の減少等の変化がみられました。インターネットを利用した支出は幅広い年齢層で引き続き増加していますが、その背景には、従来支出の中で大きな割合を占めていた旅行やイベントに関連した支出が大きく減少する一方で、食料品や家電・家具、デジタルコンテンツ等への支出が全体を押し上げるなど、変化がみられます。

 次節では、このような中で、消費者の意識や行動にどのような変化があったのかをみていきます。

担当:参事官(調査研究・国際担当)