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食品中の放射性物質についてQ&A

食品中の放射性物質についてQ&A

Q1 福島第一原子力発電所事故以降、食品中の放射性物質に係る基準値はどのような点に配慮して設定されましたか?
A

(1)年間線量(1年間に食べた食品中の放射性物質から、体が生涯にわたって受ける放射線量の合計)の上限について、放射性セシウムのほか、放射性ストロンチウムなどを含めて1ミリシーベルトとして基準値を設定しました(平成24年4月1日~)。

この基準値は、食品の国際規格を策定しているコーデックス委員会※が指標としている、年間線量1ミリシーベルトを踏まえて設定されたものです。
※FAO(国連食糧農業機関)及びWHO(世界保健機関)により設立された、食品の国際基準の策定等を行う政府間組織

食品中の放射性物質の基準値は、食品から受ける線量の上限として、年間線量1ミリシーベルトを超えないように設定しています。年間線量1ミリシーベルトのうち、飲料水の0.1ミリシーベルトを除いた、0.9ミリシーベルトを一般食品に割当て、食品1kgあたりの量に換算し、放射性セシウムの基準値を設定しました。放射性セシウムの基準値は、飲料水が10Bq/kg、牛乳が50Bq/kg、乳児用食品が50Bq/kg、一般食品が100Bq/kgとなります。

福島第一原子力発電所事故直後の暫定規制値においては、放射性セシウム(セシウム134及びセシウム137)の年間線量は5ミリシーベルトと設定されました(平成23年3月17日~平成24年3月31日)。その水準でも、健康への影響はないと一般に評価され、安全性は確保されていました。
現行の基準値は、長期的な観点から、半減期がより長い放射性ストロンチウム90などを考慮して、年間線量を1ミリシーベルトに引き下げたもので、より一層、食品の安全性が確保されているといえます。

(2)規制対象となる放射性物質(核種)は、福島第一原子力発電所事故により放出した放射性核種のうち、原子力安全・保安院の評価に基づき大気中に放出されたと考えられる核種で、半減期1年以上の放射性核種全体※(セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム、ルテニウム106)としています。

規制対象となる核種の半減期は、セシウム134で2.1年、セシウム137で30年、ストロンチウム90で29年、プルトニウムで14年~、ルテニウム106で374日となります。

現在の基準値は、放射性セシウム以外の規制対象となる放射性核種(ストロンチウム90、プルトニウム、ルテニウム106)も考慮に入れたうえで、放射性セシウムを代表として基準値を設定しています。

※半減期が短く、既に検出が認められない放射性ヨウ素や、原発敷地内においても天然の存在レベルと変化のないウランについては、放射性セシウムの基準値には考慮していません。

(3)年齢や男女別、妊婦など10区分に分けて計算を行い、放射性物質の影響の違いをきめ細やかに評価して基準値を検討するなど、すべての方々にとって、安全が確保されるよう、基準値を設定しています。

基準値に対する考え方として、年齢を考慮した区分ごとに線量の限度を割り出そうという考え方があります。一般食品に割り当てられる線量は飲料水の割当て分を引いた約0.9ミリシーベルトです。年齢区分別に、年間の摂取量と各年齢区分に相当する実効線量係数を基に求められた値が放射性セシウム濃度の限度値となり、1歳未満の男女平均の摂取量で限度値は460Bq/kg、1~6歳の男性の摂取量で限度値は310Bq/kg、女性の摂取量で限度値が320Bq/kg、7~12歳の男性の摂取量で限度値は190Bq/kg、女性の摂取量で限度値が210Bq/kg、13~18歳の男性の摂取量で限度値が120Bq/kg、女性の摂取量で限度値が150Bq/kg、19歳以上の男性の摂取量で限度値が130Bq/kg、女性の摂取量で限度値が160Bq/kg、妊婦の摂取量で限度値が160Bq/kgとなっています。なお、この限度値はセシウム以外の影響も考慮した上で計算されています。その結果、年齢が13~18歳までの男性の限度値が最も厳しい120Bq/kgという値になりました。基準値の設定において、どの年齢層の人でも安全が確保されるため、120Bq/kgを安全側に切り下げた100Bq/kgに設定されました。

これは、年齢によって、食品摂取量や、放射性物質が体から排出されるまでの時間などが異なることにも配慮したものです。

放射性物質を含む食品を同じように食べた場合、上記の10区分のうちで、食品摂取量が多いことなどから13~18歳の男性が、影響を最も大きく受けるため、限度値が最も低くなっています。一般食品の100ベクレル/kgの基準値は、この区分の方々の摂取量などをもとに定めたものです。この区分の方々が1年間食べる食品のうち、50%が基準値の上限の量の放射性物質を含んでいたとしても、線量の上限(1ミリシーベルト)を上回らないように計算されています。この基準値を、すべての世代の方の基準値として適用することで、乳幼児をはじめ、すべての世代の方々の安全・安心に配慮しています。

さらに、粉ミルクや1歳未満向けのベビーフードなどの「乳児用食品」と、子どもの摂取量が特に多い「牛乳」は、独立した区分とした上で、流通する食品のすべてが基準値上限の量の放射性物質を含んでいたとしても影響がないよう、「一般食品」の半分である50ベクレル/kgと、放射線への感受性が高い可能性があるとされる子どもへ配慮した基準値を導入しました。

Q2 食品中の放射性物質について、食品の安全性はどのように検証されていますか?
A

消費者庁食品衛生基準審査課(旧厚生労働省食品基準審査課)では、平成23年より、年に2回、全国15地域で流通する食品を購入し、平均的な食生活における食品中の放射性物質(放射性セシウム、放射性ストロンチウム、放射性プルトニウム)の濃度および摂取量を調査し、ヒト一人が食品から受ける年間放射線量を推定しています。これらの調査結果によると、食品中の放射性セシウムから、ヒトが1年間に受ける放射線量は、Q1の(1)でお示しした、年間線量1ミリシーベルトの0.1%程度であり、極めて小さいことが確かめられています。

現行の基準値のもとで、国内に流通する食品由来の年間被ばく量は非常に低い線量で推移しています。

マーケットバスケット調査とは、種々の化学物質の一日摂取量を推定するための調査方法の一つです。マーケットバスケット調査では、国民の平均的な食事を再現したモデル試料としてマーケットバスケット試料を作製します。厚生労働省では、国民の身体状況、栄養素等摂取量を明らかにし、国民の健康増進を図るために、毎年国民健康・栄養調査を実施しています。:国民健康・栄養調査では、3000世帯以上に依頼して、1日に食べた食品全ての重量を調査票に記載していただいています。このデータを集計することにより、個々の食品の1日摂取量の平均値を求めることができます。:マーケットバスケット試料では、食品をその性質によって14群に分類します。米及び飲料水以外の群は、それぞれに10程度以上の食品を含めるので、マーケットバスケット試料全体としては200種類程度の食品を含みます。食品群ごとに含める食品とその重量を決定した後に小売店などで食品を購入し、水で煮る、フライパンで焼く等、必要に応じて摂食する状態に加工及び調理し、摂取量に従って採取し混合及び均一化します。:マーケットバスケット調査は、平均的な化学物質の摂取量のみが求められ、摂取量の分布は得られません。食品群別に一日摂取量が得られることから、対象とする化学物質の主要な摂取源となる食品群を特定することが可能です。

マーケットバスケット試料は、流通している食品を購入し、食品群ごとに分けて調製した上で、それぞれの食品群について測定を行います。

また、厚生労働省及び農林水産省においては、地域・時期別に食品中の放射性セシウム濃度の検査を実施しています。結果の詳細については以下リンクをご参照ください。

担当:食品衛生基準審査課