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ヒスタミン食中毒

最終更新:令和5年3月30日

はじめに

魚を食べて、顔が赤くなったり、じんましんが出たりした経験はありませんか?特に魚やその加工品では、「ヒスタミン」を原因とする、アレルギー様の症状となる食中毒が知られています。このページでは、その発生状況や予防方法等について解説します。

よくある質問

ヒスタミン食中毒の症状は?

ヒスタミン食中毒の症状は、食べた直後から1時間以内に、顔面、特に口の周りや耳たぶが紅潮し、頭痛、じんましん、発熱などがあげられます。重症になることは少ないですが、発症した場合には、抗ヒスタミン剤が効果的です。速やかに医療機関に相談しましょう。

発生状況は?

過去5年間(平成29年~令和3年)の日本国内の食中毒として報告されている件数及び患者数は、表1のように、件数に対して患者数が多い状況です。家庭における発生もありますが、保育園や学校が関係する給食施設を原因とする大規模な食中毒が発生しています。
詳細はこちら⇒保育園や学校が関係するヒスタミン食中毒(厚生労働省ウェブサイト(PDF))

表1:ヒスタミン食中毒の発生状況
平成29年
(2017年)
平成30年
(2018年)
令和元年
(2019年)
令和2年
(2020年)
令和3年
(2021年)
件数 8 20 8 13 4
患者数 74 355 228 219 81

出典:厚生労働省

ヒスタミンの生成とは?

ヒスタミンは、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の一種である「ヒスチジン」から、ヒスタミン産生菌の酵素の働きにより生成されます。ヒスタミン産生菌は、海水中に存在し、漁獲時に既に魚類に付着していることがあります。またヒスチジンは魚類やその加工品に含まれ、ヒスチジンを多く含む魚を常温で放置する等、不適切な温度管理を行うとヒスタミン産生菌が増殖し、ヒスタミンが生成されます。

主な原因食品は?

魚類の中でも赤身魚((サバ類、カツオ類、マグロ類、サンマなど表2参照)やその加工品はヒスチジンを多く含み、主な原因食品として報告されています。
なお、ヒスチジンは、魚や加工品のほか、発酵食品(ワイン、チーズ、ヨーグルト、味噌、醤油、納豆など)にも含まれることが知られています。

表2:魚種別ヒスチジン含有量

表2:魚種別ヒスチジン含有量[日本食品標準成分表準拠 アミノ酸成分表2020から作表]

予防法は?

「ヒスタミン」は、一度生成されると、加熱しても減りません。
食中毒予防の三原則は「つけない、増やさない、やっつける」ですが、ヒスタミンによる食中毒の予防法は、「増やさない」(=すぐに冷却)の対策が重要です。

魚を購入した際は、ヒスタミン産生菌の増殖を抑えるため常温に放置せず、速やかに冷蔵庫で保管しましょう。自分で釣った魚でも、速やかにクーラーボックスに入れる等、常温に放置しないようにしましょう。

  • ヒスタミン産生菌はエラや消化管に多く存在するので、魚のエラや内臓は購入後(または釣った後)、できるだけ早く除去しましょう。
  • 鮮度が低下したおそれのある魚は食べないようにしましょう。ヒスタミンは、調理時に加熱しても分解されません。
  • ヒスタミンを高濃度に含む食品を口に入れたときに、唇や舌先に通常と異なるピリピリした刺激を感じることがあります。この場合は食べずに処分して下さい。

(参考)各府省庁のウェブサイト

食品安全委員会

厚生労働省

農林水産省

担当:消費者安全課