食品の安全を守る仕組み
最終更新:平成29年6月14日
はじめに
普段から口にしている食品の安全を守るために、国の行政の仕組みはどのようになっているのでしょうか。その仕組みについて解説します。
食生活を取り巻く環境が大きく変化したことや、BSE(牛海綿状脳症)の発生等の事態を受け、食品安全基本法が制定(平成15年)されました。
これにより、「食品の安全性の確保に関するあらゆる措置は、国民の健康の保護が最も重要であるという基本的認識の下に講じられなければならない。」という基本理念が明らかにされ、食品の安全は以下のような仕組みの下で守られています。
食品の安全を守る仕組み

リスク評価 | 食品中に含まれる危害要因を摂取することにより、どのくらいの確率でどの程度ヒトの健康への悪影響が起きるかを科学的に評価すること。 |
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リスク管理 | リスク評価の結果を踏まえて、関係者と協議しながら、実行可能性や費用対効果等の事情を踏まえた上で、リスクを低減するための科学的に妥当で適切な措置(規格や基準の設定等)を実施すること。 |
リスクコミュニケーション | 食品の安全性を向上させるリスク評価やリスク管理について、行政機関、消費者、生産者、食品事業者との間で、それぞれの立場から情報の共有や意見を交換すること。 |
※「食品の安全性に関する用語集」(食品安全委員会)はこちら
食品の安全を守る仕組みは、「リスク評価」、「リスク管理」、「リスクコミュニケーション」の3要素から構成されています。我が国では、リスク評価機関(食品安全委員会)とリスク管理機関(厚生労働省、農林水産省、消費者庁、環境省等)がそれぞれ独立して業務を行いながらも、消費者庁が総合調整をしながら、相互に連携しつつ、食品の安全性を確保するための取組を推進しています。
よくある質問
- Q 食品添加物や残留農薬などが不安ですが、食品の安全性はどうやって確保されているのですか?
-
A
例えば、食塩は人間が生きる上で必要不可欠ですが、摂り過ぎると健康に悪いことはよく知られています。食品の中には多くの物質が含まれていて、その危険性は摂取する量によって変わってきます。つまり、食品の安全を守るには、食品中の物質が「食べても安全な量」を超えないようにすることが大切です。食品添加物や残留農薬については、「食べても安全な量」を食品安全委員会が決め、これを受けて厚生労働省や農林水産省が基準値等を決め、生産現場での指導、流通品の検査等により安全性を確保しています。
- Q 食品添加物や残留農薬の「食べても安全な量」はどのように決めるのですか?
-
A
「食べても安全な量」は動物実験等のデータに基づいて決めています。
動物を使って、急性中毒を起こさないか、がんを発生させないか、おなかの赤ちゃんに影響がないか、長期間取り続けても健康に影響がないか、等を調べたデータから、動物にとって健康にまったく悪影響がないという量(無毒性量)を見つけます。
動物実験の結果を人間に当てはめるために、安全を十分に見積もった上で、人間にとって健康への悪影響がない量を決めます。これを「一日摂取許容量」(ADI)といい、これ以下の量であれば、人間が一生にわたって毎日摂り続けても、体の中で分解されたり、排泄されたりして、健康に影響が出ないとされています。 - Q 「食べても安全な量」を超えないように、どのような管理がされているのですか?
-
A
ここでは残留農薬を例にとって説明します。農薬には、農薬・作物ごとに、定められた使用方法を守って使用すれば生産物の残留農薬の濃度が基準値を超えない、使用基準が設定されています。
まず、生産現場では、農薬について定められた使用方法を遵守するよう、都道府県等が生産農家に対して指導を行っています。
食品の加工流通段階では、国内に流通する食品については地方自治体が計画に基づいて検査や食品等事業者に対する指導を行っています。また、輸入食品については、輸入時に全国32か所にある検疫所において、毎年度の計画に基づいて検査を行っています。検査の結果、基準値を超える農薬が検出された場合には、その食品を輸入者に廃棄させる等の措置を講じています。 そのほか、厚生労働省では、二国間協議や現地調査を通じて輸出国における衛生管理の推進も図っています。- 詳しくはこちら⇒
- 農林水産省HP(農薬の基礎知識)
厚生労働省HP(残留農薬・よくある質問)
- Q 「食べても安全な量」を決めるなど、食品の安全に関する施策を決める際に、消費者は意見を言えますか?
- A
- Q 食品安全行政の取組に関し、関係府省庁はどのように連携を取っているのですか?縦割り行政、とよく聞きますが...
-
A
緊急事態が発生した場合に、政府一体となって消費者被害の発生又は拡大の防止を図るほか、日頃から食品安全行政の取組について密に情報交換を行っています。
実際に、廃棄食品の不正流通事案の際には、「関係府省連絡会議[PDF:153KB]」(平成28年2月26日)を、冷凍食品への農薬混入事案の際には、「消費者安全情報総括官会議」(平成26年1月、3月)を開催して情報共有等の対応をしました。
また、各地で行うリスクコミュニケーションにおいても、関係府省庁が共催する等の取組も行っています(例:平成28年度開催、食品に関するリスクコミュニケーション「食品の安全を守る取組~農場から食卓まで~」)。
(参考)各府省庁のページ
食品安全委員会
厚生労働省
農林水産省
消費者庁
環境省
担当:消費者安全課