Vol.652 お酒などによる誤った調乳での事故に注意

乳児用調製粉乳(いわゆる粉ミルク)は母乳の代替品として、フォローアップミルクは離乳期以降の栄養を補うものとして使用されますが、調乳の仕方を誤るとこどもの身に危険が及ぶことがあるため注意が必要です。消費者庁には、調乳時に誤った液体を使用したことによる事故情報が医療機関から寄せられています(※1)。
- 「ペットボトルに入っていた液体でミルクを作ったところ、こどもが少ししか飲まず、目が充血して顔に赤みが出たため、お酒でミルクを作ってしまったことに気付いた。前日に来客があり、片付けの際、来客がミネラルウォーターのボトルに日本酒をまとめて入れていたことを知らずに、保護者が中身を確認しないまま調乳に使用してしまった。」(0歳9か月)
- 「保護者が野菜を茹でるための塩水を作り、一時的に入れておく容器がなかったため電気ケトルへ移して置いていた。その後、別の保護者がミルク用に用意された水だと思い込み、沸騰させてミルクに使用した。保護者が残った湯でお茶を飲んだところ塩辛いと感じ、塩水で作ったミルクをこどもに飲ませたことに気付いた。こどもは塩分過剰摂取による高ナトリウム血症の疑いで4日間の入院となった。」(0歳4か月)
- 「お湯に粉状のミルクを溶かした後、これを冷ますために、ペットボトルに入っていた弱酸性の次亜塩素酸水を誤ってお湯と同じ量加えてしまった。こどもはミルクを全量飲み、約2時間後に下痢をした。保護者もペットボトルに入った次亜塩素酸水を誤飲したが、無味無臭で気付かなかった。」(2歳)
乳児用調整粉乳の安全な調乳方法等に関するガイドライン(※2)では、哺乳ビン等で乳児用調整粉乳を調乳する際、「一度沸騰させた後、温度を70°C以上に保った水」を使用することが推奨されています。
以下の注意点を踏まえて、誤った液体での調乳による事故を防ぎましょう。
- 調乳前には、調乳用に用意した水かどうかを匂いも含めてよく確認する。
- 調乳用に使用する容器等は料理用のものとは使い分けるなど工夫する。
- 次亜塩素酸水や酒などはペットボトル等の容器に移し替えて保管しない。
このほか、乳児用調製粉乳の調乳時に注意すべきポイントが分かりやすくまとめられたパンフレット(※3)がありますので、参考にしてください。
万が一、お酒などの誤った液体で調乳したものを飲ませてしまい、こどもに異変が生じた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。医療機関を受診すべきか否かの判断に迷う場合は、かかりつけの医師や中毒110番(※4)、子ども医療でんわ相談(♯8000)(※5)等に相談しましょう。
- ※1:消費者庁は(独)国民生活センターと共同で、平成22年12月から、医療機関(令和6年9月現在で32機関が参画)から事故情報の提供を受けています(医療機関ネットワーク事業)。
- ※2:厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインについて」
- ※3:厚生労働省「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインの概要(FAO/WHO共同作成)」(PDF)
- ※4:(公財)日本中毒情報センター「中毒110番・電話サービス」
- ※5: 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(♯8000)について」
担当:消費者安全課